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機関紙『自治体の仲間』2016年 4月号 Vol.509 つながろう全国の仲間と

つながろう全国の仲間と

201604-01-01

▲碧南市職の組合説明会

愛知発 新しい仲間に〝組合の大切さ〟を伝えたい

全県新歓実行 委員会を立ち上げ
碧南市職

碧南市職員組合は3月2日研修日の夕方、組合説明会を開催しました。金田雪雄委員長は「市を盛り上げていくためには職員が元気でなくてはいけない。そのために組合はがんばります」とあいさつ。「67年の歴史ある組織であり、自治労連という全国組織に加盟し運動している」と誠実に丁寧に説明しました。

先輩からは「青年の交流集会を通して、碧南市を見つめ直すことができた。職員同士のつながりを持つ良い機会です」「時短・育休など組合が勝ちとってきた制度があるから仕事を続けられる。みんなで働き続けられる職場をつくろう」と先輩組合員5人がリレートーク。新人は視線をそらすことなく、組合側の誠実な訴えに耳を傾け、9割の新人が加入しました。

201604-01-02

▲愛知の青年集会「ちた♡ちた」の実行委員会のメンバーが全県新歓実行委員に
愛知県本部

春の新採説明・歓迎会に向けて愛知県本部では全県新歓実行委員会を立ち上げました。すでに県内では碧南市職や蒲郡市職ほか5単組が研修に合わせた組合説明会を実施し、実行委員の準備段階での協力や当日の参加もあり、150人以上の新人が加入しています。

2016春 青年組合員の想い

4月に入り全国の都道府県や市町村など自治体関係職場で新しい仲間を迎えています。今回は、自治体関係職場で働く自治労連の青年組合員のみなさんが新規採用職員のみなさんにメッセージを寄せてくれました。全国の仲間とつながり、「住民のために良い仕事がしたい」という願いをいっしょに実現させていきましょう。

支えあい、協力しながら要求実現にむけ切磋琢磨

青森・五所川原市職労 鈴木将平さん

生まれも育ちも五所川原です。五所川原たちねぷた、津軽平野を走る津軽鉄道など市には誇れるものがたくさんあり、その素晴らしさを発信していきたいと思い市の職員になりました。組合の活動を通じ、仲間と一緒に野球の試合に出たり、課を越えて仕事の悩み・相談をしたりと、組合に入る前より、積極的に仕事ができるようになりました。

悩みを共有して、仕事を前向きに

滋賀・栗東市職 地原将史さん

地元の近くで働けたらいいなと思い、栗東市役所に勤めました。最初に配属された課では、市民の方と、まちの景観について一緒に考え、協働してすすめる仕事に携わりました。まちづくりのために一生懸命な市民の方、共感してくれる様々な業種、学生のみなさんと話し合うことで自分の視野が広がりました。また、組合を通じて仕事の悩みを共有することで、仕事に対して前向きに考えられるようになりました。

みんなで働く環境を考え、仕事を楽しむ

東京都庁職・衛生局支部 並木健太さん

人にかかわる仕事がしたくて看護師になりました。今は消化器科に勤めています。正直、仕事はつらいです。忙しいし、大変だし。ただ、子どもたちの病状が良くなって、元気に退院してくれることが本当にうれしい。組合を通じて、自分たちの働く環境を考えるようになり、また「仕事は楽しむことで長く続けられる」という考え方もあるのだと学びました。

仕事・組合を通して、感じたことを大切に

長野・阿智村職 鈴木美穂さん

住民の方の健康・生活をサポートする仕事が楽しそうで保健師になりました。講師として地域学習会に参加しますが、むしろ住民の方から教えられ、助けられることの方が多くあります。うれしい事や困った事を身近に分かり合えるのは同じ職場の仲間です。組合を通じて役場内の同世代と集まり、そして活動していくなかで、関係づくりが本当に大切なことだと知りました。


