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シリーズ63 いちから学ぶ仕事と権利[情勢適応の原則(人勧制度)]

今こそ物価高騰上回る大幅な引き上げ勧告を [情勢適応の原則(人勧制度)]

公務員賃金は、社会一般の情勢に適応する必要があり、人事院(人事委員会)は給与を決定する諸条件の変化に応じて勧告を行うことになります。物価高騰や最低賃金の引き上げなどの情勢を受けたいま、大幅な賃上げ勧告が求められています。

労働者の賃金を抑制している人勧制度

戦後、国家公務員法と地方公務員法改正で非現業職員の争議権ははく奪され、労働基本権の一部制約をした「代償措置」として人事院(人事委員会)が設置されました。人事院は、人事委員会と共同して民間給与や労働条件の実態を調査(民調=職種別民間給与実態調査)し、「生計費原則」「民間準拠」をもとに賃金改定などを勧告しますが、実際には、「生計費原則」は軽視され、「民間準拠」強調のもと、賃金抑制が押しすすめられてきました。

公務・民間で力合わせ賃金引き上げ運動を

国家公務員法第28条で給与等は、「社会一般の情勢に適応するように、随時これを変更することができる。その変更に関しては、人事院においてこれを勧告することを怠ってはならない」とされています。自治労連は、全労連公務部会とともに「国家公務員法第28条にもとづき、物価上昇分に見合った俸給表の引き上げをはじめとする緊急勧告を直ちに行うこと」を求める団体署名を呼びかけ、人事院総裁宛に3月6日に提出しました。また、地方では人事委員会宛の要求行動もとりくまれています。

過去、1973年の石油危機(オイルショック)に便乗した悪性インフレは「狂乱物価」と言われました。当時の74国民春闘は公務と民間労組で連携してたたかい、2万8981円(32・9%)の賃上げを勝ち取りました。人事院も「本俸月額10%(1人平均1万円)を4月に遡って支給」との暫定勧告を5月に行い、続けて7月に暫定分10%を含めた平均29・64%、3万1144円の引き上げ勧告を行いました。しかし、人事院は今回の物価高への対応を行っておらず、もはや人事院勧告制度が機能していないことは明らかです。

さらに、近年では首長が財政事情を理由に賃金の引き下げを提案したり、議会が労使交渉の到達を無視して改悪提案するケースも増えています。賃金・労働条件は労使交渉で決定することが原則です。労働組合に結集し、労働者全体の賃金引き上げを求める運動をすすめることが重要です。

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