機関紙『自治体の仲間』2018年 6月号 Vol.535 誰もが安心してくらせる地域へ 地域の現状と実践に密着して議論
自治研全国集会プレ企画 第11回 高知県地方自治研究集会
誰もが安心してくらせる地域へ
地域の現状と実践に密着して議論
今年10月に高知市で「第14回地方自治研究全国集会」が開催されます。これに先立ち高知県地方自治研究集会が、5月19日に開催され、記念講演「高知の地域調査から見る地方自治と地域づくり」をはじめとして、地域の現状と実践に密着した課題を全体会と分科会で議論しました。
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[記念講演] 調査を基礎に地域に主導権を
この20年間で高知県内のコンビニエンスストアの店舗数は3倍になり、すでに高知市内では、2183人に1店舗の割合と全国平均並みの飽和状態になっています。その一方で小売店は5割が廃業しています。
記念講演を行った岩佐和幸教授は県内のコンビニエンスストア調査の結果を紹介しながら、「コンビニは低賃金・非正規労働に依存しながら、店舗経営自体も高リスク・低リターン」に陥っており、「大手資本の進出による地域経済効果はごくわずか」と現状を分析します。コンビニの店舗拡大を例に「大手資本の拡大と地域経済のかい離・矛盾がすすんでおり、これを放置すれば、経済的強者・首都圏に利益が集中し、他の地域には悪影響を及ぼす」と問題を明らかにしました。
これに対して地域に主導権を取り戻すためには「地域住民による管理・誘導が不可欠」として、「地域づくりの基礎としての地域調査や、住民の自己決定(民主主義)の基礎としての地方自治・憲法を守ることが重要です」と話しました。
[分科会] 「土佐あかうし」の産地づくりと雇用対策
「誰もが安心して住み続けられる地域づくりに向けて」の分科会では、嶺北地域での「土佐あかうし」畜産が取り上げられました。
畜産農家の高齢化と後継者不足のなかで、JA出資型農業生産法人として設立された㈱れいほく未来は、土佐町が実施する農業インターンシップ事業と連携し、農作業体験の受け入れ、長期の農業研修(雇用研修)を担って、減少しつづけた「土佐あかうし」の人気の回復と増産を達成しました。設立から7年で400頭を飼育し、生産体制の整備、雇用の継続と独立支援をつづけて、畜産農家の維持・継承に寄与しています。
分科会の参加者からは、この事業から学ぼうと後継者育成や販売ルートなど具体的な質問が出されました。
自治研って何?
1950年代に全国の自治体が深刻な財政危機に陥いるなか、長野県で自治体職員と教職員の組合が共催した集会で、参加した住民が「学校の先生が首を切られることは、教育の質の低下を招き、親として黙っているわけにはいかない。しかし、役人は多すぎるから首を切ってもいいのではないか」と発言しました。これに衝撃を受け、「自分たちの仕事が、住民の願いに応えているのか」「住民全体の奉仕者として、仕事を総点検する必要がある」と、地方自治の実践的課題を研究する『地方自治研究(=自治研)』活動がはじまり、1957年に最初の「自治研全国集会」が開催されました。
この秋第14回地方自治研究全国集会in高知へ
高知で「待ちゆうきね」 青年よさこいプロジェクト
10月6~7日に自治研全国集会が開催される地元の高知自治労連青年部は、青年のつながりを深めようと「よさこいプロジェクト」をすすめています。
きっかけは「四国ブロック青年部交流会」で出会った青年の「仲間が少なくて、交流も難しいし、悩みも相談できる状態じゃない」の一言に、「『よさこい』に出て、同じ悩みを持つ青年同士をつなげていけないか」と提案したことが始まりです。
「『よさこい踊り』を通して、ひとりではできないことも、仲間がいればできると思ってもらえるプロジェクトにしていきたい」と、8月のよさこい祭りへのチーム出場をめざして、参加の呼びかけと準備をすすめています。
「自治研全国集会で歓迎行事として『よさこい踊り』を披露する予定です。自由民権運動発祥の地である土佐、高知で大いに学び合い、交流を深め合いましょう」と高知自治労連青年部の原山裕太書記長は全国からの参加を呼びかけます。
5・25中央行動 2018夏季闘争
安倍「働き方改革」は許さない
8時間働けば普通にくらせる賃金を