2016年国民 春闘の山場

戦争法廃止、勝ちとろう賃上げ

3・9中央行動 労働者総決起集会
201604-02-01

▲憲法25条の実現など訴える広島県労連パート臨時委託労組連絡会

春闘最大の山場にむけ全労連・国民春闘共闘は、3月9日に戦争法廃止、大幅賃上げ実現、残業代ゼロなど労働法制改悪反対、社会保障の拡充などを求めて3・9中央行動を行いました。この行動には全国から、2000人が集まり、250人を超える自治労連の仲間が参加しました。

総務省前での行動では、自治労連現業評議会・尾崎秀敏議長が民間委託の強行、職員定数の削減が「公務公共サービスの低下につながる」と指摘し、「人員増は急務だ。働く職員が仕事に専念できるよう改善にむけとりくむ」と決意を述べた後、この間、全国でとりくんできた現業署名を総務省に提出しました。

また、日比谷野外音楽堂で行われた労働者総決起集会では、広島県労連パート臨時委託労組連絡会・大内理枝会長(広島自治労連書記長)が発言し、最低生計費調査で単身世帯年収254万円(時間額換算1400円)、母子世帯年収400万円、4人世帯では大学教育費を除き年収660万円が必要となるとの結果を紹介し、「好きな食事ができ、好きな服を買え、たまには旅行もしたい。若者には希望が必要だ。うちら人間じゃけん!憲法25条を実現させるためにたたかおう」と呼びかけました。

201604-02-02

▲現業署名を総務省に手渡す現業評議会・尾崎議長(右)


3・17全国統一行動

大幅賃上げで日本経済の再生を

横浜市従
201604-03-01

▲集会後のデモ行進

全労連・国民春闘共闘が3月16日の集中回答を受け、17日に全国各地でストライキを含む「全国統一行動」にとりくむなか、横浜市従も横浜公園で市従退庁時決起集会、横浜労連集会、デモ行進を行いました。

集会で横浜市従・政村修委員長は「公務と民間が連帯し、すべての労働者の賃金引き上げは日本経済の再生にとっても社会的に大義のある要求である。ともにたたかいをすすめていこう」とあいさつしました。

森田昌宏書記長の基調報告の後、環境創造支部、教育支部の決意表明に続いて青年部の代表は「よりよい仕事をするには市従が必要であり、多くの仲間とつながることの大事さを訴えて、たくさんの仲間を迎え入れたい」と述べました。


シリーズ4 民主主義を取り戻す

この歩みを止めない

埼玉県本部、大阪自治労連・大阪市労組
201604-04-01

▲埼玉県本部の仲間もパレード

「戦争させない」 埼玉県本部

3・6オール埼玉1万人総行動

オール埼玉総行動実行委員会の主催で、3月6日に大宮駅西口近くの公園で開かれた集会は、埼玉弁護士会・埼労連・連合埼玉が呼びかけ1万人が参加しました。集会では、埼労連と連合埼玉の代表が挨拶し、民主党・共産党・社民党・生活の党が挨拶、維新の党もメッセージを寄せ、埼玉での野党共闘がすすみました。集会後は、3コースに分かれてパレード。政党代表も参加しました。

自治労連埼玉県本部の仲間も全県から110人超が参加し、「戦争させない 憲法守れ」とアピールしました。

埼玉県本部では、職場での戦争法廃止の運動は困難ななかでも、一つひとつのとりくみを大事にして広がりをつくりつつ、職場の世論づくりにこだわって2000万署名を推進していきます。

職場で地域で対話のなか理解が広がる 大阪自治労連・大阪市労組

戦争法廃止2000万署名成功にむけて、大阪自治労連は署名推進委員会をたちあげ、とりくみをすすめています。各単組も、職場での学習を広げながら署名を積み上げています。また、組合員の10倍の目標に向け、駅頭宣伝や地域での訪問署名行動に足を踏み出し、初めて参加した青年組合員から「対話のなかで理解してもらえ、署名をしてもらうことができた」などの声が寄せられています。

