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機関紙『自治体の仲間』2017年 6月号 Vol.523 職員との対話で高まる組合への期待と信頼

職員との対話で高まる組合への期待と信頼

「お疲れさま」茨城自治労連 11単組がいっせい職場訪問
▲3・11東日本大震災で被災した石岡市役所の庁舎は現在も仮設プレハブです。石岡市職労の若手役員らは、各課を行き来しながら、対話をすすめます

茨城自治労連では、長時間労働の一掃と予算人員増にとりくむ労働組合の姿を職場に示しながら、退勤時間後の本庁職場の在席者数調査をし、職場実態と職員の声を夏季闘争にいかす「いっせい職場訪問」を、5月30日に実施しました。退勤時間後1時間ごとに訪問し、在席する職員に「労働時間適正化ガイドラン」が書かれたビラと自治労連オリジナルキャンディーを手渡しながら声をかけていきます。今回、古河市職労、石岡市職労など県内11単組が、職場訪問を実施しました。その様子を、現場からレポートします。

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▲潮来市職の職場訪問

職員の関心ひきつけ 交渉にいかす調査へ

古河市職労

古河市職労は、3つの庁舎と福祉センターなど計5カ所に分かれて、職場訪問を実施しました。

古河庁舎の職場では、小林英之委員長と茅原重之副委員長が訪問にとりくみました。退勤のチャイムがなり、まず庁舎3階の組合事務所で打ち合せ、「今日は収納課と国保年金課で残業申請が出ている」と情報を共有しました。

18時、最初の訪問で3階フロアから1階まで順次庁舎を回り、目視で在席者を確認します。「あれ、どうしたの?」と職員から声がかかり、「職場訪問だよ」と答えると、「え、ウソ!」と職員も驚きつつ関心を示しました。

19時、2回目の職場訪問へ。まだ明かりが点く収納課は、定期的に納税者に合わせて夜間窓口を開けるため、残業が続いていました。「お疲れさま」と声をかけキャンディーを配ると、「人員増やして残業減らそう」と印字包装された言葉を興味深く見ていました。

「最初は職場訪問が必要かわからなかったが、やってみてアンケートや会議報告だけでは見えない職場の様子が見えてきた。もっと前からとりくめていたらよかった」と小林委員長は語りました。

20時半ごろ、別庁舎で調査していた柿沼将光書記長が合流し、「まだたくさん職員が残っている課がある」と報告しました。

柿沼書記長は「実態の調査ができてよかった。団体交渉で今回の結果を示していきたい」と意欲を示します。職員と交流し、長時間労働削減や予算人員増へのアピールができた職場訪問でした。

▲フロアが暗くなった19時の職場訪問で、退勤する職員と対話する古河市職労の小林委員長

若手役員がドキドキしながらチャレンジ

石岡市職労

「実は、こうした職場訪問活動は初めてなんです」と緊張した面持ちで話す川又範英書記長。

川又書記長は30歳で書記長に就任しました。石岡市職労の役員体制は平均年齢30代で、今回の訪問活動に3人の若手役員が参加しました。

「どの課から訪問するか」「あの課は一番最後に回ろう」「自治労連オリジナルキャンデーとチラシはどのタイミングで渡す?」と打ち合せしているうちに18時に。「時間になった。よし、訪問しよう」と覚悟を決め、職場に足を踏み出しました。

訪問活動をしてみると「何をやっているの?」と残業している職員の方から声をかけられます。ドキドキしながら、がんばって残業している職員にヒアリングを行っていました。

川又書記長は「これまではアンケートといった調査は行ってきましたが、こういった直接やりとりをする訪問調査活動は初めてで、緊張しました」と語ります。「アンケートでも『職場の不満・改善』の声がよく聞かれます。今回の活動を通じ、人員増など改善できるよう引き続きがんばっていきたい」と決意を固めました。

▲筑西市職の職場訪問
今回職場訪問を実施した単組

筑西(ちくせい)市職/古河(こが)市職労/石岡市職労/常総市職労/潮来(いたこ)市職/坂東市職/境町職/つくば市職労/結城市職/取手(とりで)市職労/常総社協労組


