第34回埼玉地方自治研究集会

「住民のためのいい仕事をしたい」の

思いが集まり、熱気にあふれる

第34回埼玉地方自治研究集会

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 埼玉県本部では6月29日(日)、埼玉県民活動総合センター(伊奈町)で第34回埼玉地方自治研究集会(自治研集会)を開催し、県内27単組から160名、市民も含め全体で179名が参加しました。「『いい仕事をしたい』の思いを集め、元気な職場・地域をつくろう」を集会スローガンに掲げ、午前の全体会では基調報告と基調講演、午後は6つの分科会に分かれて活発な議論が行われました。

 埼玉県本部では準備段階から、これまで自治研集会に来たことのない「新しい参加者層」に大勢集まってもらうことを重点目標にし、単組での旺盛な宣伝と職員への呼びかけに力を入れてきました。その結果、初参加でレポート発表をした若い保健師や、リーフレットを見て興味を持ったので参加したという1年目の本庁職員など、これまでとは少し異なる参加者の顔ぶれで会場は活気にあふれました。

 基調報告で中村栄士県本部自治研事務局長は、「地方分権改革」や道州制推進、地方公務員法「改正」のほか、埼玉で今年に入って鶴ヶ島市やふじみ野市で公立保育所の廃止を強引に進めようしていることなど、地方自治と自治体現場をめぐる情勢を報告。「地方自治、社会保障制度が大きく変化するもとで見失いがちな自治体労働者の役割を再確認し、学習と交流で自治体労働者としての自信と誇りを取り戻そう」と呼びかけました。             image006

 また東北大学名誉教授の日野秀逸先生が「憲法と社会保障~自治体をめぐる動向」と題して基調講演。安倍内閣が集団的自衛権行使容認の閣議決定を今にも強行する構えを見せる中で、「安倍流軍事まえのめり・強権政治」の背景には、財界による「世論を無視した暴走政治を、閣議決定という手法で大いにやるべし」との後押しがあることを具体的に解き明かしました。また自治体労働者への期待について、「国民全体への奉仕者を、具体的・現実的に保障するのが専門性。自治体職員でなければ出来ないと住民に認められるような仕事をしてほしい」と語りました。

第1分科会「揺れる自治体現場の中で~これからの保育・子育て政策の展望を示す」では49名が参加。冒頭、助言者の浅井春夫立教大学教授による「子ども・子育て支援新制度」をめぐる動向に関する短い講演の後、「鶴ヶ島の公立保育所廃止反対運動」「市の誘致で開園した民間保育園の現状」「保育行政担当者が見た新制度の疑問点」の3本のレポートが発表され、揺れ動く保育現場のさまざまな姿が立体的に浮き彫りにされました。「おきプロNEXT」に参加した青年の保育士からは、普天間基地の騒音被害に苦しむ認可外保育園を訪れたことに触れ、「現地に行って初めて本当の実情を知った」との発言がありました。最後に浅井教授が「これだけは言わせてほしい。保育者の名にかけて、自らの関わった子どもたちを絶対に戦場に送らないでほしい」と締めくくりました。

第2分科会「住民の命と健康を守る真の地域保健活動と何かを考える」では、自治体の保健師など公衆衛生職場を中心に19名が参加。「地区担当制」の導入で注目される上尾市からの報告、虐待予防のための母親支援に取り組む担当者の報告、「地方分権改革」が職場に与える影響といった3本のレポートが発表されました。そのうち2本は集会に初めて参加した方からで、未組合員からの発表もあり、「みんな頑張っていることが励みになった」との感想が聞かれました。助言者の渡辺繁博さん(埼玉自治体問題研究所事務局長)は5月に北欧視察で見た福祉の姿を紹介。これからの自治体職員の仕事の展望を熱く語り、入庁1年目の初参加者も興味深くうなずき、たくさんの質問をしていました。

第3分科会「生存権保障の最前線で~職場の現実を語る」には19名が参加。生活保護ケースワーカーや精神保健福祉士、障害者福祉行政の担当者などから4本のレポートが発表されました。上司が今年入庁した新人のケースワーカーに声をかけたところ、職場から2人連れで参加したのをはじめ、ここでも新しい顔ぶれがそろいました。生活保護職場など、どこも人員不足が極限に達し苦しい現実や、職場の連携がうまくいかず苦労しているという報告を受けて、助言者の長友祐三埼玉県立大学教は、「福祉は人と人とが顔を合わせることが大事。組合としても、時間をつくって話し合って要望していく必要がある」と参加者を励ましました。

第4分科会「住民とつくるまちづくり~自治体労働者の挑戦」には34名が参加。それぞれ異なる6つの分野――「地区まちづくり計画」「地域防災計画」「エコタウン構想」「学校給食まつり」「清掃職員による市民環境学習」「エコツーリズム」で、若手職員が住民とともに、様々な壁にぶつかりながらもまちづくりに奮闘する報告が行われました。その後、上尾市職労の佐藤健一書記長がコーディネーターとなってパネルディスカッション。佐藤書記長は「それぞれの共通項は、現場の危機感から新しい取り組みに発展していることだ」と述べ、「住民とのつながりで大変なことは?」「これからに向けてどのようなことを思っている?」などと質問し、参加者から「それぞれの話が深く聴けた」と好評でした。また、以前は自治労の組合員だったという発表者が、「住民とともに進める仕事を追求するならやっぱり自治労連だ」と自治労連に移った経験を話し、参加者の共感を集めました。

第5分科会「社会教育のゆくえを考える」には18名が参加。図書館、博物館、公民館など様々な社会教育現場から、最多の7本のレポートが発表されました。県内の公立図書館の調査報告では人員削減・非正規化が急速に進む現状が明らかにされ、「生活できない賃金で職業と言えるのか」と問題提起されました。博物館でも指定管理施設化が進み、「博物館をアミューズメント施設と同等に考えることが間違い。資料を後世に残すにはそもそも採算は合わない」と専門家の立場から提言。公民館では、首長のトップダウンで公民館をつぶす動きがあることに、「公民館とはそもそも何か」を学習する必要性が語られました。助言者の上田幸夫日本体育大学教授は、「自分たちがやっていることを伝える努力をして、とにかく職場で自治研をやることが大事ではないか」と提起しました。

第6分科会「公契約の適正化から地域を豊かにする仕組みを考える」には26名が参加。委託・指定管理者や、公共工事で働く労働者の置かれている現状、川越市と草加市で目指されている公契約条例制定の取り組み、自治体の契約・入札制度改革への提言といったテーマで、5本のレポートが発表されました。公契約適正化の問題を、直接公契約下で働く労働者の賃金改善だけに狭くとらえず、地域の暮らし全体を豊かにする可能性を持つものという観点で、自治研のテーマとして位置づけました。埼玉土建一般労組からの報告も行われる中、ともに今後の運動の方向性について意見交換を深め、自治体の委託職場の参加者からは「これまで公契約というものは全然自分に関係ないと思っていましたが、もっと学習すべきだと思いました」との感想が聞かれました。

 埼玉県本部では、この自治研集会での到達を足掛かりにして、9月27~28日に滋賀県で行われる第12回自治研全国集会に埼玉から多くの参加者が集い、全国に埼玉の取り組みを発信しようと呼びかけています。