全労連・国民春闘共闘が5月25日に主催した中央行動には、全国から700人以上が駆けつけ「8時間労働制」の堅持とともに「人間らしいくらしができる賃金」の確立などを求めました。自治労連は全国から177人が参加。「夏季一時金闘争勝利」などの要求を結集する場としてとりくみました。あわせて「正規・非正規つなぐアクション」を推進する院内集会を開催し、各地のとりくみを交流しました。
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人事院の役割果たせ 実態を踏まえた勧告を
人事院前要請行動
人事院前での要請行動で主催者あいさつを行った全労連公務部会・公務労組連絡会議長の自治労連・猿橋均委員長は「7月末は公務の賃金闘争の山場。職場にはびこる長時間労働の規制、安心して働き続けられる定年延長制度の具体化、正規・臨時非常勤の均等待遇をめざすとりくみに確信をもちたたかおう」と呼びかけました。
各地からの発言では、大阪自治労連・仁木将さん(自治労連非正規公共評議会・副議長)が、大阪でとりくんだ『私の仕事と実態レポート』を紹介し、「情熱とやりがいを持ち、正規と同じ仕事をしているが、雇用の不安を感じる」「人事院は実態を把握しているのか」と、人事院の役割に疑問と怒りの声をぶつけました。
職場のつながり広げ処遇改善を
「つなぐアクション」推進院内集会
院内集会では、7月に提出する「公務公共サービスの拡充・向上と自治体臨時・非常勤職員の雇用・待遇改善を求める」総務省あて要請署名を推進することや、夏の闘争期に「会計年度任用職員制度」にともなう各地での要求・交渉にとりくむための意思統一を行いました。
主催者あいさつで猿橋均委員長は、「各地の運動を結集し、正規・非正規の抜本的な賃金労働条件と公務公共サービス拡充の実現に向けたたかおう」と呼びかけました。
とりくみの報告では、臨時・非常勤職員の仲間の勤務実態などを明らかにする「実態レポート」をつくって人事当局と交渉を行っていることや、仲間を増やして非正規がつながることの大切さを伝え、正規・非正規でともにたたかいたいと訴えました。
働く人が大切にされる社会を
5・22 日比谷野音集会2018
「働き方改革一括法案」の廃案を求める日本労働弁護団が主催の「日比谷野音集会2018」には、国会議員、労働組合、学者、過労死を考える家族の会、市民など1800人が参加し、「廃案」の声を上げました。
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働き方改革一括法案に対して、全国過労死を考える家族の会は「過労死が増えることは目に見えている。(政府や与党は)財界の意見しか聴いておらず、遺族の声は届いていない」「労災申請さえもできなくなり、死人は増えても過労死は減るという事態が起こる」と訴えています。
5月31日の衆議院本会議で一括法案は採決され、参議院での成立がねらわれています。
自治労連は、一括法案成立阻止のため、昨年秋から過労死を根絶する署名をとりくんできました。真の長時間労働是正を実現させるために、職場・地域で法案の危険性を学んで伝え、署名を積み上げ、安倍「働き方改革」にNO!の声を集中させましょう。
「職場・地域からまともな労働組合運動をすすめる」交流集会
正規・非正規の思い交流し要求実現へ
東海・北信ブロック協議会
自治労連東海・北信ブロック交流集会が、5月26~27日に、静岡・浜松市内で開催され、2日間で90人が参加しました。
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1日目の全体会では、各県5人の仲間がパネリストとなり、「正規職員が減り非正規職員が増えている職場で、正規も非正規もどんな思いで働いているのか」と、具体的な職場の声を紹介し、職場の長時間・過密労働の実態と会計年度任用職員制度へのとりくみなどが報告されました。
会場からは静岡・浜松市職での幼稚園の時間外手当請求(関連3面)や、富山・とやま自治体一般労組での仲間づくり(関連6面)など発言が続きました。
青年組合員の参加も多く「こんな大きな集会に初めて参加しました。いろいろなことが学べてよかった」と感想が述べられました。
仲間の実践を学び要求の前進を
自治労連第57回中央委員会を開催
自治労連は「2018年国民春闘」の到達点と課題、当面する夏季闘争のたたかいに向け第57回中央委員会を5月11~12日横浜市内で開催し、全体で254人が参加しました。議案に対して、中央委員31人からの発言を受けて執行部答弁を行い、議案は反対・保留なし賛成多数で承認されました。
