悠湯 旅情2013年8月号 Vol.477

関サバ、トラフグ、伊勢海老 豊後(ぶんご)水道の幸豊か
大分県竹田市・長湯温泉

一万の真珠に肌が飾られる極上の炭酸泉

長湯温泉は竹田市内から北に16キロほど、くじゅう連山の東側の静かな農村の中にあります。大分の温泉と言えば、由布院が街づくり、旅館づくりで人気です。しかし泉質にこだわる温泉通には、別府の旅館ごとに違うなど多彩な源泉群と「日本一の炭酸泉群」を自称する長湯温泉を中心にした炭酸泉が二大温泉と言われています。数々の温泉番付では、西の小結あたりは常連です。
長湯にはJR九州八十八湯ランキングで第1位になったラムネ温泉館があります。ラムネ温泉の泉質は、含二酸化炭素・Mg・Na・Ca炭酸水素塩泉で、源泉は32度です。「一万の真珠が肌につく」と言われ、湯に浸かるとすぐに泡が体全体を覆います。泉温そのまま源泉かけ流しですので、1時間を超えて入る常連でいっぱいです。

周辺の見所では、滝廉太郎の『荒城の月』がピッタリ似合う岡城跡があります。2つの川が合流する台地に築かれた山城でそそり立つ石垣は風情があります。
竹田からさらに東に行くと、海辺に「国宝臼杵石仏(うすきせきぶつ)」で有名な臼杵市があります。なぜこのような強大な石仏群ができたかと不思議に思います。また、古い街並みが残り、小説家・野上弥生子(やえこ)の生家のフンドーキン醤油の建物の一部に文学記念館があります。弥生子は、中條(ちゅうじょう)(宮本)百合子と交友があり、百合子の作品『伸子』を意識したと言われる『真知子』を書き、大正・昭和初期の女性の生き方を描いた作品で足跡を残しました。弥生子は戦後、「新日本婦人の会」結成の呼びかけ人にもなりました。また臼杵は、豊後水道のトラフグでも有名で、九州外からも訪れるほどです。

海岸に沿って南下すると鮪の遠洋漁業基地・津久見市があります。「津久見ひゅうが丼(鮪の赤身にゴマだれを和えた丼)」が名物で、ここ出身のシンガーソングライター・伊勢正三が『なごり雪』作曲で思い浮かべたのは雪とはまったく縁のない津久見駅だったそうです。
さらに南隣の佐伯(さいき)市は、NHKの時代劇『陽炎の辻〜居眠り磐音』の豊後関前藩のモデルと言われています。小説のとおり、海の幸が豊かで、佐伯寿司海道、東九州伊勢えび海道、「農村漁村の郷土料理百選」に選ばれた「佐伯ごまだしうどん」など、海岸線ではどこでも豊後水道の幸を堪能できます。

▲島根小屋原温泉、大分七里田温泉と並ぶ泡付き炭酸泉、ラムネ温泉館の低温露天風呂

▲野上弥生子文学記念館がある臼杵の街並み



温泉メモ

【大丸旅館】

所在地/
大分県竹田市直入町大字長湯7992−1
問い合わせ/
0974−75−2002
交通/
九州北部からは大分道由布院ICから35キロ、大分市内からは車で約40キロ
営業日/
通年営業
ラムネ温泉館は大丸旅館の外湯です

▲芹川沿いに立つ老舗の宿