暴走政治をストップさせ要求実現をすすめよう

8時間働けば生活できる最低賃金の引き上げを

2017夏季闘争 5・25中央行動
▲安倍暴走政治を許さないと訴えて国会請願デモ行進へ

第1次最賃デー5・25中央行動が東京・霞が関などで行われました。最低賃金の引き上げを求めるとともに、反対の声が高まるなか衆議院で強行採決された「共謀罪」の参議院での廃案と安倍暴走政治のストップを求め、各省庁前要求行動、国会請願デモ、議員要請にとりくみました。

退職手当の削減許さない

人事院前

公務労組連絡会・秋山正臣事務局長は、夏の人事院勧告作業をめぐる情勢について「4月に行われた民間調査で、公務の退職手当が民間を78万1000円上回り、人事院は『水準の見直しが適切』と表明したが、退職手当は生活を支えるもの。官民比較を唯一の根拠とした引き下げは許されない」と報告し、「安心して働き続けられる職場を実現しよう」と力強く呼びかけました。

過労死促進NO 最賃大幅引き上げを

厚生労働省前

情勢報告を行った全労連・伊藤圭一常任幹事は「今回、安倍政権は過労死ラインの残業を事実上認める内容を、労基法改正案に書き込んだ。これ自体が労基法違反だ」と毎月80時間の残業を可能にするなどした「安倍働き方改革」を厳しく批判しました。

各団体の発言でも、「働くものの責任感に付け込んだ、長時間労働に反対し、賃金労働条件改善に力を合わせよう」など呼びかけがありました。参加者全員で最低賃金額は「時給1000円以上」の声を上げ、8時間働けば生活できる賃金を求めました。

国の臨時・非常勤の前進を地方の底上げに

内閣人事局前

公務部会・公務労組連絡会の川村好伸事務局長は、国の臨時・非常勤職員の労働条件をめぐる情勢について「長年の要求が一歩前進した」と述べ、「①経験加算、②期末手当の支給、③給与法の改正による賃金改正を実施の3点の実施について各府省の申し合わせがあった」と報告しました。

自治労連を代表して、福島功副委員長は、「地方公務員法はそもそも任期の定めのない常勤職員による公務運営が前提であり、今回の地公法・地自法「改正」ではさらに非正規化を促進されかねない。さらに、勤務時間の差による新たな格差が持ち込まれかねない。自治体のあり方が問われる問題だと捉え、自治労連として抜本的な修正を求めてきた。法案は成立したが、各単組での交渉を軸に、待遇改善を求め引き続き奮闘する」と訴えました。


各地ですすむ夏季闘争職場からの要求を力に

中央行動での仲間の訴え
▲仁木将・評副議長
公契約条例と最賃大幅アップを

非正規公共評・仁木将副議長は、「臨時・非常勤職員は責任ある仕事でありながら、最賃ギリギリの賃金で働いている。公契約条例の制定と最賃の大幅引き上げ、中小企業への支援、臨時・非常勤職員の大幅賃上げを勝ち取る」と発言しました。

生計費原則にもとづき地域間格差なくせ

静岡自治労連・小泉治書記長は、全国で広がる地域間格差の問題を取り上げ、静岡県評が中心となってとりくんだ「最低生計費調査」の結果について、「単身25歳で26万1419円が必要。この結果に全国的な格差はない」と報告しました。さらに、「地域手当では最大20%という格差がつけられているが、これ自体、生計費原則にもとづいていない上に格差拡大の要因となっている」と批判し、「格差是正に向け奮闘する」と力強く発言しました。

全国各地でも「格差是正」に向けたとりくみがすすめられています。

「地域間格差是正」と生計費原則を考慮しない退職手当削減を阻止するための署名を全国で積み上げましょう。

▲小泉治・静岡自治労連書記長


自治体のあり方を決めるのは

正規と非正規の団結

自治体臨時・非常勤職員の待遇に大きく関わる地方自治法と地方公務員法の一部法改正が、5月11日に成立しました。各地のたたかいで実現させてきた期末手当支給が法制化され更なる前進の力となる一方で、「任期の定めのない常勤職員中心の公務運営」という原則を逸脱し、自治体のあり方を大きく変えかねない法改正となっています。

「いつまでも非正規、いつでも雇い止め」NO!

