2. 公共工事・委託事業は劣悪な状態に

「安ければ良し」?公共工事・委託事業は劣悪な状態に

ワーキングプアが支える日本の公共事業

 国や自治体の発注する公共工事・委託事業に従事する労働者は、建設関係だけでも全国で600万人にのぼります。これにメンテナンス、印刷、出版、清掃、給食調理、福祉、介護、保育、学童保育、図書館司書、一般事務などのサービス関連労働者をあわせると全国で1000万人以上にのぼります。これらの事業に従事する労働者は、国民・住民の生活と権利、安全をまもる大切な仕事を担っています。

 ところが、労働者の賃金・労働条件は劣悪で、生活保護以下の収入で生活する人も少なくありません。国や自治体が税金を使って行う公共サービス事業で、多くのワーキングプアが生み出されているのです。

 なぜこのような状態が引き起こされているのでしょうか?

 それは政府・財界の「構造改革」戦略により、「安ければ良し」と人件費を無視したダンピング入札が広範に行われているからです。低価格で落札した業者は、委託料からさらに労務費を大幅にピンハネしています。このようなやり方は、公共施設の管理運営者を決める「指定管理者制度」でも行われています。

 発注者である国・自治体は、民間業者と請負契約を結ぶ際に、そこで働く労働者の賃金・労働条件を考慮することはほとんどありません。「委託料は安ければよい」「最低賃金さえ守っていればよい」とダンピング競争入札をあおり、委託料から労務費が不当にピンハネされていても「業者と労働者がそれぞれの雇用契約で決めることだ」としてまともに関知しようとしません。

 しかし、このような「安上がりの公共サービス」が、ワーキングプアを大量に生み出し、公共事業の質まで低下させて、住民の安全・安心が損なわれる事態を招いているのです。

 国・自治体の「発注者」としての責任が厳しく問われなければなりません。

「競争入札」を強化すれば公共サービスは良くなるのか?

 公共事業をめぐる「談合」の根絶に向けて、「制裁や罰則の強化」、「一般競争入札の拡大」が全国の自治体で行わようとしています。全国知事会も「指名競争入札を廃止し、当面、1000万円以上の公共工事は一般競争入札にする」と提案しています。癒着や談合を根絶することは当然ですが、一方で、一般競争入札を制限なしに拡大することによって、これまで以上にダンピング入札が拡大する危険が生まれています。ダンピング入札の拡大は、「小さな政府・自治体」づくりをねらって、公共サービスへの支出を極力削減しようとする国・自治体当局の思惑とも一致します。ダンピング入札が競争によって強まれば、結局は資金力のある大手企業が公共事業を独占し、地元中小業者の受注機会が奪われます。

 入札制度を改革するためには、「落札価格の削減」だけに目を向けるのではなく、「適正な予定価格の設定」「労働者への適正な賃金の確保」「手抜き工事の防止」「地元業者への発注」「地元の雇用拡大」など、公共サービス事業そのものの質を確保する施策がとられなければなりません。

 


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