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つながりを広げ要求を実現
正規と非正規の仲間がつながり展開されたとりくみについて、京都から「京都市職労ではじめて非常勤職員の執行委員が誕生し、声をつなげる『つなごえプロジェクト』をスタートさせ、新たに仲間を迎えた」。愛知からは「自治体訪問で、会計年度任用職員制度に対する当局の認識の低さが明らかに。西尾市職では1200人の非正規の仲間に手紙を送り仲間づくりのとりくみをすすめている」と報告がありました。
人事院勧告をめぐるたたかいでは、岡山からは「笠岡市職労では、人勧凍結に対するたたかいで、プラス勧告分の反映を求め全組合員数の8割に及ぶ要請署名を提出し、粘り強い交渉で、差額支給を勝ち取った」と成果が報告されました。
地域・職場をめぐるとりくみでは、多くの中央委員から職場の実態把握のためのアンケート調査、職場訪問活動にかかわる発言が続きました。東京からは「世田谷区職労で、訪問活動による残業の実態調査やアンケート結果を活用し、係長や課長を動かし、人員増を勝ち取った」と成果と教訓が語られました。
被災自治体の状況を告発した福島からは「浜通り避難自治体職員アンケートでは『定年まで働く』がわずか4割程度。復興支援と原発ゼロを求めたたかう」と決意表明もありました。
全国の教訓に学び増勢に転じよう
総括答弁した中川悟書記長は、「全国の仲間はさまざまな困難を抱えているが、仲間の教訓に学び、必ず要求前進が勝ち取れると確信を持ち、夏季闘争の前進、組織拡大で増勢に転じ、8月の定期大会を向かえよう」と訴えました。
組合の実態調査アンケートの声と労安活動が人事当局を動かす
幼稚園職員296人の不払い残業手当の支払い実現
静岡・浜松市職
浜松市職では、職場アンケートの結果を活用した要求活動で、60の幼稚園で働く正規・非正規の職員298人の内、296人に対して、合計で2万4878時間分、総額5534万円の不払い残業手当を支払わせました。また、総務部長名で「タダで残業、させていませんか?」の通知を出させ、不払い残業根絶を人事当局に宣言させました。
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幼稚園職場から組合に長時間残業と不払い残業の実態を訴える声が寄せられていました。組合では幼稚園部会準備会を立ち上げ、昨年3月にアンケートを実施。140人から回答があり、2月の1カ月間だけで、2980時間の不払い残業の実態が明らかになりました。組合では、労働安全衛生委員会の職場巡視による実態把握を行うとともに、昨年9月、人事委員会へ指導を要請しました。指導を受けた人事当局は、昨年4月から7月分について調査を行った結果、不払い残業手当を今年3月に支払わせることができました。
当局は二度と不払い残業を起こさせない決意を示していますが、記録に残らない持ち帰り残業の課題もあり、業務の見直しや人員増の要求実現のため、保育園部会の協力も得て、幼稚園部会の設立をめざしていきます。
主張 働き方改革一括法案
安倍「働き方改革」の本質は、大企業のための「働かせ方改革」
「働き方改革一括法案」は、本来、労働者を保護するための労働法制を、生産性向上を目的とする企業の儲けのための「働かせ方」に変質させるものであり、憲法が保障する「生存権」やILOが提唱する「ディーセントワーク(働きがいのある人間らしい仕事)」を否定するものです。
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雇われて働くことで生計を立てる労働者は、使用者に対して圧倒的に弱い立場にあります。だからこそ憲法や労働法によって守られています。
国には、8時間労働の原則を企業に徹底させ、労働者の保護と、生存権を保障する責任があります。責任を放棄して、過労死・過労自死を招く異常な働かせ方を合法化することは許されません。
労働者性・人間性を否定する高度プロフェッショナル制度
過労死ラインを越える月100時間もの残業時間の合法化や、年104日、4週で4日休ませれば、48日間24時間連続勤務でも違法とならない「高度プロフェッショナル制度」は、労働者性だけでなく人間性をも否定するものです。
さらに、年収要件の1075万円について、財界や前厚労大臣も400万円まで引き下げる意向を示しており、一度導入されれば、派遣労働の職種のように拡大される恐れがあり、大変危険です。