自治労連は、今回の法改正の原案となった総務省研究会報告書に対して問題点等を指摘し、総務省への緊急団体署名と、研究会への意見書を提出して法案の抜本的改善を求めてきました。

また、国会議員要請行動を重ね、さらに野党四党への懇談・要請と、院内集会も開催し、集めた現場の声を訴えました。あわせて、各地方組織でも、改正案の学習会や、地元の国会議員事務所への要請など、粘り強いとりくみが行われました。

参議院総務委員会質疑で、自治労連非正規公共評幹事の小川裕子さん(学童保育指導員)が参考人として出席し、意見表明を行いました。小川さんは、非常勤職員が安上がりな労働力として扱われている実態を述べ、法改正で新設される「会計年度職員」は、「いつまでも非正規雇用、いつでも雇い止め」の仕組みづくりになることや、手当支給などの財源確保の問題点から、このままの法案では反対せざるを得ないとして、大幅な修正を求めました。

▲自治労連の代表として抜本的な法案修正を訴える小川さん。4月13日参議院総務委員会の様子は参議院ホームページから動画で見ることができます
たたかいが築いた足場 さらなる前進の力へ

今回の制度改正にともなって、雇い止めや処遇低下などへの危惧が野党議員から相次いで指摘・表明されました。これに対して、高市早苗総務相は「雇い止めを行うとか処遇を引き下げるといったようなことは、改正法案の趣旨に沿わない」と答弁しました。

また、「公務の運営は任期の定めのない常勤職員を中心としている」ことや、「現行の臨時的任用職員及び非常勤職員から会計年度任用職員への移行にあたっては、不利益が生じることなく適正な勤務条件の確保が行われるよう」と付帯決議も採決されました。

そして、「必要となる財源の十分な確保に努めること」とした財政措置への言及や「引き続き任用の在り方の検討を行う」ことが盛り込まれて付帯決議が採決されました。

不十分ながらも、これまで自治労連がとりくんできた運動と現場からの声を付帯決議に反映させ、今後の運動の足場を築くことができました。

付帯決議をふまえ処遇の改善を

大阪自治労連・大阪衛都連は、夏期一時金闘争の統一交渉を前に「付帯決議をふまえて処遇改善を」と、各自治体をまわって要請を行いました。統一要求書でも臨時・非常勤職員の待遇改善を要求し、山場となった5月25日の統一交渉では、各自治体当局から「付帯決議・国会答弁などをふまえ、労働条件の向上を図っていく」や、「改正の趣旨に沿った運用に努めていきたい」などの最終回答を引き出しました。

一方で、総支給ベースで検討し、月々の報酬を引き下げて、その分を期末手当に回そうとする自治体もあり、2020年4月の施行に向けて、自治体当局との交渉や議会に対して、国会答弁・付帯決議の周知と理解をすすめ、たたかうことが求められています。

▲大阪府市長会・町村長会事務局と懇談する大阪衛都連要請団


主張 地方自治法・地方公務員法「改正」

臨時・非常勤職員の賃金・労働条件改善へ組織強化・拡大を

今回の地方自治法と地公法の一部改正は、臨時・非常勤職員の若干の処遇改善と引き換えに、多くの自治体業務で、「正規より少し短い勤務時間に設定し、手当は期末だけ、年度末には雇い止め自由」という「会計年度任用職員」の導入と置き換えを可能とする内容です。これまで労働組合が勝ちとってきた成果の法制化よりも、職場に安上がりで不安定な「会計年度任用職員」の導入が主眼であり、非正規雇用の固定化・拡大とともに、正規職員のさらなる人員削減と長時間過密労働、公共サービスの外部委託化が強まる危険性があります。

自治労連は、自治体のあり方を変える法改正に対し、職場の声を届け、参議院総務委員会でも発言し、改正案の修正を求めてきました。結果、高市早苗総務相の答弁と付帯決議を引き出しました。

自治体職場のあり方が問われる問題

全国の自治体では、22年間で54万人もの正規職員が削減される一方で、64万人の非正規労働者によって、住民サービスが支えられています。正規職員には長時間労働と健康破壊が強いられ、正規になりたくてもなれない非正規労働者には、劣悪な労働条件と不安定雇用が強いられてきました。

日本国憲法が定めた住民の基本的人権を実現するために奉仕するのが自治体・自治体労働者であり、総務省自身も「公務運営は、任期の定めのない常勤職員中心で担うべき」としています。

今回の法改正は、臨時・非常勤職員の問題にとどまらず、全体の奉仕者として憲法に規定される人権を全面的に保障する職をだれが担うべきなのか、自治体職場のあり方が問われる問題と捉え、正規・非正規一体のとりくみにしていく必要があります。

