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病床削減をすすめ、医師の長時間労働を助長する医療法大改悪の強行に満身の怒りを込めて抗議する(談話)

2021年5月26日
書記長 石川 敏明

 5月21日、菅政権は「病床削減推進法案」(良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律案)を、国民世論を無視して参議院本会議で強行した。自治労連は、満身の怒りを込めて強く抗議する。
 この1年数か月にわたり、病床や医師・看護師不足をはじめとした不十分な医療提供体制のため、入院することもできず、多くの人が自宅で命を失っている。この現実を放置し、その教訓さえふまえようとしない政府に怒りを抑えられない。
 いまも多くの医療従事者は、懸命に奮闘している。コロナ対応が長期化し、長時間過密労働や先の見えない不安を抱え、肉体的にも精神的にも限界を超えている。「自分が死ぬか、辞めるか」を迫られ、退職した医療従事者も少なくない。
 コロナ危機によって日本の医療体制の脆弱さがより鮮明になった。いま最優先で行うべきは、感染者の7割を受け入れ、その最前線を担っている公立・公的病院の再編・統合や独立行政法人化・民営化をはじめとする医療体制の弱体化ではない。医療体制の拡充等、コロナ危機によって経営が困難になっている医療機関への支援、医療従事者の労働環境を抜本的に改善することである。

 ところがこの法案は、病床を削減した病院(自治体)に補助金を支給するという、まさに「病床削減推進法案」である。病床削減は、そのまま医師、看護師など医療従事者の削減につながるもので、医療提供体制にきわめて深刻な影響を及ぼす。このままでは、国民のいのちと健康を守ることもできなくなる。国会審議でも再三指摘されたにもかかわらず、自公与党と維新、国民民主党の数の力で強行したことは断じて許されない。
 同時に、この法案は、医師の長時間労働を固定化するものにほかならない。時間外労働の上限を年間1,860時間まで容認し、医師の過労死を生み出しかねない。他の医療従事者の長時間労働にもつながるものである。さらに、看護師など他職種への医療行為の業務移管(タスクシフト・シェア)を推進するとしているが、医療の質と安全性の低下を招き、患者のいのち・健康を脅かすものである。

 自治労連は、この「病床削減推進法案」にあらためて反対するとともに、国民のいのちと健康を守りきる地域医療体制を実現し、医療従事者全体の健康と生活を守るために、今後も全力をあげることを表明するものである。

以上

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