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シリーズ36 いちから学ぶ仕事と権利 給与、勤務時間、勤務条件の決定に関与できる組合の力

団体交渉権

団体交渉権は、自らの給与、 勤務時間その他の勤務条件の決定に関与できる労働組合の重要な手段です。当局・使用者は労働組合との団体交渉を正当な理由なく拒否することはできません。

地方公務員法は、自治体労働者の団体交渉について、消防・ 警察職員を除き認めています。一部、争議行為の禁止と、職員団体には労働協約締結権を否定するなど、不当な制約を加えていますが、自治体当局は、職員の給与、勤務時間その他の勤務条件について、交渉に応ずべき義務(交渉応諾義務)があります。

使用者は、多数組合であれ少数組合であれ、企業内組合であれ企業外 の地域合同労組などであれ、その労働者が加入する労働組合から団体交 渉を申し入れられた場合には原則としてそれに応じなければなりません。

誠実団交義務で根拠と理由を明らかに

自治体当局は、交渉事項について適法に管理し、または決定することのできる当局が指名する者を出席させる必要があります。たとえ、担当者に処理権限がないとしても、権限がないという理由だけで団交を拒否することはできず、交渉に応じた上で、権限ある者に諮って適宜の処置をとるべき義務があります。

自治体当局が一方的な結論を押し付けるのみの団体交渉は、到底誠実な団体交渉とはいえません。

職員団体・労働組合としては、粘り強く団体交渉を継続し、自らの主張・要求の根拠を述べるとともに、当局側の主張の理由の開示、資料の提供を求めていきましょう。

団交拒否など不当労働行為は許されない

労働組合法では、正常な労使関係の下で公正かつ円滑に団体交渉が行われるように、労働組合や組合員に対する使用者の不公正な行為を禁止し、「不当労働行為」として制度を定めています。

禁止される不当労働行為は、①組合員であることや正当な組合活動をしたことを理由として不利益な取扱いをすること (不利益取扱い)、②団体交渉を正当な理由なく拒むこと(団交拒否)、 ③労働組合の結成や運営を支配しこれに介入すること(支配介入)の3つがあります。

不当労働行為に対する法的救済としては、裁判所による救済のほかに、労働委員会による救済が設けられています。

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