正規・非正規が一体となってとりくみを

「改正法」学習をすすめ、臨時・非常勤職員の賃金・労働条件の改善と組織強化・拡大を強め、現に就労している職員の雇用を守り、賃金引き上げ、不払い残業解消や特別休暇などの制度改善を求めるとともに、次年度予算に反映させる自治体要請をすすめましょう。

また、人事委員会への要請・懇談と、署名提出などを共同の力ですすめ、すべての地方人事委員会から改善報告を引き出すよう、地方組織・単組でとりくみましょう。


子どもたちの笑顔満開

ふれあいと発見の場

第37回ひろしま保育まつり
▲子どもたちにシャボン玉づくりを教えています

広島市で5月21日、第37回保育まつりが開催されました。これは「子どもたちに遊びの伝承をしたい」「思いっきり遊べる場を提供したい」との思いから、広島市職労の協力のもと、公立私立の保育労働者と保護者が地域の子育て支援のために始めたとりくみで、毎年開催されています。

子どもたちが主体的にあそびを楽しむことができる保育まつりが市民に親しまれています。

今年のテーマは「いっぱいあそんでおたからみつけよう」で、オープニングでは、子どもたちに人気の絵本の登場人物に扮した職員が登場し、会場の各コーナーの紹介をします。けん玉、スライムづくり、草花あそび、シャボン玉、フェイスペイントなど、たくさんの催し物にあふれ、会場となった小学校は大きなテーマパークに様変わり。参加した子どもたちは、いっせいに興味のあるコーナーに走ります。

現業職員による紙芝居や、調理員がつくったドーナツ(人参、コーン、抹茶、ごま、しそ、よもぎ味)の販売も行われ、好評を博しました。

子どもたちによるさまざまな作品づくりも催され、まつりが終わる頃には、わが子の作った作品を「たからもの」のように大切に抱えて帰る親御さんや、笑顔で「楽しかったね」と会話を交わしながら帰路につく親子の姿がみられました。今回のまつりには約1400人の参加がありました。

参加した組合員からは「スライムづくりは職場で活かせるいい経験になった」「日頃の実践を持ち寄って、子どもたちが喜んで楽しんでもらえてよかった」と、保育士自身も子どもたちと一緒に学びながら保育のヒントを得ています。


核兵器なき世界へ

各地で署名行動と平和行進
▲5月7日 東京・港区から出発する平和行進に参加するみなさん

国連のホワイト駐ジュネーブ国際機関代表部大使は、6月15日から行われる国連会議に向け、5月22日に核兵器禁止条約案を提案しました。条約案には「核兵器の使用は武力紛争に適用される国際法の規則、特に人道法に反すると宣言する」「核兵器の犠牲者(ヒバクシャ)や核実験被害者の苦痛に留意する」と明記されました。また、核兵器の開発や製造、所有、保管、移転、使用など幅広い項目で禁止をうたっています。

この世界の動きに、5月29日長崎市で行われた核兵器廃絶を求める日本非核宣言自治体協議会の総会(会長・田上富久長崎市長)では、日本政府に対し、条約制定にむけて、被爆国として核保有国と非保有国の橋渡し役になるよう求めることが決議されました。

自治労連はこの間、国連会議の成功にむけ、ヒバクシャ署名にとりくんでいます。

岩手自治労連では、憲法キャラバンをすすめる中で、達増(たっそ)拓也岩手県知事をはじめ、8市5町1村の首長、県議会議員48人中47人から賛同を得ています。

また、5月6日からは2017年原水爆禁止国民平和大行進がスタートし、全国11の幹線コースで被爆地の広島・長崎をめざす行動がすすんでいます。今年で60回目を迎える東京・夢の島で開かれた出発集会には、首都圏を中心に自治労連の仲間も含め約700人が参加しました。

▲5月31日 静岡からバトンタッチして愛知の平和行進が出発しました


すすむ非正規公共評(30)

非常勤 報酬の大幅引き上げを勝ち取る

東京自治労連 公務公共一般世田谷支部
▲5月1日の中央メーデーに参加した世田谷支部

東京公務公共一般労働組合世田谷支部は、1月の団体交渉で特別区人事委員会勧告0・2%を大幅に上回る、1%~3・9%の非常勤職員報酬額の引き上げ回答を勝ちとりました。