不公正な行政をただし、憲法がいきる日本をつくろう
「働き方改革一括法案」をめぐって、裁量労働の優位性を強調するため調査結果データのねつ造や、不適切なデータが全体の2割もあることが判明し、国会で厳しく追及されています。
国会は、行政が公正に行なわれているかを監視し、明らかにする役割をもっています。野党の追及により、裁量労働制拡大は法案から外されましたが、不適切データにもとづいた法案自体は衆議院で強行採決されました。
問題点と論点が山積し、議論を尽くさない一括法案は、廃案しかありません。
今、行政の在り方や『全体の奉仕者』の原則が問われています。私的な利益や、大企業の利益のための『一部の奉仕者』になってしまっていることは、憲法にも反する許されないことです。
いまこそ憲法がいきる行政、政治に変え、「人間としてのまっとうな働き方」の実現のため、安倍政権退陣の世論を大きくしていきましょう。
おいしくて、楽しくて 各地で給食まつり
各地で行われている「給食まつり」。全国の仲間が仕事の役割や大切さを住民に伝えています。今号は、愛媛と広島のとりくみを紹介します。
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市民、子どもたちも大喜び
愛媛 西条市職労
西条市職労現業評議会は、4月29日の市民と市でつくる実行委員会主催「西条市産業フェスティバル」で、給食調理員の仕事、役割、重要性を伝えようと「第2回給食まつり」を開催しました。
オープニングでは、「魚」や「みかん」、「野菜」などの食材に仮装した給食調理員や栄養士がダンスパフォーマンスを披露し、会場を盛り上げました。
学校給食調理場で調理した揚げたての「昔なつかしい揚げパン」の販売は大好評で、短時間で完売しました。
日ごろの給食調理場での調理状況や給食ができる工程を紹介する写真パネルコーナーや、実際に提供している給食を食べることができる「給食食堂」も開かれました。
「調理員さんになりきろう」体験コーナーでは、訪れた子どもたちは白衣に着替え、マスクをつけてもらいます。ちびっこ給食調理員に、道具の使い方や具材を混ぜるコツなどをていねいに教えました。食育クイズも行いながら、給食調理員の仕事と役割の重要性について、参加者に楽しく知ってもらいました。
「市民のために」の気持ちを忘れず
広島市職労
「給食を懐かしみ、楽しみ、そして考えるひと時となるように」と、広島市職労も参加する実行委員会が主催する第15回ひろしま給食まつりが4月22日に開催されました。会場となった広島市中区タカノ橋商店街に集まった約3500人の市民に公務公共業務の大切さを伝えました。
給食調理員と一緒に、簡単スイーツ作りをする「親子クッキング」や、環境局職員によるゴミ分別紙芝居とクイズ、調理員の食育ダンス、野菜の皮むき体験、回転釜の釜混ぜ体験、豆つかみから、ゴミ収集車の展示、花の苗プレゼントなど、大人から子どもたちまで楽しめる内容で、商店街は大いに賑わいました。
「楽しかったよ。また来るね」と笑顔で手を振る子どもたち。「子どもたちのために、安全安心な給食をつくること」「市民のためにという気持ちを常に忘れず、責任のある仕事をすること」をあらためて決意しました。
全国から広島・長崎へ 国民平和大行進スタート
9条守り核なき世界へ
国民平和大行進60周年
今年60周年を迎えた2018年原水爆禁止国民平和大行進が5月7日に東京・夢の島公園を出発し、現在、全国主要11コースで被爆地の広島・長崎をめざしています。
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東京・夢の島「第五福竜丸展示館」前の出発集会には、自治労連の仲間も合わせて800人が参加しました。
平和行進は6月から愛知、岐阜、京都へすすみ、7月には大阪に入ります。8月の広島と長崎で開催される原水爆禁止2018年世界大会がゴールとなります。
1人から始まった平和行進
1958年の6月20日、当時33歳の日蓮宗の僧侶で米軍基地拡張に反対した東京の砂川闘争にも参加していた西本敦さんが、広島原爆記念碑の前から、当時東京で開かれた8月の第4回原水爆禁止世界大会にむけて、1人で行進を始めます。
「歩くという人間の最も初歩的な行動によって、人類的課題である原水爆禁止を訴えたい」と西本さんは、平和行進の目的と意義をこう語ったと言われています。
