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シリーズ64 いちから学ぶ仕事と権利[最低賃金]

地域間格差を是正するため全国一律制度の早期実現を [最低賃金]

最低賃金のランク分けが従来の4つから3つになり、例年8月に出される引き上げ目安にどう影響が出るのか。広がる地域間格差を埋め、物価高騰に対応する最低賃金の大幅引き上げが求められています。

格差是正にほど遠い 最賃ランク見直し

広がる最低賃金の地域間格差について、中央最低賃金審議会はランク分けを従来の4つから3つに変更して、引き上げ目安の議論をすすめることを決めました(図表参照)。しかし東京をはじめとするAランクに変更がなく、旧BCランクが事実上統合された形になっただけで、全国一律制度による格差解消にはほど遠いものとなっています。

また、最低賃金の水準について、最低賃金法第9条第2項の3要素(①労働者の生計費、②賃金、③通常の事業の賃金支払能力)のうち、審議会での議論は「賃金支払い能力」に固執しており、最低賃金法の目的である「労働者の生活の安定」が軽視されています。

世界的には「支払い能力」で最低賃金水準を決めている国はほとんどありません。

今回の物価高騰に対し、世界では最低賃金を大幅に引き上げる国や物価に連動して随時引き上げる国もあります。日本でも全労連などで物価高騰に対応した「最低賃金の再改定」と全国一律制度などを求めてきましたが、国は私たちの切実な声には応えようとしません。

最賃引き上げ運動にとりくみ すべての労働者の賃金引き上げへ

現在、最低賃金が最も高い東京(1072円)と最も低い10県(853円)では219円もの格差が生じており、最低賃金の低い地域から高い地域へ労働力が流出し、地域経済の衰退につながっています。

地方公務員法では、一般職の地方公務員には最低賃金法は適用除外とされていますが、自治体の現場では、会計年度任用職員の賃金が最低賃金を下回る問題が各地で起きており、自治労連の仲間が声をあげ、国と自治体に問題を指摘し、是正を求めてきました。その結果、2022年12月23日には総務省から「給与決定には地域の実情等を踏まえること。地域の実情等には最低賃金が含まれること」との通知を引き出しました。また、高卒初任給(時間給に換算)が最低賃金額を下回る実態(地域手当が支給されない自治体など)もあります。最低賃金は、日本国憲法第25条(健康で文化的な最低限度の生活)を賃金の面から保障するものです。最低賃金法が適用除外といえども最低賃金を下回ることは許されるものではありません。

全国一律最低賃金とする法改正を求める署名など、全国一律最低賃金と時給1500円以上を求める運動に参加し、地域間格差を是正し、すべての労働者の賃金を引き上げて、人間らしく豊かにくらせる社会の実現をめざしましょう。

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