機関紙『自治体の仲間』2018年 7月号 Vol.536 平和で安全・安心、震災からの復興を 思いつなぎ駆けぬける
運動の先頭に青年が
平和で安全・安心、震災からの復興を 思いつなぎ駆けぬける
第33回県内一周反核・平和マラソン 岩手自治労連青年部
岩手自治労連の青年たちが6月5~8日の4日間で広大な岩手県を走り抜けました。この反核・平和マラソンは、1986年の国際平和年に、「青年がもっと核兵器廃絶運動の先頭に」との思いで始まり、今年で33回目となります。核兵器廃絶と平和な世界、そして震災復興への思いを、青年たちはタスキに託しました。
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震災復興を感じながら反核・平和をアピール
釜石市役所前を6月5日にスタートしたランナーは「県北コース」と「県南コース」に分かれて、ゴール地点の盛岡市役所前をめざします。横断幕も使い「核兵器廃絶、戦争するな、9条守れ」の願いをアピールしました。
「県北コース」は、初日に釜石市職労と大槌町職のランナーが、震災復興途上の釜石市、大槌町を走り抜け、山田町役場をめざしました。
釜石市鵜住居(うのすまい)地区では、山側に学校が建設されましたが、市街地には「電柱」だけが目立つ状況です。大槌町では区画整理事業がすすみ徐々に住宅や商店の建設がすすんでいます。山田町では住宅の建築ラッシュも。一歩ずつ震災復興がすすんでいることを実感することができました。
「県南コース」では、大船渡市職青年部を中心に釜石市から陸前高田市役所をめざしました。途中、地元大船渡市役所前で、午後のランナーに引き継ぎます。新採職員の高田航輔さんが「原爆の悲劇を二度と繰り返さないよう、1日も早い核兵器廃絶の実現をめざし、タスキをしっかりと引き継ぎます」と決意を述べました。
のべ600人の平和の使者が走る
この4日間、各自治体の庁舎前で引き継ぎ式が行われました。ランナーからの決意表明や、首長からのメッセージが読まれるなど、長い歴史と深い意義をもつこのマラソンは、自治体ぐるみで応援されています。
最終日の6月8日、自治労連西和賀町職では、保育園の子どもたちからとびっきりの笑顔とタッチの激励を受ける場面もありました。
ゴールの盛岡市役所前でランナーたちから、岩手自治労連の中野盛夫副委員長、松橋崚介青年部長らに、引き継がれてきたタスキ、色紙、折鶴が手渡されました。
最後に今年採用された盛岡市職労青年部の高橋省吾さんが「自分たちの平和への思いを走ることで形にできた。東日本大震災から7年、避難生活者は7万5000人。原発被害も解決していません。『地域をよくしたい』『住民のためにいい仕事がしたい』を願って仕事をしています。今後も奮起していきたい」と決意表明し反核・平和マラソンは終了しました。
住民のいのちとくらし 平和でこそ守れます
松橋青年部長は「私たちは走ることで、反核・平和や震災からの早期復興の思いを発信してきました。住民のいのちとくらしを守るという、私たち自治体労働者の仕事は平和なくしてできません」と語ります。
許さない 過労死増やす「高プロ」制度が成立
安倍政権は通常国会を7月22日まで延長し、「高度プロフェッショナル(高プロ)制度」を含む「働き方改革」関連法を6月29日に採決し成立させました。
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この間、労働組合、過労死を考える家族の会や市民団体で、国会前の座り込み行動をはじめ、「高プロ制度」に反対する緊急集会や宣伝行動を行ってきました。労働者目線に立たない安倍政権への抗議の声をさらに広げ、過労死を増加させる「働き方改革」を止めさせましょう。
2018夏季闘争スタート
安心して働ける職場へ
夏季闘争が全国で始まり、各地の地方組織・単組では正規・非正規が力を合わせて「安心して働ける職場へ」と、要求実現と職場改善をめざしてとりくみをすすめています。
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新採職員が団体交渉に傍聴参加
愛媛・伊予市職労
伊予市職労は、夏季要求書にもとづいて、6月20日に副市長との団体交渉を実施しました。人員確保の要求では来年度の採用について、一般職員10人、技術職・建築2人、保育士2人、社会福祉士1人を予定していることを確認し、引き続き職員の補充に努めるよう求めました。また、労働時間・超勤縮減要求について当局は休暇取得前年比30%増と「ノー残業デー」の徹底、タイムカードによる超過勤務状況の聞き取りを始めたいと見解を示しました。