団体交渉や処遇改善署名など、組合のとりくみに加え、今回の大幅な賃上げの力強い後押しとなったのは、公契約条例です。地区労や世田谷区職労、東京土建などの労組、自治体問題研究所などが協力し、07年4月、公契約推進世田谷懇談会を立ち上げ、世田谷支部も非正規労働者の立場から運動に加わりました。

条例は14年9月、全会一致で可決され、区は公契約適正化委員会の答申を受け、17年4月からの労働報酬下限額を時給950円から1020円に改定しました。(契約額2000万円以上の委託事業)

これを受けて、事務補助臨時職員は時給1020円(70円の引き上げ)、非常勤職員の報酬額もほぼ全職種で引き上げとなり、事務嘱託員で月額5600円、学校給食栄養管理嘱託員では月額1万2000円の引き上げになりました。

外郭団体の株式会社世田谷サービス公社でも、障害をもつ保護的就労者の賃金を時給932円から1020円に、保護的就労者を援助する就労支援員は時給1030円から1100円に引き上げられました。

組合員からは「一桁間違えているのではないかと思った。うれしい」「責任が重くなったと感じる。仲間を増やし、もっと職場の問題も要求していきたい」「障害者の賃金引き上げは全国的に誇れる内容。利用者の家族からお礼を言われた」など、喜びと組織拡大の決意が寄せられました。


新シリーズ1 いちから学ぶ仕事と権利

異常超勤にSTOP 労働時間規制は急務

自治体での労基法33条3項濫用は違法

シリーズ①では、憲法に基づく労働者の基本的な権利を学びながら、職場の問題を解決する糸口を探っていきます。

本来8時間を超える労働は許されない

労働基準法では、法定時間を超える労働は原則禁止されています。しかし、「経団連」の役員が所属するある企業の労基法36条にもとづく(サブロク協定)協定では、労働時間を延長することができる時間はなんと「1日13時間超」「年間1200時間」。本来の法の趣旨を逸脱しています。

日本社会に大きな衝撃を与えた電通社員の高橋まつりさんが過労自殺した事件があったように、長時間労働は生死にかかわる問題です。

広がる自治体職場での長時間労働問題

自治体では、「公務のために臨時の必要性がある場合」(労基法33条3項)において、職員に残業させることができるとしています。しかし、あくまでもこの規定は、「臨時の必要」に限られ、濫用は許されません。法定時間を超える場合は、職場の意見をふまえ、労使協議を通じ、納得できる36協定の締結が必要です。あわせて、適正な人員配置を求めていくことも重要です。自治体の36協定の締結については、行政実例や国会答弁でも確認されています。

職場点検活動で働く仲間を守ろう

労働者にとって労働時間は、賃金と並ぶ重要な労働条件のひとつであり、労働時間規制は必ず必要です。長時間労働によって仕事負荷が増加すると、疲労回復時間が減少し、その結果として、健康問題を引き起こすなど、あらゆる問題の誘因となるからです。

長時間労働をめぐる規制は、労働組合の歴史的なたたかいによって、「原則8時間労働」「1週40時間」が法制度として確立してきました。しかし、そうした法制度が確立してきた一方で、現在、その法の趣旨を逸脱した状況が存在します。

こうした問題に対し、労働組合による職場点検活動や活動を通じて、「長時間労働をなくそう」「公務公共サービス拡充のための適正な人員配置を」の要求を積み上げ、職場環境を改善していく必要があります。

労働基準法 労働条件は向上を図るもの

(労働条件の原則)
第1条 労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。
○2  この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。

厚労省ガイドライン「労働時間の適正な把握」は使用者の責務

厚生労働省は1月20日に「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン』」を策定。策定趣旨は労基法に違反する過重労働や割増賃金未払いなど「使用者が適切に管理していない」という状況から、あらためて厚労省がガイドラインを策定し発表したものです。


改憲許さない

平和、いのち、人権、いかそう憲法

憲法施行70年 各地で集会・パレード
▲「共謀罪はいらない」と、5・3憲法集会に参加する東京自治労連

憲法施行70年を迎えるなか、安倍政権の改憲シナリオと共謀罪強行・「戦争する国づくり」に反対する運動が、全国でとりくまれています。

憲法記念日の5月3日付けの大手新聞の一面に安倍首相は憲法9条に踏み込んだ「戦争する国」を具体化する改憲を「2020年施行をめざす」と表明しました。

同日の3日には、戦争する国づくりを許すな、憲法を守り、いかそうと呼びかける憲法集会が各地で開催されました。

東京では、臨海広域防災公園で「いいね!日本国憲法 平和といのちと人権を!5・3憲法集会」が開催され、5万5000人が集まり自治労連からは首都圏を中心に多くの仲間が参加しました。