西本さんの平和行進は大きな共感を呼び、だんだんと参加者が増えて、8月に東京に到着したときには、平和行進は1万人を超える人数に膨れ上がっていました。広島から東京まで、のべ100万人が西本さんの思いにこたえました。
西本さんは、38歳の若さで亡くなりましたが、その思いは引き継がれています。
ヒバクシャ国際署名515万筆超へ
平和行進でも呼びかけているヒバクシャ国際署名が、515万4866筆(5月23日時点)に達しました。このうち1083首長(20の県知事を含む)がヒバクシャ国際署名にサインしました。県内の全首長がサインしたのは岩手、長野、香川、鳥取の4県となりました。
すすむ非正規公共評(42)
学習会呼びかけが組合加入のきっかけに
富山県事務所 とやま自治体一般労働組合
とやま自治体一般労働組合では、昨年の夏から、組合内で会計年度任用職員制度の学習会を数回重ねてきました。今年の4月28日には現場の非正規労働者向けの「会計年度任用職員制度学習会」を開催しました。
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学習会参加を呼びかけるチラシを作成して、非正規のヘルパーや保育士がいる職場に配布しました。
80枚のチラシ配布に対して、当日の参加は9人でした。学習会では、会計年度任用職員制度の概要を説明しながら、参加者の職場や労働実態なども話してもらいました。
参加者からは、「10年働いても給料が変わらない」「職場は大変になっているのに労働条件を引き下げられたらたまらない」などの発言がありました。
今回の学習会には、3人の労働組合未加入の労働者が参加してくれました。事前に組合加入を訴えるチラシと加入申込書も配布し、学習会終了後に加入を訴えると、3人全員が組合に加入してくれました。
今回の成果に、松田光恵書記長は「率直に驚きです。いかに現場で職員が矛盾を抱えているか、法改正により自分たちがどうなるのかを真剣に考えているのだと思います」と話します。
学習会をきっかけに加入した、介護福祉職で十数年働いてきた組合員は「現場のみんなは、制度の話はだれも知らない。大変なことになるのではないか。少しずつ仲間を集めて、当局と交渉できるようにしていきたい」と、要求実現と組織拡大への思いを語ってくれました。
とやま自治体一般労働組合は、新しい組合員の力にも依拠しながら、今後も、学習会を続けていきます。
シリーズ12 いちから学ぶ仕事と権利
労働安全衛生活動で職場改善しよう
7月1~7日全国安全週間
今年7月1~7日の全国安全週間は、労働災害防止活動の推進と、安全に対する意識と職場の安全活動の向上にとりくむ週間です。職場における労働災害防止活動の大切さを再確認し、積極的に安全衛生活動にとりくみましょう。
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どきどきしながら新しく職場に入ったみなさん、良い環境のなかで充実した仕事にとりくめることを願っています。これからの長い職業生活のなかで、必ずしも気持ちよく仕事ができる環境が保障されず、悩むこともあると思います。「職場が女性(男性)ばかりで、着替えの場所がない」といったことから、「がんばっても仕事が時間内に終わらず、長時間の残業になってしまう」「上司・同僚からハラスメントを受けている」と心身の健康にかかわることまで…。そうした時に思い出してほしいのが、労働組合がとりくんでいる労働安全衛生活動です。
更衣室、照明の問題からハラスメントまで
労働安全衛生法では、職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境をつくることを目的として、健康診断の実施をはじめさまざまな義務を使用者に課しています。これにもとづき、労働組合では職場の要求に沿ったとりくみをすすめています。
従業員が50人以上の事業所では、労使の代表が安全衛生委員会を作り、協議することが義務付けられています。こうした場も活用して、「男女別の更衣室やトイレを確保させた」「残業時の空調や照明を改善させた」「職場巡視をして長時間労働の実態を把握し、労働組合の運動で人員増に結びつけた」「ハラスメントを受けたという訴えをとりあげ、調査・改善指導した」など、多くの成果をあげてきました。職場環境に問題を感じているけれど、一人では声をあげられないと悩んでいたら、ぜひ労働組合に相談してください。
仕事でのケガや病気はまず組合に相談
通勤時や仕事が原因でケガをしたり病気になった場合、労働災害や公務災害認定を受けられれば治療費や休業手当が補償されます。非正規労働者であっても対象となります。
