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第131湯 歌の文句に誘われて夏の「大原の里」を歩く

悠湯 旅情2011年8月号 Vol.453

小さな盆地に広がるのどかな田園風景 京都市・大原温泉

歌の文句に誘われて夏の「大原の里」を歩く

 「♪きょうとぉぉ〜おおはら、さんぜんいん」。題名は忘れても、歌詞とメロディはしっかり覚えているという歌のひとつがこれ。京都、大原、三千院、恋に疲れたわけではないですが、女ひとり、真夏の「大原の里」を歩きました。
 京都市内から北へ十数キロ。低い山に挟まれた谷間の小さな盆地に、のどかな田園風景が広がると大原の里です。バス停「大原」から三千院へ。小川に沿って緩やかな坂道を行くとアジサイの花がいっぱい。鮮やかな紫の色が涼し気です。名物「しば漬け」の店が並んでいます。土産物屋と観光客で賑やかになると三千院です。三千院は788(延暦7)年に最澄(伝教大師)が比叡山延暦寺東塔の梨の大樹の下に建てたのが起こりといい、1871(明治4)年に現在の場所に移されたといいます。「恋に疲れる」どころか、恋まっ盛りのカップルが目立ちます。
 元の小道を下って、次は寂光院(じゃっこういん)への道を行きます。
 寂光院への道の途中に「平家物語」の冒頭に出てくる有名な「沙羅双樹」の白い花が咲いていました。別名「ナツツバキ」という名のとおり、大振りの花はポトリと落ちていました。うっかり行きすぎてしまうほど目立たない感じで寂光院の門がありました。寂光院は平家物語ゆかりの寺院。平家が滅亡したあと生き残った悲劇のヒロイン・建礼門院徳子(平清盛の娘で高倉天皇の中宮。安徳天皇の生母)が余生をおくったところとして有名な尼寺です。寂光院の横に「らくやき」の店がありました。コーヒーカップなど約30種類の素材から気に入ったものを選んで7色の絵具で絵付け。待つこと約10分で完成。料金は1000円から。
 今宵の旅の宿は寂光院近くの民宿「大原山荘」。民宿といえども天然温泉、風呂場も檜風呂と露天の岩風呂のふたつがあり温泉旅館にひけはとらずうれしい限り。しっとりと風呂につかり、上弦の月を観ながら、いにしえの女性たちに思いをはせて、京都の夜は静かに更けていきました。(注:冒頭の歌はデュークエイセスの『女ひとり』でした)

▲三千院の門

▲山間の盆地に広がる大原の里

 


温泉メモ

【大原温泉「大原山荘」】

所在地/
〒601−1248 
京都市左京区大原草生町17
泉質/
単純アルカリ泉、1人用の壺風呂は 
源泉の温度(27度)
交通/
JR京都駅など京都市内の主要ター
ミナルから京都バスで「大原」方面
行きに乗車し「大原」で下車
問い合わせ/
075−744−2227

日帰り入浴もあり。
宿の「大原山荘」は民宿なので旅館のような サービスはありません。
洗面具はあり。