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6月19日の総務大臣発言にあたって
地方交付税への反映に断固抗議し、発言の撤回を求める(談話)

 2022年6月27日
書記長 石川 敏明

 政府は、6月7日に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針2022)で、「マイナンバーカード(個人番号カード)」(以降、「マイナカード」)を、2022年度中にほぼ全国民に行き渡ることをめざすとした。しかし、政府機関での個人情報漏えい事件やシステム障害が止まないことなどを受け、国の情報セキュリティ体制への信頼性が大きく揺らいでいることと、国民の個人情報保護に係る意識が高まっているもとでのマイナカード交付率は、6月1日現在で全国平均44.7%に留まっている。

 「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(マイナンバー法)は、原則として本人による申請、すなわち「取得の任意性」=「有しない権利」(基本的人権の尊重)を保障している。

 6月19日、金子恭之総務相は、自治体ごとのマイナカードの普及状況などを、2023年度からの地方交付税の算定(基準財政需要額)に反映することを検討する意向を表明した。このことは、低調に推移するマイナカードの交付率を上げたいがために、税に求められる所得再分配などの公平性を歪めるばかりか、住民への過剰な取得の要請など、基本的人権さえも蔑ろにする行為に他ならない。

 自治労連は、マイナカードの普及状況を地方交付税に反映しようとする総務大臣の発言に断固抗議するとともに、発言の撤回を求める。

 仮に、マイナカードの普及状況が地方自治体の基準財政需要額に反映されれば、マイナカードの普及に重点的に財源を投入した自治体に傾斜して地方交付税交付金が配分されることとなる。これでは「デジタル化」により行政コストが下がるとするそもそもの理屈にも矛盾する。

 地方交付税は、「国が地方に代わって徴収する地方税」という性格をもっている。また、地方自治体にとっては、大都市圏への人口集中がすすむもと、ナショナルミニマムを実現するための格差是正、「所得再分配」機能を実行する貴重な財源のひとつとなっている。総務省が今すべきことは、マイナカード交付率の自治体間競争を煽ることではなく、憲法に定められた住民の生存権と基本的人権を保障するための自治体に対する財政の保障、公平な地方財政計画の策定に尽きる。

 自治労連は、住民のいのちと権利を守り、かつ地方自治の本旨に沿った地方自治実現のため、社会保障を拡充させること、住民・職員にマイナカード取得強制を許さない取り組みを職場・地域ですすめていくものである。

以 上