今回、初めての試みとして、「組合の活動を知ってもらおう」と新採職員に交渉の傍聴参加をよびかけたところ、組合未加入の職員3人が参加。「組合の活動がよくわかりました」と反応も良く、組合加入をよびかけるなど、引き続き交渉と組織拡大をすすめています。
全単組が要求書を提出し交渉を
京都自治労連
京都自治労連では、単組書記長会議を開催。夏季闘争で、全単組が夏季要求書を提出し交渉を実施することを意思統一。賃金改善、長時間労働是正、定年延長、会計年度任用職員制度などの課題でブロック職場集会や学習会を開催したり、6月16~17日の京都労働セミナーでは、賃金講座や模擬交渉などが行われ、要求書づくりや交渉のポイントなどを交流しました。
また、京丹波町職では、単組独自の学習会を開催しました。参加者からは、会計年度任用職員制度について「非正規雇用職員だけの問題ではない」「分会単位での学習会が必要」と意見が出され、とりくみの重要性と必要性の認識が広がっています。
安倍政権の保育政策が公立保育所に及ぼす影響を考える
「幼児教育・保育無償化」の動向と問題
学習会を開催
「安倍政権の保育政策が公立保育所に及ぼす影響を考える」学習会・意思統一集会が6月10日、東京で16都府県から66人が参加して開催され、「幼児教育・保育無償化」など保育をめぐる動向と問題点を学び合い、今後のとりくみを確認しました。
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集会では、保育研究所常務理事の逆井直紀さんが「今後の運動を構想するにあたって 無償化など保育をめぐる動向」と題して講演を行いました。逆井さんは新制度後の保育状況の変化として「保育を受ける子どもの拡大、とくに0~2歳の低年齢児保育が増えてきていること」「保育施設が保育の多様性に応じて増大(小規模や企業主導型保育など)しつつ、一方で施設の再編が進んでいること」「公立園の統廃合や民営化、こども園化が進められている」実態を示しました。
幼児教育・保育無償化の動向については「保育無償化」の言葉が大きく報道されているが、0~2歳児の保育料や実費徴収・上乗せ徴収分などは対象外ですべてが無償化されるわけではない事実を示しながら問題点・懸念事項が話されました。
また、無償化は世界的潮流からも推進すべき事柄であるが、ドイツなど諸外国では無償化は法律に定められた権利であり、政府から与えられるものではないと解説し、日本の保育制度のあり方を参加者に問い直しました。
「裁量的、高度な判断が必要となる場合などは、市区町村の職員が直接行うべき」
窓口業務は直営で充実させるべき
法務省が事務連絡
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自治労連の要請が国の行政を動かす
今年4月より、市区町村の窓口業務の一部を地方独立行政法人に行わせることが可能となりました。
そのうちの戸籍事務に関して、3月23日に法務省は、地独法人に行わせることのできる業務を、法務局長と地方法務局長宛てに通達を出しましたが、通達では「請求の受付、その請求に係る事実についての審査」「戸籍謄本等の交付」など、業務の類型を示すにとどまり、その業務のなかには市区町村職員が直接行うべき業務を含んでいる点にふれられていませんでした。
自治労連は、4月26日、法務省に対し、昨年の法改正審議で「裁量性のある判断の余地が大きい事務は、地独法人の対象事務から除外する」と政府答弁している点を指摘しました。
法務省は5月2日に「裁量的、高度な判断が必要となる場合などは、市区町村の職員が直接行うべきであり、注意が必要」とする旨の事務連絡を発出しました。
地方独立行政法人職員へ直接指示すれば偽装請負に
自治労連は5月9日、総務省に対して「市区町村職員が地方独立行政法人職員に直接の指示をすれば、民間委託の場合と同様に偽装請負になるのではないか」と問い合わせ、総務省は「偽装請負になり、労働関係法令に違反する」と回答しました。