組合事務所裁判などでたたかっている大阪市労組は3月1日に西晃弁護士を講師に学習会を開催し、学んだことを力に3月13日に、JR森ノ宮駅頭で署名宣伝を行ないました。近くの大阪城公園に来た人などに声をかけ、1時間ほどで30筆を集めました。

「戦争法廃止」の横断幕に振り返りながら、戻ってきて署名をしたり、順番を待って署名をしてくれる人もいました。

女子高校生や女子中学生の反応がよく、「もう署名をしたよ!」と声がかかりました。「今度の参議院選挙では戦争法を廃止にする人に投票をしようね」と訴えると、「わかりました」と快い返事が返ってきました。

また、19日には、前もってポスティングしておいた200軒ほどへの訪問活動をしました。

201604-04-02

▲森ノ宮署名宣伝行動


東日本大震災から5年 被災地の想い

人の顔が見える街づくりを 「津波5年のつどい」に200人

岩手自治労連
201604-05-01

▲オープニングは地元宮古水産高校太鼓部による「宮水太鼓」の演奏

東日本大震災から5年。3月12日、宮古市民文化会館で、岩手自治労連も参加する「救援・復興岩手県民会議」主催で、今回で4回目となる、復興や被災者の要求実現をめざす「東日本大震災津波5年のつどい」が開催され、約200人が参加しました。

齋藤徳美岩手大学名誉教授(岩手県東日本大震災津波復興委員会・総合企画委員会委員長)の被災地の現状と課題についての記念講演では、「三陸地方は歴史的に見ても大津波は何度も襲来しており、想定外ではない。さまざまな対策を取りながら、なぜ6000人もの犠牲者を出したのか検証が必要」と強調。さらに復興に求められるのは「迅速さと実現性」であり、復興の柱は「生業(なりわい)と安全な街づくり」「ハード対策だけでなく人の顔が見えるコミュニティづくりが必要」と訴え、最後に「私たちに求められているのは子孫に未来を残すことであり」、政治は「脱原発、憲法、食糧の自給」の理想に向かうべきだと結びました。

シンポジウムでは宮古観光文化交流協会の山口惣一氏が防災教育と合わせた誘客事業、釜石市平田復興プロジェクト代表の中川淳氏が区画整理の遅れと被災者の視点に立った街づくり、陸前高田市の大坪涼子市議が仮設団地で被災者の声を市や国に届けてきた経験をそれぞれ報告しました。

201604-05-02

▲記念講演で講演する齋藤教授
原発のない福島を 3・12県民大集会

6000人が「原発NO」の意思表示

福島県本部

福島原発事故から5年目を迎えた3月12日、原発再稼働を許さず、日本の原子力政策の見直しを求め、「2016原発のない福島を! 県民大集会」が郡山市の開成山陸上競技場で開催されました。

集会には、海外からの参加も含め約6000人が集い、福島県本部の仲間も多数参加しました。

浪江町の津島被害者原告団の今野秀則さんは「原発と人間は共存できない。制御できない原発が事故を起こせば悲惨な事態となる」と過酷な現実とふるさとの原状回復を訴えました。

集会では「原発NO!」の黄色のボードを一斉に掲げ、参加者の意思を示しました。集会後は2コースに分かれ、「原発いらない」「再稼働反対」を訴えながらデモ行進を行いました。

201604-05-03

▲「原発NO!」のボードをかかげデモ行進

反原発でも安倍政権とたたかおう

3・26全国大集会 in 代々木公園 福島に連帯

東京では「つながろう福島!守ろういのち!」をスローガンに、3月26日に代々木公園で「原発のない未来へ!3・26全国大集会」が開かれ、3万5000人が集まり、福島からも約300人が集まりました。集会では、作家の澤地久枝さん(「さようなら原発1000万署名」よびかけ人)などが、原発と戦争をすすめようとする安倍政権とのたたかいを呼びかけました。

