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▲市井の人々の悲痛な叫び、優しさ、力強さをエッセーに |
大阪府門真市職員 北村和仁さん |

1995年1月17日の阪神大震災から11年がたちました。
今回の取材で、JR芦屋駅の北側に隣接するマンションのご自宅を訪ねました。北村さんはこのマンションで被災しました。「電子レンジや冷蔵庫などの開き扉が引きちぎられ吹き飛んでいました。家の前の芦屋駅のホームが崩れ、なくなっていました」
この大震災の後にも各地で大きな地震が何度も襲っています。震災の経験を教訓として活かし、誰もが哀しむことのない安心して住むことのできるまちづくりがもとめられています。しかしいっぽうで、この出来事の風化が叫ばれています。
北村さんは、5年前、震災体験をもとに書きためた詩とエッセイを「一月の栞しおり」と題して1冊にまとめ、自費出版しました。
“10歳の春に一輪の花”
朗読劇として上演
これを読んだ元同僚が脚本を書き、昨年1月15日に芦屋で、友人3人と共に朗読劇を上演しました。あの出来事を多くの人に知ってもらうことで、減災につながり哀しい思いをする人が少しでもなくなれば、との気持ちからでした。昨年9月に出版された「一月の栞 瓦礫のまちのラーメン」(新風舎)は、この5年間に書いたものを加えて出版社から出版されました。北村さんのもとには、読んだ方からの感想が寄せられています。「作者の行動と思想に裏打ちされたゆるぎないものそれを節度ある適切な表現が意図されていると思う」「まだいくらも読み進まないうちに涙でかすんでしまいました、誰かを傷つけないようにと心にとめて過ごそうと思い始めています」「あたたかい作品だと思います。やっぱりもうちょっとがんばってみようかな、という気持ちになります。いいなぁと思います、本当に」「これからも人と人とのつながりのあたたかさ、共に歩む心強さを表現し続けてください。そして再び自然からその傲慢さを諭されることのないように、時に立ち止まる謙虚さを発信し続けてください」
北村さんは、震災から立ち直ってゆく市井の人たちの姿、その思いを定点で見つめてきました。生まれ育った神戸の町の長田や須磨に毎週末、今も通い続けています。おりしも、耐震強度偽装が大きな社会問題になっている中で、被災者の思いはどう生かされたのか。「まだもっと書かなくては、怒りの気持ちと共に文章が湧いてきます。しかし、怒りだけでは前に進まない。地に這った視線で、住んでいる人の思いを発信してゆくこと、視点を間違わないようにといつも心に言い聞かせています」心の強さ怒りをやさしい眼差しのなかに感じました。