また、市区町村職員が地独法人の管理責任者を併任した場合でも、「裁量性のある判断の余地が大きい事務」は委託できないことも総務省と確認しました。民間委託の場合と同様に、業務がかえって非効率となり、住民サービスが低下することは避けられません。窓口業務は高い専門性が必要であり、職員の専門性を育成し、維持、継承するためには、安心して業務に従事できる賃金、労働条件の保障が必要です。
今後、自治体における窓口業務外部委託の問題点を追及し、窓口業務を直営で充実させるとりくみが重要になっています。
自治労連が15府省と交渉実施
政府が6月末から7月にかけて概算要求基準を決めて政府予算案の作成に着手することをふまえ、自治労連は、6月4~11日にかけて自治労連の「基本要求」をもとに15府省と交渉を実施し、職場や地域で起きている問題や実態を各府省に伝え、政府の予算要求に反映させることを求めています。
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復興庁は存続させ、復旧復興のイニシアティブを
復興庁
自治労連は、復興庁に対して、①復興庁の存続および被災者に寄り添う復興行政を推進すること、②被災者の居住環境を抜本的に改善すること、③被災者の医療・介護の拡充及び負担免除、自治体財源の支援をすること、④復旧復興に向けて人員体制の拡充と健康保全を行うこと、などを東日本大震災の被災地方組織の代表者が実態を訴え、改善を求めました。
2020年度末の復興庁廃止をとり止め、福島の復興のために存続させ、復旧復興のイニシアティブを発揮していく必要があります。
また、被災自治体の要求が復旧から復興に大きく変化するなかで、復興の状況に自治体間で格差が生じていることから、財政的、人的支援を求めていくことが必要です。
生活保護制度の拡充や児童相談所専門職増を
厚生労働省
厚生労働省に対する交渉では、①国民の生存権を保障する生活保護制度を拡充すること、②障害者福祉政策を拡充し、障害者の暮らしと人権を守ること、③年金制度の改悪を中止し、国庫負担での最低保障年金を創設すること、④急増する児童虐待から子どもの人権を守るため緊急対策を行うことを要請しました。
地方組織の代表は「春闘で3%程度の賃上げのなか、なぜ生活保護基準が引き下げられるのか」「ケースワーカーの配置を法定数に戻すことが大切。人の命を預かる専門職であり、人員の充実を」「児童相談所強化プランは、専門職種以外からの置き換え分が含まれている。純増で実施してほしい」などと訴えました。
「9条改憲NO! 3000万人署名」
1350万筆を提出
「安倍9条改憲NO! 3000万人署名」の提出集会が6月7日に衆議院第一議員会館内で開催され、自治労連提出分含む約1350万筆が、5野党1会派に手渡されました。マスコミも詰めかけるなど、注目を集めました。
主張 2018夏季闘争
最賃・人勧闘争で、生計費にもとづく賃金引き上げを実現しよう
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最賃闘争で、すべての労働者の賃金底上げと格差解消を
国民春闘と並んで日本の労働者賃金を決定する重要な最賃・人勧闘争が夏季にたたかわれます。
この間の最低生計費調査では、全国どの地域でも時間額にして約1500円が必要なのが明らかになっており、これに満たない賃金は、憲法25条の「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」が保障されていないことになります。
都道府県によって最賃の引き上げ額に格差があることによって、地域間格差が年々拡大し、地域経済や労働人口の流出などの影響がもたらされています。
すべての労働者の賃金引き上げと格差解消に向け、全国一律最賃制度の確立と、「今すぐ1000円」を訴えながら最低賃金1500円の実現に向けて奮闘しましょう。
人勧闘争で確実な賃上げのサイクルを確立しよう
人事院勧告制度は労働基本権はく奪の代償とされているにもかかわらず、人事院や人事委員会には労働者代表は入っていません。政府・財界は、人勧制度が始まって以来70年間、すべての労働者の賃金を抑制させるために活用してきました。政府・財界は、労働政策を経済政策に置き換え、雇用破壊と賃金の抑制をいっそうすすめることをねらっています。
そんな政府・財界のねらいを跳ね返し、生計費原則にもとづく賃金水準とともにだれもが「全体の奉仕者」として働きがいの持てる賃金・労働条件を確立させるためにも、全国で人勧闘争を展開し、すべての労働者の賃上げのサイクルを確実なものにしましょう。