201604-05-04

▲3万5000人で会場を埋めつくす


主張 ローカルアベノミクス

住民のいのちとくらしを守る地域再生を

「世界で一番企業が活躍できる国」をめざす安倍政権は、成長戦略を全国にひろげ、地方をターゲットにする「ローカルアベノミクス」の推進のため、地方を国に従わせる施策を強めています。

「まち・ひと・しごと創生基本方針2015」は各自治体への「地方版総合戦略」の早期策定を交付金の上積みという財政誘導により促し、2015年度末にはほぼ全自治体で策定され、2016年度より事業を推進する段階に入ります。中長期的な自治体の姿を展望する計画にも関わらず、住民の議論や議会の審議も不充分なまま、民間コンサルタント会社にほぼ丸投げする例も出ています。

また「骨太方針2015」では、社会保障と地方財政の削減を打ち出し、「公的サービスの産業化」という自治体のサービスを営利追求の対象とする方針を鮮明にしました。さらに、総務省はこれらをすすめるために地方交付税に「トップランナー方式」を導入し、民間委託や指定管理者制度などでコストを「先進的」に削減している自治体を標準として交付税を算定する財政誘導まで行い、2016年度からは16業種(学校用務、学校給食、公園管理、庶務業務等)が対象となります。

このようなやり方は、地方自治への介入であり、「住民の福祉の増進」という自治体本来の役割を大きく変質させ、さらには憲法25条の国民の生存権の侵害にもつながるものといえます。

今、各自治体では、公民館、図書館、保育所、小中学校、公立病院などの公共施設の統合・集約化や、PFIや指定管理者制度など企業の参入により民間に丸投げにされた公共サービスの低下が深刻化しています。しかし、その一方で愛知県小牧市の住民投票で、市立図書館の「ツタヤ」への指定管理に「反対」が示されるなど、住民の意思を反映するとりくみも広がっています。

財界の意向にそった安倍政権による地域破壊を許さず、全国どこでも誰もが住み続けられる地域づくりを住民参加によりすすめる必要があります。

地域調査と政策づくりを基本に「こんな地域・こんな日本をつくりたい」の運動を地域から広げ、全労連が提起する「地域活性化大運動」を、制度的賃金闘争(最低賃金・公契約・公務員賃金)をすすめ地域経済の活性化や社会保障の充実による地域再生につなげるとりくみとして発展させましょう。


憲法・集団的自衛権で懇談

奄美大島など離島8自治体を訪問

憲法キャラバン 鹿児島県事務所
201604-07-01

▲宇検村・元田村長(左から2人目)

鹿児島県事務所は鹿児島県労連(奄美地区労連)とともに今年1月18~19日に憲法キャラバンを行い、奄美大島など離島8自治体を訪問しました。その内の3自治体で首長と懇談を行い、その様子は『奄美新聞』にも掲載されました。5月までに残り7自治体で懇談を行う予定です。

自治体として憲法を守りいかす施策の要請に、龍郷(たつごう)町の副町長は「法律家も違憲といっていますね。憲法三原則のひとつ平和主義を尊重するのが当然」。宇検(うけん)村・元田信有村長は「平和を願う思いはみな一緒。考えが違うものを認め合うのが必要」。瀬戸内町の副町長は「(憲法を)解釈で変えていくことには危惧を感じる。何のための憲法かが問われることになる。生まれた時から海上自衛隊とともにあり身近な存在だ。島嶼(とうしょ)防衛が第一義だがそれがすべてではない」など日本政府の姿勢に対して危惧する話も出されました。

また、伊仙(いせん)町の大久保明町長は「安全保障環境の変化というが中国との関係は危機感をあおるようなものではない。経済大国だし、アメリカとの関係を壊すことはない」。徳之島町の高岡秀規町長は「自衛隊はなくてはいけないと言うのが私の持論だ」としつつも、「専守防衛でやってきたのだし、集団的自衛権の行使などとんでもない。憲法9条は守るべきだし、経済効果を期待して自衛隊を持ってくるというのもよろしくない」など、懇談を通して首長から共感できる話が出されました。

201604-07-02

▲徳之島町・高岡町長(中央)


