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第148湯 自然と水鳥と人間がともに生きる久美浜湾

悠湯 旅情2013年3月号 Vol.472

白砂に雪、白波立つ日本海 京丹後市久美浜・神の温泉

自然と水鳥と人間がともに生きる久美浜湾

 京都府の北部、日本海に面する京丹後市は2004年、峰山・大宮・網野・丹後・弥栄・久美浜町が合併し誕生しました。  市の北側、天橋立と丹後半島を挟んで反対側に、久美浜湾があります。日本海と久美浜湾に挟まれた地形が天橋立に似ていることから小天橋と呼ばれています。湾といっても約6キロの遠浅の白浜によって日本海と隔てられている約7・1平方キロメートルの汽水性の潟湖です。夏は海水浴でにぎわい、周囲には民宿や温泉旅館が多数あります。  久美浜湾は、閉鎖性が強く穏やかで、牡蠣の養殖が盛んです。また比較的水深が浅くエサとなる水草が多いため、京都府内で唯一のオオハクチョウの飛来地です。しかし、近年はウィンドサーフィンや水上バイク、付近の土木工事などにより飛来数が激減。府内のレッドデータブックに入ってしまいました。今回もオオハクチョウは確認できませんでした。他にもコハクチョウ、カンムリカイツブリなど多くの冬鳥がシベリアなどから飛来します。牡蠣の養殖棚が浮かぶ様子は、京都府選定文化的景観に、周辺の景観は京都の自然200選に選ばれ、世界認定・山陰海岸ジオパークの一部でもあります。「あそこは水がきれいで人もいいよ」なんて鴨たちが言っているカモ。渡り鳥たちにも、魅力的な日本だとうれしいですね。  さて久美浜の街はというと、家々の間を水路が流れ、昔ながらの街並みがひっそりと続きます。  見どころは、豪商稲葉本家(現在は市が運営)。稲葉家は糀を製造し、北前船貿易で巨額の富を得て付近の諸藩の公金預かりとなり、金融を独占する豪商で府下一の多額納税者でした。町の発展にも尽力し、13代市郎右衛門は私財を投じ旧国鉄宮津線の久美浜―豊岡の開通を実現しました。現在は、北近畿タンゴ鉄道の宮津線が西舞鶴〜天橋立〜網野〜久美浜〜豊岡を結び、鉄道ファンも多く訪れます。  日本海の白波に圧倒された後は、雪見の露天風呂で…「あぁ〜極楽、極楽」。冬の王様松葉ガニに牡蠣、初夏は白イカをどうぞ。  市営駐車場の一部は「12月から3月はドクターヘリの着陸場となるため利用できません」との看板も。豪雪地域ですので、冬に車で訪れる方は冬用タイヤ、チェーンの装備をお忘れなく。

▲牡蠣の養殖棚が浮かぶおだやかな久美浜湾

▲積雪の海岸と波しぶきのあがる冬の日本海

 


温泉メモ

【丹後神の温泉 すずらん】

所在地/
〒629−3421 京都府京丹後市久美浜町葛野369 「すずらん」
問い合わせ/
0772−83−0464
交通/
【電車】
KTR丹後神野駅またはKTR久美浜駅 下車、京都・神戸より約3時間、 大阪より約3時間30分
【車】
京都・大阪より約3時間、神戸より 約3時間30分、宮津与謝道路・ 与謝天橋立ICから約1時間
HP/
http://www.kumihama-suzuran.com