あわせて今年の地方人事委員会に対しては、会計年度任用職員に対する雇用や賃金・労働条件が確保できる勧告・報告をさせなければなりません。また、7・25中央行動で総務省に提出する、制度導入にともなう財源確保をはじめとした要請書を、多くの組合員の声として総務省に届けましょう。
安倍政権は「モリカケ疑惑」を解明させることなく、過労死を促進する「働き方改革関連法案」や「カジノ法案」などの悪法を強行するため、強引に国会を会期延長させました。国民・労働者のためではなく、財界優遇・党利党略のために国会運営をしていることは一層明白になりました。安倍政権を退陣させ、だれもが安心して働けるルールを勝ちとりましょう。
消防力の充実をめざして
団結権の獲得に向けて奮闘する消防職員の自主組織
「全国消防職員ネットワークの会」、通称「ファイヤー・ファイターズ・ネットワーク(FFN)」を御存知ですか? 結成21年目を迎えた消防職員による自主的組織について、FFN会長の松永幸雄さんにその歴史ととりくみ、消防職員をとりまく課題を聞きました。
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阪神・淡路大震災を契機に結成
消防職員の自主的組織・FFNは、1995年の阪神・淡路大震災で、消防力の劣勢を目の当たりにした私たち全国の消防職員が、「市民のいのちとくらしを守るためには、消防職員自らが考え、声を出さなければならない」と気づいたことから始まりました。
1997年5月23日、13都道府県19消防から百数十人の消防職員が集い、消防力の充実、消防職員の団結権獲得、消防職場の情報交流など、文字通り消防職員同士の情報ネットワークの強化をはかることを目的に結成しました。
毎年、消防職員が交流できる消防職場問題学習会や研修会を各地で開催しているほか、消防職員の体力自慢を競う「ジャパン・ファイアー・ファイターズ・スピリッツ」を開催しています。
また、全国各地で相次ぐ災害でのボランティア活動にも組織を上げてとりくんでいます。
ILOからも勧告 団結権保障を
一方で消防職場では、ハラスメントが繰り返される問題があります。政府は、ようやく今年3月にハラスメント等への対応策を全国の消防本部に通知しました。私たちは、総務省・消防庁とのヒアリングを実現させ、消防本部での対応策や外部の相談窓口を設置するよう要求し、実現させることができました。
上位下達の階級社会で、職員同士が集まって話し合いができない風通しの悪い職場が、ハラスメントの温床になっています。その背景には、憲法で保障された団結権すら消防職員にはないことに起因するものと私たちは考えています。
総務省や国会議員に団結権保障の要請行動を行い、ILOには過去3回(1995年、1997年、2008年)「団結権問題」を直訴してきました。今年5月28日~6月8日にILO総会が開かれ、改めて消防職員の労働基本権に関わって日本政府への勧告が採択されたところです。
FFNをもっと大きく
消防職員が安心して働くことができる職場の実現が、市民の安全・安心につながると確信しています。
消防体制の充実、団結権獲得をめざし、活動を広げていきたいと考えています。FFNの活動にご協力いただいている自治労連のみなさんには、引き続き御支援をお願いいたします。
第20回 現業評全国学習交流集会 in 福岡市
住民の安全・安心こそ私たちの働きがい
6月9~10日
自治労連現業評議会主催の第20回全国学習交流集会が、福岡市で開催されました。
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交流集会1日目は、高柳京子自治労連副中央執行委員長の「住民の安全・安心こそ私たちの働きがい―民主的自治体労働者論とは」をテーマとした講演が行われました。
各地からの報告では、名古屋市職労から、住民とともに2016年から行われた学校給食の民間委託導入反対のとりくみが報告されました。また、神奈川県職労からは、一部職場の現業職員数の定数増を実現させたとりくみも報告されました。
働きつづけたい 思いを交流
2日目は、「給食」「用務」「清掃」「定年と年金」の4つの分科会が行われました。職種ごとの分科会では、白熱した討議が行われ、意見を交流しました。
関心が高まっている公務員の定年延長をテーマにした分科会では、賃金や退職金、65歳まで現業で働き続けられるかなど、さまざま意見や課題、疑問が出されました。
