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「いのちの水」を儲けの対象にする水道法「改正」に断固抗議する(談話)

2018年12月11日

書記長 中川 悟

 政府は、先の通常国会の衆議院で、わずか8時間足らず、臨時国会でも短い審議時間で、水道法「改正」を強行した。自治労連は、「いのちの水」を商品とし、大企業の儲けの対象にする水道法「改正」に強く抗議する。今回の水道法「改正」は、住民から水の意識を遠ざけ、意思反映の仕組みを奪い、憲法25条が保障する生存権の具現化を行う水道事業の本質をねじ曲げるものである。

 

 すでに内閣府が全額補助するコンセッション方式導入計画・調査は、宮城県、奈良市、浜松市、和歌山市など15事業体におよび、内閣府は人口20万人以上の自治体に対して、建設費で10億円以上、物件費では1億円以上の案件に対してPPP/PFI導入を「優先的検討」として行うよう指示している。

水道法「改正」を前に強引な手法で進められてきた官民連携について、コンセッション方式による水道事業運営の法的根拠が完成したことで、法「改正」を前提に進められてきた計画が一気に動きだすことに強い危惧を抱くものである。

 

 国が進めようとする広域化は、自己水源を廃止し、ダム水源依存率を高める事例も多く、自治労連は、広域化母体となる用水供給事業のダウンサイジングと給水原価が高く受水者に財政負担の大きい用水供給事業の見直しを提言してきた。災害対策も国会審議で議論となったが、「資産は公が保有するため、従来の応援体制は維持される」かのような答弁がなされた。

 毎年のように起きる激甚災害に対し、人員削減された中でも地域住民のいのちの水を一刻も早く届け、復旧したいと奮闘する水道事業で働く職員と水関連企業労働者の姿を見れば、「コンセッション方式でも災害対応能力は維持する」という言葉は空虚なものと言わざるをえない。

 利益を追求する民間企業と福祉の増進を目的とする公営企業は本質的に異なるため、阪神淡路大震災をきっかけに築いてきた公営事業体の相互連携による災害支援体制が崩壊する危惧が消えることはない。

 

 水道事業の基盤である人材、施設、財政状況は厳しいものがあるが、広域化と官民連携が「基盤強化」のための唯一の方法であるかのように、国は広域化やコンセッション事業には手厚い財政措置を行っている。

 いま国が行うべきことは、改正前の水道法第1条に謳われていた水道事業の保護・育成であり、公営水道事業を再構築するための財源を確保し、まだ技術・技能を残す事業体を中心とした人材育成のための公公連携を支援するなどの具体的施策を早急に実行することである。

 これまでの国会審議でも、コンセッション導入は「選択肢の一つである」と繰り返しているが、他の選択肢を示すことがなければ、やはり、この道しかないとの政策誘導であると言わざるを得ない。

 

 そして、その選択肢には危険があることも指摘しなければならない。

 その危険は、国会審議の中で何度も触れられた。世界では一度、民営化された公共セクターが再び公営にもどす「再公営化」が無視できない件数で起きており、水道事業では、この15年で267件の再公営化が行われている。民営化された事業を再公営化するためには相当な困難を伴うにも関わらず、諸外国では再公営化を選択する住民の意思決定が行われている事実が少なくないことに注目している。それは、再公営化の過程で水道事業への住民参加の仕組みが模索されているからである。

 再公営化の動機は、民間企業による不透明な経営改善や労働者の権利回復、地域経済・資源への自治の回復、エネルギー転換や環境政策に関わる野心的な計画の実行などさまざまであるが、住民がインフラを自らの手に取り戻す流れが起きていることは画期的なことである。

 

 自治労連は、日本各地で起きている水道危機に対して、住民が自らの財産として水道事業を捉え、「広域化」「官民連携」以外の選択肢を議論するための情報発信を行うと共に、水道事業経営に住民が参加する仕組みを求めていくものである。

 また、水道法「改正」議論をきっかけに、水への関心を高めることとなった住民と共に組織、団体の枠を超えた連携・共闘を模索していく。

 自治労連は、今後も水道の広域化、民営化を許さず、「命の水」である水道事業を自治体の直営で充実させるために、住民との共同をさらに広げてたたかうものである。

以上

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