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シリーズ58 いちから学ぶ仕事と権利[言論の自由と不当労働行為]

安心して働き、組合活動にだれもが参加できる職場を [言論の自由と不当労働行為]

▲大阪地裁で勝利判決を喜ぶ枚方市職労と支援する仲間

組合員および労働組合への差別や不利益扱い、支配介入は違法であり、「不当労働行為」として禁止されています。憲法と労働基本権は、労働者が安心して働き、組合活動に参加することを保障しています。

組合・労働者への不当労働行為は許されない

近年、公務員や労働組合を敵視し、憲法を軽視する首長や議員による不当労働行為が増えています。大阪・枚方市では、枚方市職労が発行する機関紙が「政権や維新政治を批判する記事を掲載した」とし、組合事務所使用許可について組合に不利益な条件をつけ、現業職員に関わる団体交渉にも応じず組合事務所の明け渡しを迫る事態が起こりました。

組合は「市による不当労働行為」として大阪府労働委員会(以下、府労委)へ救済命令を求めました。府労委は2020年11月に市の不当労働行為を認め、団体交渉に応じるよう救済命令などを出しました。

市長は府労委の命令を不服として大阪地裁に取消を求める訴訟を起こしましたが、今年9月7日、大阪地裁は市長の請求を棄却。判決で「表現の自由の範囲内で一定の政治的意見を表明することは許容される」とし、枚方市職労が長年にわたって問題なく組合事務所を使用してきたことに触れ、事務所明け渡しは「弱体化やその運営・活動に対する妨害の効果」「支配介入に当たる」としました。

「言論の自由」守り風通しの良い職場へ

自治体の労働組合が、職場のことだけでなく、地域住民の生活や憲法・地方自治にかかわることを主張し、情報を発信することは当然です。

判例としても組合が配布したビラの内容をめぐり組合三役を停職・減給した長崎県香焼町事件(長崎地判平2・11・6)でも「処分を行うことは、その結果において、反対の立場に立つ者の言論活動自体を抑制することにつながるものというべき」とし、処分不当と判断されています。

不当労働行為は、組合員個人や労働組合をねらい撃ちにしたものだけでなく、他の組合員や非組合員に不安感や恐怖感を与え、組合活動を委縮させることにつながる言動や文書、間接的な行為でも禁止されています。

職場で不当労働行為やその疑いがあった場合は、労働組合を通じて撤回などを求めることが重要です。

労働者が安心して働き、意見を交わし、組合活動に参加できる風通しの良い職場をつくりましょう。

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