集会では、ファッション評論家のピーコさんが自民党改憲草案を批判し、「憲法を守らなければならない人が守っていない。憲法を変えることは許さない」と訴え、劇作家の坂手洋二さんは「戦争体験者は少なくなっている。勇気をもって若い人たちに戦争の過ちを伝えていこう」と呼びかけました。

各野党の党首からは、共謀罪廃案、安倍政権打倒の強い決意表明が語られました。集会後参加者は豊洲駅まで「憲法まもろう」とコールし、パレードを行いました。

▲5・3憲法集会in京都に参加する京都市職労


共謀罪 自・公・維が強行採決

広がる怒りと行動

全国各地で反対の声
▲5・31共謀罪法案の廃案を求める市民集会には4700人が参加

5月19日昼過ぎ、衆議院法務委員会で、自民、公明両党は日本維新の会と共同で提出した共謀罪法案の修正案を、野党が抗議し騒然とするなか、3党の賛成多数で強行に可決しました。与党は23日の衆院本会議で採決し、参議院での議論に移っています。

全国各地でも「戦争法」が強行された19日にちなんだ「19日行動」が共謀罪法案に反対する宣伝と合わせてとりくまれています。

滋賀憲法共同センターは5月10日、JR大津駅前で共謀罪に反対する多様な市民が参加する昼休み集会を開催し、その後県庁周辺をデモ行進。言論の自由と思想信条の自由を守ろうと市民に呼びかけました。

▲国会前では連日の行動が行われています


夏季闘争をたたかいぬこう

自治労連第55回 中央委員会in大阪

自治労連は、5月12~13日に大阪で第55回中央委員会を開催し、夏季闘争など当面の闘争方針を決定しました。猿橋均委員長の挨拶、中川悟書記長の方針提案の後、2日間にわたる討論では職場や地域で共同を広げ、奮闘する自治労連の全国の仲間のたたかいについて、30人の中央委員から発言がありました。

各地から労働者・労働組合の雇用と権利を守り、非正規含め、すべての労働者の賃金を引き上げるとりくみと、震災からの復旧・復興、公務公共サービスを拡充させるとりくみ、次世代育成・組織強化拡大、共済拡大の教訓が報告されました。また共謀罪と「戦争する国づくり」と改憲を許さないとりくみの発言もありました。

「公務員労働者の役割は国民に奉仕し、社会のために働くのであって当局のために働くことではない、地域住民の繁栄なくして私たちの幸せはない。夏季闘争をたたかいぬこう」と中川書記長が総括答弁しました。その後、夏季闘争方針などのすべての議案が満場の拍手で承認されました。

新規加入組合 シティプラザ労組

大阪市中央区にあるシティプラザ大阪は、結婚披露宴施設も備えた客室199室のホテルです。今回新しく自治労連に仲間入りできたこと、大変うれしく思います。

組合員一人ひとりが納得のできる、「加入してよかった」と思われる組合運営をしていきたいと思います。雇用の安定を重視し、組合員と家族の安心につなげていきたい。まだできたばかりの組合ですので、みなさまからのご支援ご鞭撻をお願いしたいと思います。

▲新規加入のあいさつをした川中健二委員長代行


今月の連載・シリーズ

いい旅ニッポン見聞録
第17録
山口県美祢市・秋吉台&秋芳洞
3億5000万年の地球の歴史 秋吉台

神秘と奇跡 秋芳洞

かがやきDAYS
〔36〕
岩手・岩泉町職 三上薫(みかみかおる)さん 佐々木鮎美(ささきあゆみ)さん
「龍泉洞の1日」をあなたの特別な日に

台風被害から再開

まちコレ
Collection36
ごっくん馬路村
自分の子どもに飲ませたくなるジュース

高知馬路(うまじ)村

うレシピ
第67品
広島市職労 中谷 めぐみさん
ツナとわけぎの落とし焼き

わけぎあって濃密な関(ツナ缶)係

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