第64湯 |
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JR常磐線は茨城県の太平洋側の海岸に沿って走っています。茨城県の最北端・五浦(いづら)海岸。あと数キロも北にいけば福島県のいわき市です。海岸には複雑に入り組んだ五つの浦があることからこの名が付いたといいます。
この景勝の地に、近代日本の思想家であり美術界の巨人・岡倉天心が、当時の東京美術学校校長の職を辞して1898(明治36)年、多くの弟子とともに日本美術院を創設しました。横山大観、下村観山、菱田春草などの名だたる日本画家が、ここを拠点に美術活動を展開しました。天心は、近代日本の欧米文化一辺倒のなかにあって、日本や東洋の文化に目を向け、日本の仏教美術を掘り起こし、文化財保護の先駆者として活躍しました。また、幼少時代から身に付けた英語力で日本文化を世界に発信し、「アジアはひとつなり」の言葉を残しました。
海岸の先端に建てられた六角堂は、天心が読書と思索にふけった場所として往時の面影を伝えています。1997年に、岬の先端の丘に広大な茨城県天心記念五浦美術館がオープンし、天心をはじめ、ゆかりの芸術家たちの作品にふれることができます。
五浦海岸から少し南の磯原海岸から山あいに入ったところに常磐うぐいす谷温泉があります。このあたりは『船頭小唄』で知られる野口雨情が生まれた地ですが、雨情の童謡『七つの子』にも歌われている素朴な山里です。もともとこのあたりが鶯田(うぐいすだ)という地名だったことから、この名前になりました。谷川沿いの一軒宿の温泉です。和風の旅館の建物は、もと水戸藩の剣術道場があった場所といいます。旅館の前の崖地には「枕状溶岩」の標示がありました。この日は老人会のカラオケ温泉ツアーで、夜は演歌のうたごえが廊下に響きわたっていました。浴槽は大浴場とはいえませんが、窓の外は竹林が広がり、下には谷川が流れ、山里の風情がただよいます。温泉偽装表示騒動があったせいか、浴槽の上に「この温泉は源泉に加温・循環しています」の表示がありました。
温泉メモ
●常磐うぐいす谷温泉
| 所在地/ | 茨城県北茨城市磯原町鶯谷2275 |
交通/ |
JR常磐線磯原駅からタクシーで5分。旅館の送迎バスあり |
| 泉質/ | ナトリウム塩化物炭酸水素塩泉 |
| 効能/ | 神経痛、筋肉痛、皮膚病など |
| 宿泊料金/ | 1泊2食付き1万3000円から。日帰り入浴もあり |
| 問合せ/ | 0293−42−2288 |

