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シリーズ55 いちから学ぶ仕事と権利[解雇の金銭解決制度]

「解雇自由」への道許すな 労働者の雇用と権利守れ [解雇の金銭解決制度]

▲全国からの支援を受けて勝利和解をした守口市学童指導員労組。写真は6月18日の勝利和解報告集会

民間労働者が不当な解雇を受けた際、金銭による解決制度がつくられようとしています。不当な解雇は無効であり、職場復帰・雇用継続が大原則。公務も民間も、だれもが安心して働き続けられるルールが重要です。

不当な解雇は無効 雇用継続こそ履行を

厚生労働省は、4月12日に「解雇無効時の金銭救済制度に係る法技術的論点に関する検討会」の報告を公表しました。

裁判や労働審判で解雇無効と判断された場合、労働者は金銭解決の申し立てをできるとしています。案では、使用者からは申し立てできない制度としていますが、使用者からも申し立てできる制度に変えられる危険性があります。支払われる「労働契約解消金」の算定は、解雇時までの給与額、年齢や勤続年数、再就職までの期間などが考慮されるとしています。

しかし、制度について「働く人が解雇されやすくなり、雇用が不安定となる」「解雇規制の緩和につながる」などの意見や問題が指摘されています。

そもそも、労働基準法と労働契約法では、客観的・合理的な解雇理由なく、「労働者を解雇できない」と定めています。したがって、不当な解雇は無効であり、職場への復帰と雇用の継続が大原則です。また、有期雇用でも正当な理由なく雇い止めはできませんし、民間では契約更新5年を経過すれば、無期雇用へ転換できる権利も制度化されています。

だれもが安心して働き続けられる職場へ

自治体では指定管理や民営化・非正規化がすすみ、さまざまな職場で解雇・雇い止めが横行しています。大阪・守口市学童指導員労組(写真)は、「子どもたちのいる職場へ戻りたい」という当たり前の思いで、職場復帰を求めてたたかってきました。原告組合員の職場復帰はかないませんでしたが、労働組合と地域住民が「雇い止めはおかしい」と声をあげ大きな共感が広がったからこそ、高い水準の金銭和解と組合との誠実な団体交渉を約束させました。

団体交渉や裁判で、金銭を含めた和解をすることはあります。しかし、「金銭による解決」を制度として認めれば、使用者の「解雇の回避義務」が軽視され、解雇・雇い止めに歯止めが利かなくなります。

今必要なことは、不当解雇をやめさせ、公務の非正規にも「無期転換」ルールなどを適用するなど、正規・非正規、官民問わず、だれもが安心して働き続けられる職場をつくることです。

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