いいとこよりみち発見伝2014年8月号 Vol.489

憧れの寝台列車で時間を忘れ移動を楽しむ旅

惜しまれる引退――トワイライトエクスプレス

大阪~札幌
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▲11時11分入線する「トワイライト」乗車クルーが一礼し列車を迎えます

寝台特急「トワイライトエクスプレス」が、来春で引退することが5月28日全国のニュースで流れました。JR西日本の看板列車として25年にわたって運行してきましたが、車両の老朽化が激しいことなどから存続が断念されました。奇しくもその発表があった日に念願がかないチケットを手に入れました。

「トワイライトエクスプレス」は1989年の7月運行開始。大阪から札幌まで約22時間かけて走ります。JR西日本・東日本・北海道の3社をまたぐ運行距離はなんと1495・7キロ。

大阪駅では11時を過ぎる頃、福井・金沢・富山方面行きの10番線ホームがざわつきはじめます。スーツケースを持った乗客、カメラを持った「撮り鉄」があちこちから現れます。11時11分濃い緑色に黄色のラインの列車が堂々と入ってくると、歓声とシャッターをきる音が絶えません。

食材やオリジナルグッズ等を積み込み終わった列車は11時50分の定刻、大阪駅を出発しました。見送る人が手を振るホームを後に、日本一長い距離を走る列車の旅の始まりです。

ガタン、ゴトンと年季の入った音、一定のリズムの揺れも慣れてくると心地よく、街並み、水田の稲穂など、さまざまな景色が車窓を流れて行きます。

京都を通り、滋賀県に入ると近畿の水がめ「琵琶湖」や比良連峰、戦国武将柴田勝家が城を築いた福井、兼六園で有名な金沢、富山駅をぬけると「蜃気楼が有名な富山湾は、ホタルイカ漁で海上一面は星屑のような光の海に」と、車掌による沿線の案内が流れ、旅情をかきたてられる話ぶりに聞き入ってしまいます。

「たそがれ」の意味の〝トワイライト〟。一番の見せ場、日本海に沈む夕日を期待して4号車サロンカーに向かいました。残念ながら梅雨の日本列島、夕日を眺めることは叶いませんでした。

夕食は、持ち込んだ駅弁とビールもよし、少し贅沢ですが、事前に予約すれば食堂車でフランス料理のフルコースをいただくこともできます。21時から予約不要のパブタイムもおすすめです。

「本州では新津(新潟県)が乗り降りできる最後の駅、ここから明日の朝、洞爺駅(北海道)まで扉は開きません」のアナウンスの後、山形、秋田、青森と深く沈んだ真っ暗闇をひたすら走り続けます。結局、興奮してほとんど眠ることなく朝を迎えました。

深夜に青函トンネルをぬけ、外が薄ら明るくなる頃には北の大地北海道。有珠(うす)山、昭和新山、広大な牧草地など、雄大な自然の景色を楽しむことができます。列車は9時52分に旅の終点札幌駅に到着です。

飛行機では約2時間の距離ですが、車窓を眺めながらのんびり時間をかけて移動を楽しむ寝台列車の旅もいいもの。「引退」のニュースはさびしい限りです。

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▲人であふれる4号車サロンカー「サロン・デュ・ノール」(上)、北海道の雄大な景色のなかをゆったり走ります。正面は有珠山、右に小さく昭和新山(下)