職場の後輩を誘って参加
今回は「職場の先輩が後輩を誘って一緒に参加できるように」という目的から、初めての試みとして、賃金・労働条件や組合の役割など基礎的学習・講座を行う第19回現業労働学校を同時開催しました。
全体で21地方組織から132人(うち現業労働学校は8地方組織15人)の仲間が集まりました。
参加者からは、「『自分も一緒に行くから労働学校へ参加してみないか』と後輩を誘うことができたのでよかった」との感想が寄せられました。
すすむ非正規公共評(43)
「つながろう」「声をあげよう」が合言葉
京都自治労連 京都市職労
京都市職労は、喫緊の課題として、嘱託員の要求実現と組織化に力を入れています。これまで組合が勝ち取ってきた嘱託員の経験加算や臨時報酬(一時金)などが、会計年度任用職員制度切り替えを名目になくなれば、京都市で働く約1700人の嘱託員と臨時パート職員に大きな影響を及ぼすからです。
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「これまでの要求づくりや交渉では現場の声が力になる」「嘱託員自らが声をあげることが大切」と意思統一。「つながろう」「声をあげよう」をキーワードにした「ツナごえ」プロジェクトをすすめています。
12月には要求書を提出し、『ツナごえ!ニュース』の発行をはじめました。嘱託員全員を対象に、今年1月から40回の学習会を開催し、のべ320人が参加し、組合加入も増えています。
嘱託員から京都市職労の執行委員になった山本美佳さんは、「執行委員会での議論や交渉にも直接参加できるようになり、責任重大です」と、自身も職場訪問など積極的にとりくんでいます。「組合員も増えて、声を寄せてくれる人が増えました」と運動の広がりを実感しています。
これまで組合に興味のなかった人が、職場や同じ職種の仲間に声をかける、職場実態を報告してくれるなど変化が起こっています。京都市職労・大野由晴書記長は「正規職員の退職金削減反対署名にも嘱託員の多くが協力してくれました。京都市で働くすべての仲間のとりくみで賃金・職場環境改善の前進をはかりたい」と確信を強めます。
5月18日には「嘱託大集会」を開催し、要求実現のために仲間を増やすことを確認し合いました。
シリーズ13 いちから学ぶ仕事と権利
全国一律の最賃制度で格差是正を
最低賃金決定の仕組み
最低賃金法にもとづいて、毎年10月頃に改定される最低賃金ですが、最低賃金の改定額はどうやって決められているのでしょうか。
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最低賃金は、厚労省の諮問機関である中央最低賃金審議会で、まず「引き上げ目安額」が労働者委員・使用者委員・公益委員の三者審議で決まり、次いで各都道府県の地方最低賃金審議会で、それぞれの最低賃金時給額が改定されます。
審議では「労働者の生計費」「賃金」「通常の事業の賃金支払能力」を考慮することになっていまが、労働組合や学者の調査結果によって明らかになった時給1500円水準にはほど遠いものになっています。
しかも、全国をABCDの4ランクに分けて目安額を決めるため、地域間の格差が縮まるどころか、広がるばかりであり、2000年で最大103円だった最低賃金格差は昨年221円に広がりました。
審議会の議事は、鳥取県など一部をのぞき、そのほとんどを傍聴・公開せず、審議会のあり方が問われています。
また、郵便事業やコンビニなどのように全国で同一のサービス・商品を扱っているにもかかわらず、労働者の賃金は最低賃金に張りついて、そのまま賃金格差の原因となっています。また、図にあるように各地の人口流出にも結びつき、地方公務員の地域手当の格差にも反映しています。
諸外国の最賃制度は全国一律であり、日本でも全国一律導入が求められています。
今年の中央審議会は6月26日から始まり、毎年7月末には目安額が出ます。職場と地域から最賃引き上げの世論をつくっていきましょう。
第32回 千葉県地方自治研究集会
憲法が求める姿に行政を引き戻そう
自治労連千葉県本部主催の第32回千葉県地方自治研究集会が6月23日、「憲法を活かして、住民と職員とが希望を持てる自治体と職場を語り合うこと」をテーマに開催され、千葉県内外から247人の参加がありました。
