はじめに

 自治体にはたらく非正規の職員は、「臨時職員」、「パートタイマー」、「非常勤職員」、「嘱託職員」、「アルバイト」など様々な名称で呼ばれており(以下、この「てびき」では「自治体の非正規職員」とします)、自治体職員の2割~3割(自治体や職場によっては5割以上のところも)を占めており、福祉や教育・医療など様々な分野で、住民サービスの一線で頑張っており、「今やなくてはならない」存在となっています。しかし、その処遇は「今どきあってはならない」ほどに、不安定で劣悪な実態におかれています。

 今日、「格差と貧困の拡大」、「ワーキングプアの増大」が社会的問題となっているもとで、増大する非正規労働者の雇用の安定と劣悪な労働条件の抜本的な改善は、労働組合運動にとって喫緊の課題となっています。

 自治体当局に、自治体の責務として「格差と貧困の是正」「ワーキングプア解消」のために、自治体が率先して非正規職員の処遇の抜本的改善をはかることを求めていくことが重要です。そのために何よりも重要なことは、自治体にはたらく非正規職員の処遇を働いている実態にふさわしい処遇に引き上げるために、地方公務員法・労働基準法など労働関係法を活用すること、あわせて法制度の改善を進めることです。

 「貧困と格差の拡大」が社会的問題となるなかで、非正規労働者や労働組合の粘り強い闘いの成果として、政府も「生活保護費よりも低い最低賃金」の是正などに動き始め、07人勧で「非常勤職員の処遇と位置づけの検討の必要性」を勧告するなど、貴重な到達を築いてきています。

 しかし、政府・財界は、解雇規制の見直し、派遣規制の完全撤廃、有期雇用制限の撤廃など、労働者との働くルールと労働組合の存在を全く否定する「労働市場改革」を推進しようとしています。「働くルール」のこれ以上の改悪を許すのか、人間らしく働き続けられるルールを確立していくのか、今日、重大な局面になっています。

 07年の通常国会で成立した「改正パート労働法」は、実効性が乏しく、格差を固定しかねないものですが、パート労働者の処遇改善に役立つものにし、活用できるものは活用するという立場でとり組みつつ、引き続き均等待遇実現に向けて運動を強化しましょう。

 この「てびき」は実践のなかで活かせるよう法律・制度の理解を深め、雇用問題・職場のトラブル・組合づくりなど、多くの具体的事例を引いて、明解な解決方法を示すように心がけました。今後、全国からの貴重な実践例や成果をどしどし寄せて頂き、そしてこの「てびき」をさらに豊かにさせていくことを願ってやみません。

なお、作成にあたって、法制度を解説した書籍をはじめ、東京都労働局で作成された資料(HPに掲載のもの)等を活用させていただいたことに感謝申し上げます。

非正規労働者の現状

 日本の雇用構造は劇的に変化し、98年から07年3月の間に正規労働者が401万人減る一方、非正規労働者553万人増え、非正規労働者は07年には1726万人、労働者3人に1人、女性・青年では2人に1人が非正規労働者という状況になっています。これらの非正規労働者は、不安定な雇用で劣悪な労働条件のもとに働かされています。パート労働者の賃金は正規労働者の34%、1692万人(男性18.1%、女性65.1%)、非正規労働者で年収200万円未満の労働者は78.2%を占めています。

自治体非正規職員の現状

 総務省の調査で、06年の自治体の非正規職員は45万5千人と公表されましたが、この調査の前提は、週20時間以上の労働時間で、6ヵ月以上勤務が予定されている非正規職員ということで、その判断は自治体の担当者にまかされていますので、自治体キャラバンなどの調査を見ると、実態はもっと高い比率であることが想定されます。

 これらの非正規職員の大半は、地方公務員法にもとづく「一時的・臨時的・補助的」業務ではなく、本来正規職員が担うべき「恒常的・基幹的」業務に従事しています。

 しかし、地方公務員法は、「恒常的・基幹的」業務に非正規職員を従事させることを想定していないため、非正規職員は長期に働いていても契約更新のつど「いつ雇い止めにされるか」という不安にさらされ、一時金・退職金・諸手当がない、昇給制度がなく10年目の人も1年目の人も賃金が同じ、育児・介護休業、病気休暇がないなど劣悪な労働条件のもとで働いています。


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