請求手続きの仕方等は厚生労働省や地方公務員災害補償基金各支部のホームページでも調べることはできますが、複雑ですので、まずは労働組合に相談しましょう。
憲法を政治にいかし、豊かな社会をつくろう
非核・平和の歴史を築こう いまこそ憲法9条の力を世界に広げよう
9条改憲NO! 5・3憲法集会280カ所で開催
5月3日の憲法記念日に、安倍9条改憲に反対する集会が全国で行われました。自治労連がとりくむ3000万人署名や、憲法キャラバンでも「憲法を守る」声が広まっています。
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東京で6万人
安倍内閣がすすめようとしている憲法改正に対し、「日本国憲法の理想とする豊かな社会をつくろう」と憲法集会実行委員会主催のもと、東京・有明で、5月3日に憲法集会が開かれ、昨年を超える6万人が集まりました。
集会では、自治労連もとりくみをすすめている日本国憲法の民主主義、基本的人権の尊重、平和主義の諸原則が政治にいかされることを求める「3000万人署名」が、安倍内閣のこの間の森友・加計学園問題に見られる、国政・行政の私物化に怒りの声が広がりを見せるなかで、1350万筆を超えたと報告されました。
また憲法集会は日本中で開かれ、280カ所で集会・デモが行われました。
大阪集会に2万人
大阪では、平和・くらし・まともな政治を求める「安倍9条改憲ゆるさない!5・3おおさか総がかり集会」が5月3日、扇町公園で開かれ、2万人が集まりました。
大阪自治労連の仲間もたくさん参加し、自治体労働者として、5・3集会後のパレードでは、安倍内閣のもとで引き起こされている問題に対し「政治の私物化・隠ぺい・セクハラ…アカンやろ」と訴え、「憲法9条は世界の宝だ」とアピールしました。
兵庫集会9000人
兵庫では、「戦争させない、9条壊すな」を求め、「5・3兵庫県憲法集会」が約250団体の賛同を得て開催され、9000人が集まり、兵庫自治労連の仲間も多数参加しました。
集会では、実行委員会代表の羽柴修弁護士が、安倍政権の5年間をふり返り、「特定機密保護法、集団的自衛権の解釈改憲、安保関連法と共謀罪法の強行採決、どれもが戦争するための準備だ」と批判し「子どもたちに戦争のない未来を残そう」と呼びかけました。
組合員プラスアルファの力で3000万人署名目標を達成
岩手・平泉町職
平泉町職では、「3000万人署名」を組合員1人10筆超の目標をかかげ、管理職にも署名用紙を配布し協力を呼びかけるなど、幅広くとりくみ、5月8日には、町職100人プラスアルファの力で、目標の1000筆を超え、引き続きとりくみをすすめています。また、平泉町職青年部は5月19日、「平泉9条の会」とともに世界遺産・平泉中尊寺「月見坂」前で、平和と民主主義、憲法9条の大切さを訴える地域宣伝を行いました。
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地域宣伝のとりくみに対して、観光客から「ご苦労さまです。がんばってくださいね」と激励の声がかけられました。
7市2町へ憲法キャラバン
「憲法改正」は本末転倒
かごしま自治労連
かごしま自治労連は、鹿児島県労連とともに5月末から憲法キャラバンを実施。7市2町を訪問し、憲法を中心に懇談を行いました。
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ある自治体幹部は、「(森友・加計学園問題など)ウソ、偽り、忖度がまかりとおっている現状で、憲法改正の正常な議論ができるのか甚だ疑問であり、そうした問題を引き起こしておきながら憲法改正や道徳教育を言うこと自体が本末転倒だ。憲法遵守義務がある公務員こそ憲法を守る必要がある」と話します。
別の自治体幹部は、「時勢に応じて憲法を変えること自体に反対はしない。ただ、平和憲法は譲れない」と語りました。
懇談のなかで「自主財源がある自治体はいろいろできても、それがない自治体は何もできず、全国民が平等な行政サービスを受けられていない」「前回の参院選時の低所得者への給付金支給は、自治体の事務作業が増えたうえに、真に平等な住民サービスとは思えない」と、憲法のもとで「平等な」住民サービスが実現されていない不満や、国政に自治体が振り回されていることも語られました。ほかにも人口減少対策や会計年度任用職員制度についても懇談しました。