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地域間格差を拡大し、物価高騰下の生活改善にもつながらない最賃目安~各地のたたかいで最賃の大幅引き上げを勝ち取ろう(談話)

2023年8月3日
書記長 石川 敏明

 7月28日、厚生労働省中央最低賃金審議会は、2023年の地域別最低賃金改定の基礎となる引き上げ目安について、Aランク41円、Bランク40円、Cランク39円引き上げる答申を厚生労働大臣に対して行った。全国加重平均は初めて1,000円の大台に乗り1,002円となる。

 引き上げとなったことは、全国一律最低賃金制と時間額1,500円以上を求める運動を社会的な賃金闘争の中心課題と位置づけ、全国のなかまがたたかいを展開した成果である。「全国一律最低賃金制度の実現を求める請願署名」は、5月25日の署名提出時には昨年同時期を大きく上回る20万筆余が、物価高騰のもと切実な声となって寄せられた。地方議会への意見書提出の運動も広がっている。「最賃Day」のとりくみでは地域の若者との対話も進み、新宿サウンドデモでは沿道からの声援や飛び入り参加など大きな共感を呼び、世論となって広がっている。

 しかし、目安の水準については私たちが求めている「時給1,500円」には遠く及ばず、フルタイムで働いても年収200万円に及ばない状態が放置された。4.3%の引き上げ率は、消費者物価指数が全国で3.8~5.1%で推移しているもとでは実質的な賃上げ効果はない。目安小委員会の公益委員見解で「消費者物価の上昇が続く中では、最低賃金に近い賃金水準の労働者の生活は苦しくなっていると考える」と言いつつ、くらし改善につながる引き上げを見送ったことは許しがたい。

 また、初めて3ランク制となり是正が期待された地域間格差は、目安どおりに改定されると、最も高い東京で1,113円、最も低い東北、四国、九州の9県で892円と、その差は221円へと2円も拡大させることとなる。公益委員見解で「最高額に対する最低額の比率の面では地域間格差は縮小」としているが、これではいつまでも格差は解消しない。

 最低賃金の低い地域では、高い地域への人材の流出が深刻な問題となり、地域経済の衰退に拍車をかけ、公務においても人材確保の困難さから、住民サービスに支障が生じている。地域経済を支えるためにも、全国どこでも、住民が健康で文化的なくらしができるようにするためにも全国一律1,500円以上を求める私たちの運動がますます重要となってくる。

 最低賃金の決定に向けた地方最低賃金審議会の審議が始まっている。地方最低賃金審議会への意見書・陳述、地方議会への意見書など、地域の幅広い住民・団体との共同で運動を広めよう。

 昨年12月23日、私たちの運動の成果として会計年度任用職員の賃金決定について踏まえるべき「地域の実情」には最低賃金が含まれるとの通知を総務省から引き出した。10月の地域別最賃改定に向けて公務職場でも、最低賃金引き上げをはじめとする社会的な賃金闘争と初任給改善と在職者調整・会計年度任用職員の賃金引き上げなどを一体のものとして旺盛に取り組もう。自治労連は、職場と地域の力で、地域間格差是正や最賃の大幅引き上げの実現に奮闘するものである。

以 上