3・1ビキニデー

「核兵器のない世界」は実現可能

草の根の運動広げよう
201604-08-01

▲国内・海外含め2000人が参加した

米国がビキニ環礁で行った水爆実験で静岡県の第五福竜丸などが被災して62年。母港であった焼津市を中心に「3・1ビキニデー集会」や「日本原水協全国集会」の開催、被爆者の追悼行動などが行われ、海外からの参加者も含め2000人が参加。静岡をはじめ全国の自治労連組合員も参加しました。

広島・長崎につづくビキニ水爆で日本国民が核兵器による被害を受けたことに対し、草の根から広がった原水爆禁止運動が継続発展し、いまの「核兵器のない世界」をめざす世界的な世論が形成されました。

近年、ビキニ水爆実験で被災した日本の漁船などは1000隻近くにのぼることが明らかになってきています。集会では、日米両政府が隠し続けてきた被爆の実相を明らかにしようと、今年も熱意あふれる報告や発言があいつぎました。

集会では主催者が「『核兵器のない世界』は、究極の目標ではなく、いまや実現可能な課題だ」と報告。また日本の核武装と憲法改悪の前に立ちはだかり、大きな役割を果たしてきた原水爆禁止運動をさらに広げ、安倍政権がねらう改憲と「戦争できる国づくり」を許さない世論を築くため、「戦争法廃止2000万署名」など草の根の運動で行動する集会アピールを、満場の拍手で採択しました。

201604-08-02

▲3月1日朝、1500人で献花墓参行進


すすむ非正規公共評(16)

10年ぶり賃上げ勝ちとる 組合加入も

山口自治労連 周南市臨時・嘱託保育士労働組合
201604-09-01

▲1月19日に臨保労が賃上げ求め交渉

周南市には、公立保育園が18園あり、そこで働く職員は273人、その内非正規職員は169人です。周南市臨時・嘱託保育士労働組合は6割を超える非正規職員の賃金や労働条件を改善するために奮闘しています。

15年秋闘では、絶対に10年ぶりの賃上げを勝ち取るとの意気込みで交渉に臨みました。賃上げについて当初、市は「過去の人事院勧告(人勧)で給与の引き下げ勧告が出された時、非正規職員には、人勧を適用せず賃金の引き下げをしなかったので2014年と2015年の引き上げ勧告は適用しない」と賃上げを拒否しました。

それに対して組合は「過去の人勧で賃金の引き下げ勧告が出されても、非正規職員の賃金の基準となっている正規職員の初任給は基本的に引き下げられていない」「14年・15年の人勧は初任給の引き上げを勧告しているので、人勧に準じて賃金を引き上げるべき」だと強く要求し、初めて市に「持ち帰り検討する」ことを約束させました。

その結果、2回目の交渉で「組合の指摘通りなので、今回、人勧にもとづいて時給は920円から970円に引き上げる。臨時職員の日額を7330円から7790円に引き上げる。嘱託職員は14万8400円から15万5800円に引き上げる」と有額回答を引き出すことができました。

組合は、非正規職員への地域手当3%の加算不適用や、臨時職員の1カ月の雇用中断期間の見直しはできませんでしたが、10年ぶり賃上げを評価し妥結しました。そして、交渉の翌日には、この成果を話し、2人を組合に迎え入れました。


新3本の矢 シリーズ(2)

国の責任で介護保険制度の拡充を

「安心につながる社会保障=介護離職ゼロ」

安倍首相は「1億総活躍社会」をめざし、アベノミクス「新3本の矢」として(1)希望を生み出す強い経済=GDP600兆円、(2)夢をつむぐ子育て支援=希望出生率1.8、 (3)安心につながる社会保障=介護離職ゼロにとりくむとしています。今回は介護問題を取り上げます。

実効性がない「介護離職ゼロ」

「新3本の矢」の第3の矢で、「介護離職ゼロ」を掲げ、受け皿となる施設等を12万人分増やすなどを挙げています。

しかし、その内容は、特別養護老人ホーム(以下、特養)をはじめ介護施設など体制の整った施設を確保するのでなく、サービス付き高齢者住宅なども含めた整備であり、不十分なものです。

