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(談話)地方自治法改正案の閣議決定について 憲法と地方自治、住民のくらしを脅かす法案の撤回を求める

(談話)地方自治法改正案の閣議決定について
憲法と地方自治、住民のくらしを脅かす法案の撤回を求める

2024年3月13日
日本自治体労働組合総連合
書記長 橋口 剛典

 岸田内閣は2024年3月1日、大規模な災害やパンデミックなどが起こった場合に、国が地方自治体に対して指示ができる仕組み(特例)を盛り込んだ地方自治法改正案を閣議決定した。
 日本国憲法は「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める」と第92条で団体自治を保障している。国が地方自治体に指示ができるとする本法案は、団体自治を侵害するものであり、自治労連は同法案に反対し撤回を求める。
 政府は、コロナパンデミック時の国と自治体の調整・連携などが不十分だったことを、法改正の理由にしている。しかし、そもそも国民のいのちと健康を危険にさらし、現場を混乱させてきた原因は医療・公衆衛生などの公務公共体制を脆弱にしてきた国の政策や対応であり、そのことへの反省も総括もない。政府は「救える命が救えなかった」ことに真摯に向き合うべきである。
 2020年に自治労連がとりくんだ、医療・保健所・福祉の拡充を求めるハガキ署名には、「こんなに医療が脆弱だったとは知らなかった」「保健所の大切さがよくわかりました」「統合や数を減らした結果、対応できなくなっているのだとわかりました」と、公務公共体制の拡充に全面的に賛成するコメントがたくさん寄せられた。
 また、元日に発生した能登半島地震では、自らも被災者である職員等が懸命に住民のいのちとくらしを守るために働いている。全国の自治体から職員が支援に行っている。しかし、被災自治体も支援する自治体も深刻な人員不足であることも報道されている。国による職員削減の押し付けで、各自治体は平時から余力などまったくない状況であり、これは2011年3月11日の東日本大震災の教訓を、国はまったくと言ってもよいほど活かしてこなかったからだ。
 大規模な災害やパンデミックを想定するのであれば、国は脆弱な公務公共体制を拡充するために全力をあげるべきであり、必要な財源を地方自治体に交付することこそが急務である。
なにより本法案は、惨事に便乗して地方自治を侵害し、国の権限を強化することが狙いであると言わざるを得ない。緊急事態条項創設を先取りし、「戦争国家」に突き進むための改憲準備と考えられる。
 自治労連は、憲法に違反し、地方自治、住民のくらしを脅かす地方自治法改正案に断固反対するとともに、憲法と地方自治をいかす政治への転換を求めるものである。
    

以上

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