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地方財政

いま、自治体が「底力」を発揮するとき

「構造改革」によって、貧困と格差が大きく広がり、深刻な問題をなげかけています。

不安定・低賃金でネットカフェに寝泊りする青年、とても年金だけでは暮らせない高齢者、貯蓄がなく家族が病気になればたちまちゆきづまる家庭-住民のくらしが危うくなっています。経済の「グローバル化」によって農業や中小企業がつぶされ、地域経済が落ち込んでいます。「医療崩壊」で、いのちが守られない地域が広がっています。

こんなときこそ、国や自治体が、住民の健康で文化的な生活と地域を支えるときではないでしょうか。

住民の危機に対応できない自治体

ところが自治体のなかには、「財政危機」をあおり、住民のくらしと地域の危機に対応できない深刻な事態が広がっています。「第2の夕張にならないために」という「理由」で、住民の負担を増やし、公共サービスを縮小し、自治体病院や公立保育所などの廃止・民営化をすすめています。住民の願いや要求は「お金がないから」と切り捨てられ、住民は国や自治体への正当な要求すら自粛し、自治体への信頼が失われてきています。自治体職場では、賃金の1割、2割削減すら一方的に強行され、仕事の量を度外視した人員削減がおこなわれ、不安定低賃金の非正規労働者に置き換えられ、自治体の継続性、公平性等が保てず、自治体労働者の誇りや働く意欲も奪われようとしています。

このままでは憲法が保障する地方自治の形骸化や空洞化が広がるばかりです。

くらしと地域を守ることが基本

住民のくらしと地域を守る自治体の基本的な役割が発揮できない最大の要因は、新自由主義にもとづく「構造改革」の政策が国と自治体の財政を削減したために自治体財政が悪化し、自治体が行政の「縮小」と「市場化」をすすめたことにあります。

しかし、国の地方財政削減に追随した「財政健全化至上主義」や、地域間競争に煽られた「経済優先主義」では住民の生活を守ることができません。

自治体は、住民のくらしの場であり、環境、経済、社会を総合した存在である地域を守っていくという基本に立ったうえで、あえて「財政の再建」と「地域の再生」の二兎を追うことが求められるのではないでしょうか。

自治体の役割を財政的に保障するのは国の責任

国に問われるのは、自治体のくらしと地域を守る自治体財政を保障する責任です。国は、08年度予算で、これまでの地方財政の削減策を少し手直ししました。このことは財政削減策が国民生活を破壊する限界にまで達していることを示すものにほかなりません。しかし修正はわずかであり、一方的に削減した地方財政を元に戻す方向に転換していません。

国が憲法25条(生存権)や26条(教育権)の責任を果たし、「どこにいても同じサービスを受ける権利」を保障するためには、国の財政削減路線を根本から転換させなければなりません。

住民のくらしを守り地域経済を再生するための地方財政確立が今ほど求められるときはありません。

住民とともに、憲法が生きる地方財政の確立を

このパンフレットでは、今日の地方財政危機の特徴として、本来、住民のくらしを守る責務をもつ自治体が、「構造改革」によってきわめて深刻な状況にある住民生活と地域を目の前にしながら、対応できないところにあることを明らかにし、次に紹介する「緊急対策と4つの提案」をまとめました。

自治労連は「憲法が生きる、こんな地域と日本をつくりたい-提言案」の運動をすすめています。

「構造改革」がもたらした、くらしと地域の危機、そして地方自治の危機を住民の皆さんとともにのりこえ、いのち・くらし・地方自治が輝く地域と日本をつくりたいと願っています。

財政問題での学習会やシンポジウム、自治体の行財政分析、自治体関係者との対話と懇談、議会決議などをおこなって、地方財政を確立する運動を職場と地域から広げようではありませんか。