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最初に、前川喜平さん(前文部科学省事務次官)が「憲法が求める公務と公務員~森友・加計問題から~」と題して講演し、森友・加計学園問題を切り口に公務員のあり方について話しました。
前川さんは、公務員は憲法が要請する「全体の奉仕者」、「憲法擁護義務」をしっかり心得なければならないと強調。行政について、憲法が求める姿に引き戻す役割を負っているのは一般職の公務員と述べました。
また、「まず公務員である前に主権者である国民であり、自治を担う住民の一人である」と述べ、こうした自覚をもって職務にあたることが大切と語りました。
不当な支配・介入 許されない
前川さんはたとえ良心に従って異議を申し立てても権力に屈することもあるとし「私は面従腹背を繰り返してきた」と話します。具体例として、沖縄県竹富町が育鵬社版公民教科書を不採択とし、東京青籍版を採択したことをめぐって、文科省が「採択無効」とした問題に法改正でいかにして解決したか経過を紹介。町が自由に採択できるよう、当時の前川さんは意図を隠しつつ答弁をしていたというエピソードが語られました。
最後に、「不当な支配」に服してはならないと規定した教育基本法16条とそれが争点となった判例を紹介し、政治の教育行政、国の地方自治への支配・介入は許されないものだと強調し締めくくりました。
福祉・医療の現場から実態と課題を議論
続く特別報告では、千葉県職労の水谷達也さんが児童虐待相談件数増加とケースの複雑化で体制が追いついていないなど児童相談所の実態を、地域医療について千葉県本部医療評議会副議長の香取春美さんが、効率化を至上とする国の方針が、地域に根付く公立・自治体病院に必要な独自性を損なわせているなどの報告を行いました。
午後の部では、「自治体職場の『働き方』を考える」など他3分科会・講座に分かれ、参加者は学び交流しました。
大阪北部地震
自治労連本部よりカンパのお願い
大阪・高槻市を震源地とする大阪北部地震が、6月18日に発生し、大阪、京都、兵庫をはじめ近畿各府県に被害が広がりました。
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消防庁のとりまとめでは、死者5人、重傷者9人、軽症者408人、住宅の全壊3棟、半壊13棟、一部破損6909棟となりました。いまも余震が続いており、大阪府内では116カ所の避難所に469人、京都府内では2カ所の避難所に7人が避難しています(25日午前7時30分現在取りまとめ)。
自治労連は、被災者支援カンパを呼びかけています。
自治体にはたらく青年のつどい in 福島
原発事故から7年 福島の現状と課題を再確認
6月9~10日
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住民生活を守るのは私たち
32回目を迎える「自治体ではたらく青年のつどい」が6月9~10日に福島県で開催されました。東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故から7年が経過し、関連報道が減っていくなかで、福島の今はどうなっているのか、自分の自治体で同様の事故があったら対応できるのか、議論を交わしました。
つどい初日、自治労連青年部・大下真一部長は基調報告で、「公務労働者として、労働組合としても、住民生活を守るのは私たち。福島で学び、あらためて住民が安心して生活できるよう、原発再稼働・新増設をやめさせ、原発ゼロを実現するために行動しよう」と呼びかけました。
次に、ふくしま復興共同センター代表委員で福島県労連議長の斎藤富春さんが「原発事故から7年、福島の現状と課題」と題して講演。「汚染水問題解決のめども立たず、深刻かつ長期の被害をもたらしているなかで行われている『福島県民切り捨ての政治』に対し、『我々はただの被害者では終わらない。時代の先駆けとなろう』」という決意で活動していると訴えました。
郡山市、二本松市の青年を助言者に
2日目は、現地視察グループと分散会に分かれて議論を深めました。
分散会では、葛尾むらづくり公社専務理事兼事務局長の松本松男さんによる「葛尾村の全村避難と復興への道」と題した講演を受けました。
その後郡山市職労や二本松市職労の青年が助言者となって6つのグループに分かれ震災当時の状況、避難所運営や労働組合のとりくみを学びました。