深刻な介護の現状

現在、介護離職者が年間約10万人、特養の待機者が約52万人以上であり、「介護難民」「介護漂流」、さらに老老介護の果ての「介護殺人」などの悲惨な事態も生まれています。

それにもかかわらず安倍政権は、要支援1・2の日常生活で支援を要する状態の人を介護保険の適用から外し、要介護1・2の介護を要する人を特養への入所対象から外すなど、介護保険制度改悪を行ってきました。

さらに、介護職員は、賃金が安いうえに、職場体制が不十分で労働が厳しく、働き続けられない状況です。また、2015年度の介護報酬2.27%の引き下げで介護事業者の倒産も過去最悪の状況です。この問題は、安倍首相はじめ自公政権等により軽視されてきた介護対策のツケであり、抜本的な対策が必要です。

医療と介護の一体改悪すすめる安倍政権

しかし、安倍政権は、社会保障費の伸びを年間3000億~5000億円の抑制をするとして、医療と介護を一体で法制度の改悪をすすめています。

さらに都道府県に「医療構想」の作成を義務付け、病院の病床を2015年までに必要と見込まれる内約30万床も削減し、他方で病院から追い出された大量の患者さんの受け皿となる「介護予防・日常生活支援総合事業(新総合事業)」などを市町村に押しつけ、それを地域ボランティア等の「助け合い」に任せようとしています。

介護や社会保障制度の改悪に対し、少なくとも従前からの介護サービスを維持するとともに介護労働者の処遇改善が求められています。

201604-10-01


医療・介護制度の改悪は許さない

第4回 あすの三重を考える集いに325人
201604-11-01

▲「どうなる社会保障、手をつないで充実の運動を」をテーマに長友教授の記念講演

みえ自治労連を含む13の構成団体による実行委員会主催で「第4回あすの三重を考える集い」が2月28日に三重県・サンワーク津を会場に開催されました。集会には午前と午後あわせて325人が参加しました。

若い2人の司会で始まった第1部では「地域医療構想が動き出した」というテーマのもと、県内8つの地域医療構想調整会議についての報告がありました。「東紀州の医療・介護をよくする会」の笹ノ内さんは「尾鷲病院・紀南病院の2つが基幹病院。県は病床を半減(921床→464床)というが、車で1時間も離れているのに納得できないと審議会では全員反対。市町の首長・医師会等と共同して運動する」と報告しました。

続いて、各地域の報告を受ける形で三重短期大学の長友薫輝(まさてる)教授が「どうなる社会保障、手をつないで充実の運動を」と題して記念講演し「政策によって作られたことは、人の手で変えられる。日本の福祉への政府支出は最低、自己負担は最高、それが日本だ。伊勢志摩サミットを機に先進国並みの水準にしてもらいたい」と締めくくりました。

午後から行われた第2部は、地域医療、介護と年金、子育て、TPP、雇用・賃金、地域防災、地域公共交通、原発と再生エネルギーの8分科会と平和の交流会が30本のレポート報告を元に話し合われました。

三重では、この10年、毎年春の憲法キャラバン、秋の自治体アンケートを元にした自治体・病院懇談と、2年ごとの「あすの三重を考える集い」が定着してきました。

今回の「集い」の柱として、安倍政権の医療・介護制度の改悪と改憲を許さないとりくみの交流、青年と戦争体験者との交流などを企画しました。平和の交流会では、青年の「平和アンケート」のとりくみ、年金者組合は120人の「戦争体験記」出版のとりくみ、教員は平和の授業を報告し、世代を越えて平和を語り合いました。

