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シリーズ40 いちから学ぶ仕事と権利 営利目的・監視社会強化の行政「デジタル化」にNO

自治体DX(デジタル・トランスフォーメーション)

昨年12月に総務省は、「自治体デジタル・トランスフォーメーション推進計画(以下、自治体DX)」を発表し、情報システムの共通化や行政手続きのオンライン化など、各自治体に対応を求めています。政府の「デジタル化」のねらいを学びます。

政府がすすめる「デジタル化」の危険性

菅首相は、通常国会にデジタル庁設置法案をはじめ、個人情報関係3法や、自治体の基幹系情報システムを標準化・統一化する法案など、デジタル改革関連法案を提出し、行政の「デジタル化」をすすめています。

デジタル技術そのものは、住民福祉の向上と自治体職員の労働条件の改善に活用できるものであり、職場や住民のために活かしていくことは必要です。しかし、国がすすめる「デジタル化」は、住民の個人情報が民間企業の儲けに利用される危険性があります。

また、自治体行政の標準化・共通化などにより自治体独自の住民サービスがなくなったり、デジタル技術を使いこなせない住民には行政サービスそのものが届かなくなるなど、結果として、住民サービスの後退や、自治体職員の労働強化が懸念されます。

住民の個人情報が企業の儲けに

自治体DXでは、「データの円滑な流通を促進することによって」「民間のデジタル・ビジネスなど新たな価値等が創出される」と露骨に民間の利益目的をうたっており、住民の個人情報を民間企業の儲けに結びつけようとしています。

個人情報保護法改正も審議されており、行政が持つ膨大な個人情報を容易に企業が利用できるようにすることや、個人の所得や資産、病歴などのプライバシーにも行政が立ち入る恐れ(監視社会の強化)があります。

住民の意思を踏まえ「デジタル化」の是非を

国のすすめる「デジタル化」を許さず、デジタル技術は住民と自治体職員のために使う基本的立場を前提にした対応が各自治体に求められます。

具体的には、窓口の無人化や職員削減の手段としての導入、公務公共サービスの切り捨て、住民の基本的人権の侵害をさせないこと。AIの判断や内容が妥当かどうか、職員(人間)がチェックできる体制の確立。自然災害や停電、セキュリティ障害などに即時に対応できる人員体制を確保されるかなどを議論し、労使合意をすすめることが必要です。

何より「デジタル化」の是非や範囲、条件を含め、主権者である住民の意思を踏まえ、各自治体が自主的に決めることが重要です。

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