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シリーズ60 いちから学ぶ仕事と権利[マイナンバー]

住民福祉を人質にするな カード取得強制はやめよ [マイナンバー]

政府はマイナンバーカードの取得率を上げるために、健康保険証との一体化や地方交付税への反映など、住民と自治体に対して圧力を強めています。カード取得は任意であり、事実上の強制は許されません。

住民生活や自治体への不利益は許されない

政府目標で「2023年3月までにほとんどの国民が持っている」ことをめざしていたマイナンバーカード取得率は約66・7%(1月29日総務省発表)にのぼりました。

取得率を上げるために政府は、2024年秋までに健康保険証を原則廃止しマイナ保険証への一本化をねらうなど、なりふり構わない状態です。また、各自治体での取得率(申請率)をもって地方交付税やデジタル田園都市国家構想交付金への反映も打ち出しています。

残念なことに岡山県備前市では無償にしている小中学校の給食費などを、4月からは世帯全員がカードを取得した世帯のみ免除する方針を表明するなど、政府だけでなく自治体まで住民福祉を人質にする事態になり大変危険です。

取得は「任意」であり、自治労連は昨年6月のデジタル庁交渉で「マイナンバーカードを持たないことによる不利益はあってはならない」と要求した際に、デジタル庁も同意しています。

今必要なのは医療体制拡充や住民福祉の充実

内閣府の個人情報保護委員会の年次報告でも、2017年度からの5年間で約3万5000人のマイナンバー情報が紛失漏えいしていることが報告されており、安易な情報一元化は、「リスク分散」の真逆です。

ある自治体では申請者本人の意思に反し、誤ってマイナ保険証が登録された事例が報道され「一旦紐づけされたデータはシステム解除できない」ことも明らかになりました。

すでに自治体では、マイナンバー関連で事務量が増加しています。さらにカードに内蔵された電子証明書の有効期限は5年で、カード自身の更新業務も10年ごとに必要になり住民にも負担を強いることになります。

システム導入にともなう多額の経費や維持費の発生等、医療現場へ大変な負荷をかけることも懸念されています。いま求められているのは、コロナ危機でひっ迫している医療現場の体制拡充や、住民福祉の充実へ向けた予算増です。自治労連は、マイナンバーカードの取得強制となる方針を撤回するよう政府に強く求めています。

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