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特徴と問題 (1)公務・公共サービスを民間企業等に丸投げ

 「市場化テスト法案」の特徴と問題について、法律案をみながら検討します。
(1)公務・公共サービスを民間企業等に丸投げ
 「市場化テスト法案」では、「市場化テスト」の目的と基本的な性格について、次のとおり規定しています。
(趣旨)
 第1条 国の行政機関等又は地方公共団体が自ら実施する公共サービスに関し、その実施を民間が担うことができるものは民間にゆだねるとの観点から、これを見直し、民間事業者の創意と工夫が反映されることが期待される一体の業務を選定して官民競争入札又は民間競争入札に付することにより、公共サービスの質の維持向上及び経費の削減を図る改革を実施するため…必要な事項を定めるものとする。
(国の行政機関等の責務)
 第4条 国の行政機関等は、…国の行政機関等の関与その他の規制を必要最小限のものにすることにより、民間事業者の創意と工夫がその実施する公共サービスに適切に反映されるよう措置する…。
   
 「市場化テスト法案」のなかには「民間事業者の創意と工夫」「国や自治体の関与を最小限に」という規定があふれかえっています。「市場化テスト法案」では、民間企業等が利益を生みやすいように一括りの業務をまとめ、国や自治体の規制を「必要最小限」に止めて民間企業等ができるだけ自由に「創意と工夫」を発揮すれば、公共サービスの維持向上と経費の削減が達成できるという「論理」が貫かれています。

 このことは国と自治体が担ってきた公務・公共サービスを民間企業等が投資し、営利活動をおこなう対象へと置き換えることであり、財界・大企業からみれば、「規制緩和・民間開放」によって新たに参入できる市場が、政府によって創り出されたということです。まさに「パブリック・ビジネス」であり、ビッグ・ビジネスチャンスです。財界系シンクタンク(たとえば三菱総研)によれば、指定管理者制度によって潜在市場は10兆円ですが、市場化テストを実施すれば40兆円規模の市場がうまれると試算し月刊『パブリックビジネス・リポート』(日経BP社)では「50兆円産業の到来」と皮算用しています。市場化テストの本格実施を前に、うまみのある公共業務を獲得すべく、大企業とベンチャー企業は入り乱れてしのぎを削っています。

 しかし「規制緩和・民間開放」すれば公共サービスの維持向上と経費の削減が達成できるという論理は虚構であること、国民の安全と安心を根底から脅かすものであることは、「耐震強度偽装問題」などで明らかになっているではありませんか。


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