住民と職員の「いのち守る」運動で職場の困難をのりこえる力に
新型コロナウイルスの感染拡大
住民生活を守る公務公共職場に大きな影響

1月に国内初の新型コロナ感染者が報告され、国内感染者数が増加。過度な自粛や「感染は自己責任」の風潮が広まり、国民の生活は一変しました。医療をはじめ、学校や保育、学童、介護、各窓口など職場のいたるところで感染防止の「三密」を徹底。保健所では、感染した住民や濃厚接触者と医療機関の間での対応に追われ、過労死ラインを超える長時間過密労働が大きな問題となりました。
自治労連は、「新型コロナウイルス対策本部」を設置し、職場や地域住民の状況や声、単組のとりくみなどの「現場レポート」を集め、全国に発信。総務省や厚生労働省、内閣府などへの要請行動を逐次行いました。地方組織や単組では、非常勤職員の休業補償の確保をはじめ、特殊勤務手当の改善、出勤困難休暇の取り扱い、公務災害(労働災害)の補償、妊娠中の職員に対する配慮などの要求を実現させました。
コロナの影響で自治労連定期大会(10月3日)を初めてオンラインで開催。各会議や集会などのとりくみ延期や中止、内容の変更と規模の縮小、「青年未来づくりプロジェクト」も開催方法などを見直しへ。また、「第15回自治研究全国集会in岩手」も中止となりました。
会計年度任用職員制度がスタート 吹き出す矛盾
会計年度任用職員制度導入にあたって、賃金水準や休暇や手当など労働条件を改善させ、とくに「再度の任用」について、全国で雇い止めの撤回などを勝ち取ってきました。一方、期末手当支給の代わりに月額報酬の引き下げなど、法律の趣旨とかけ離れた事例が多くありました。また、休校や保育園の登園自粛の際、会計年度任用職員は勤務日を割り振らず無給扱いとするなどのコロナ危機の影響にともなう問題について、制度上の不利益や正規職員との格差が生じることがないよう改善を求めました。
「地域医療構想」、公立・公的病院の再編統合
リストの見直し、住民とともに運動広げる
前年9月に厚生労働省が公表した、病床数削減を目的とした「地域医療構想」による「公立・公的病院の再編統合リスト」では、424の病院が名指しされました。コロナ危機によって公的・公立病院の役割が大きく注目されるなか、自治労連は全労連や医療産別組合の仲間とともに「公立公的病院等再編・統合阻止共同行動(424共同行動)」として、各地で署名活動や地域・病院関係者との共同を広げ、各地で地域医療を守るとりくみが広がりました。

地域住民へのアンケートを実施する静岡自治労連
『住民のいのちとくらしを守り切る』ため3つの政策提言(案)を発表
自治労連は「住民のいのちとくらしを守り切る」を活動の中心に据え、コロナ危機のもと、新自由主義から脱却する社会をめざして運動をすすめてきました。新型コロナから「住民のいのちとくらしを守り切る」ための「保健所・公衆衛生版」「自治体病院版」「雇用・福祉版」の3つの政策提言(案)を発表し、活用を呼びかけました。

10月12日に記者会見で提言案(保健所・公衆衛生版)を発表しました
コロナ危機のもと、2 度の人事院勧告、「一時金引き下げ・月例給改定なし」
例年8月初旬に行われる人事院勧告が、民間給与の実態調査などへの新型コロナの影響を理由に、10月7日、10月28日の二度に分けて行われました。一時金の勧告(△0.05月分)と月例給の報告(改定なし)に対し、自治労連は「最前線で奮闘している、公務職場で働くすべての労働者に冷や水を浴びせるもの」と強く批判しました。
「自助・共助・公助」掲げ、「学問の自由」を侵害する菅内閣
9月17日に就任した菅義偉首相は、目指す社会像として「自助・共助・公助」を掲げ、「自分でできることは、まず自分で」とコロナ危機のなか公の責任を放棄しました。また、菅義偉首相は、日本学術会議が推薦した新会員候補の内、安全保障関連法や普天間基地移設問題などで政府の方針に異論を唱えてきた学者6人の任命を拒否。日本学術会議の独立性や「学問の自由」を侵害するものです。
「大阪都構想」住民投票で2度目の否決
2020年11月1日、いわゆる「大阪都構想」の是非を問う住民投票が行われ、前回2015年に引き続き否決となりました。全国から支援を受けた大阪自治労連を先頭に、「住民サービスを守るためにも反対を」と訴え続け、「大阪市をなくさないで」の市民の声と共同が大きく広がった成果です。
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