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国・自治体が保育責任を果たし、配置基準の改善こそ急務    ~静岡県裾野市の事件を教訓に抜本的改善を(談話)

 2022年12月9日
書記長 石川 敏明

 静岡県裾野市の私立認可保育園で起きた保育士が園児の足をつかんで宙づりにするなどの行為をしていた問題で、1歳児クラスを担当していた当時の保育士3人が暴行の疑いで逮捕された。市は、保育園の園長を犯人隠避の疑いで刑事告発。また、健康福祉部長と子育て支援監、こども未来課長の幹部3人について、問題を把握しながら市長への報告を怠ったとして、懲戒処分にする方針を示した。

問題の本質は、一つに保育の質の低下

 現在、保育所では、低すぎる国の最低基準によって十分な人員配置がされないことや非正規化がすすんでいること、また、低い賃金と労働条件によって保育士不足が恒常化するなど、様々な課題が山積している。このような状況の中で、職員集団・組織に、保育の専門性が蓄積、研鑽されていないこと、そして、不適切な保育をチェックし、是正する機能がなかったこと等々、保育の質が大きく低下していることが問題の本質にある。

二つに自治体の保育責任の形骸化

 本来、子どもの権利・発達を保障するための保育の体制確保や環境整備、専門性や質を担保し、向上させる責任は、保育の実施義務を持つ自治体自らにある。しかしこの間、国による保育制度改悪とともに公立保育所の民営化・民間委託もすすめられ、自治体の保育責任が形骸化している。保育所で起きた事件や事故に対して、当該施設や直接保育に携わった保育士の責任は厳しく問われるべきだが、それ以上に自治体の保育責任が第一義的に問われなければならない。

国・自治体の保育責任を明確にした公的保育制度の拡充を

 この間、国は、新自由主義のもと、国民の権利としての保育と国・自治体の保育責任を明確にした「措置制度」から、保育をサービスとして利用する「利用契約制度」へと大きく転換させ、保育の商品化・市場化をすすめてきた。

 さらに2015年、「子ども・子育て支援新制度」の導入を機に、認定こども園や家庭的保育事業など多様な運営形態を認める児童福祉法「改正」を行い、保育の実施義務を持つ自治体の保育責任をさらに後退、形骸化させている。

 これまで自治労連は、憲法と児童福祉法の理念に基づく公的保育制度の拡充を求める運動を一貫してすすめてきた。すべての子どもたちの権利・発達を保障する保育をまもり、充実させていくためにも、まずは、70年以上変わっていない配置基準の見直しや保育の専門性、質を担保するための条件整備を早急に行うことを国に求める。そして、保育の市場化路線を抜本的に見直し、国と自治体の保育責任を明確にした公的保育制度をさらに拡充することを強く求めるものである。

 以 上