201604-11-02

▲長友教授


第15回 滋賀地方自治研究集会in草津

いのちとくらしは憲法があるからこそ守られる

公害問題・琵琶湖保全の教訓を力に
201604-12-01

▲基調講演を行う宮本元滋賀大学学長

第15回滋賀地方自治研究集会が2月28日、草津市内で開催されました。集会には県内を中心に約50人が参加し、地域の課題を持ち寄り、この間の研究成果の報告や問題提起が活発に行われ、憲法が輝く滋賀をめざして交流しました。

基調講演では、滋賀県内での今後の運動や課題について宮本憲一・元滋賀大学学長が、1月25日に滋賀県と関西電力が結んだ「高浜発電所にかかわる安全連絡協定」について、「立地自治体並みの権限もなく、再稼働を前提にした協定だ。住民の命とくらしを守る自治体に対して極めて不当な協定」と指摘し、再稼働中止の要求を広げることが重要と述べました。

また、1960年代から70年代にかけて日本各地で発生した公害問題を例に出し、「当時、大変深刻だった公害問題を回避・改善できたのは『革新自治体の誕生』と『公害裁判』によるもので、そして何より憲法があったからこそ」と力を込め「私たちがつくりあげた琵琶湖の保全の教訓と諸問題を関連させながら考えよう」と述べました。

県内各地のレポート報告では、住民運動のとりくみやその教訓と課題が6人の参加者から報告されました。

集会を終え、事務局団体の滋賀自治労連は、2014年の全国自治研を経て、その準備などに大変苦労したが、その時のつながりがいきる自治研だった。地域での連帯を強め、引き続き奮闘すると決意を固めました。

201604-12-02

▲宮本元滋賀大学学長
第13回 地方自治研究全国集会in茨城

日 時 2016年10月1日(土)~10月2日(日)
会 場 茨城県つくば市 全体会:つくば国際会議場、
    分科会:筑波大学キャンパス
1日
★全体会
  記念講演「民主主義を再定義する」
  講師 高橋源一郎 氏(作家・明治学院大学教授)
★ナイター講座
 第1講座
  暮らしの基盤を確立し、安全・安心で環境にやさしい地域をつくる
  講師 岡田 知弘 氏(京都大学教授)
 第2講座
  人間らしく生きるために、社会保障を充実する
  講師 芝田 英昭 氏 (立教大学教授)
 第3講座
  暮らしをささえ、自治を育て、住民本位の自治体をつくる
  講師 平岡 和久氏(立命館大学教授)
2日
★27分科会・現地企画を開催


地域の連携・体制強化へ

子ども家庭相談担当職員全国交流集会
201604-13-01

▲2日目は3つの分散会で今後の課題など交流

児童相談所が対応する児童虐待の対応件数が急増するなか、自治労連社会福祉部会は「市町村・児童相談所等の子ども家庭相談担当職員全国交流集会」を2月27~28日に愛知県の労働会館で開催し、全国から子ども家庭相談業務に従事する職員ら86人が参加しました。

集会では基調報告と講演が行われた後、パネルディスカッションで、「児童相談所・市町村の職場の体制と役割について」をテーマに、各自治体のとりくみや課題を共有しました。

2日目の分散会では、市と児童相談所はもとより学校・幼稚園・保育所など地域との連携のあり方や体制強化に向け、労働組合としてどのように運動を広げていくかなど話し合われました。

参加者からは「児童相談所・市町村・一時保護所・家庭児童相談など、様々な立場の人と意見交換できてよかった」と声が寄せられ、相談支援体制・一時保護所の拡充を求める運動をすすめるうえで画期的な集会となりました。


今月の連載・シリーズ

いい旅ニッポン見聞録
第4録
千葉県木更津市
歴史ロマンに思いを馳せる

木更津市郷土博物館 金のすず

かがやきDAYS
〔23〕
長崎市従組 松尾 夕子さん
「龍踊り」「ペーロン」に情熱注ぐ
まちコレ
Collection23
鯨のタレ
南房総の食文化・伝統の味

千葉県南房総

うレシピ
第54品
静岡・浜松市職 宮下 早紀子さん
レモンだいこん

ステキな入れ物(レモン)で召し上がれ

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