メニュー

故中曽根元首相の内閣・自由民主党合同葬儀当日 弔意表明を強制する10月2日「閣議了解」の撤回を求める(談話)

書記長  石川 敏明

 政府は10月2日に、「故中曽根康弘」内閣・自由民主党合同葬儀の当日に「弔旗の掲揚」と「黙とう」を国の機関や職員に押し付ける「『故中曽根康弘』内閣・自由民主党合同葬儀の当日における弔意表明について」を閣議了解した。具体的措置として、①各府省においては、弔旗を掲揚するとともに、葬儀中の一定時刻(午後2時10分)に黙とうすること、②各府省は、前項と同様の方法により、哀悼の意を表するよう、各公署に対し協力方を要望すること、を求めている。

 10月7日には、総務省大臣官房地域力創造審議官名で、都道府県知事・市区町村長あてに「政府の措置と同様の方法により哀悼の意を表するよう御協力をお願いします」とする通知を発している。

 そもそも、この葬儀は、「故中曽根康弘」内閣と自由民主党との合同で執り行われるものである。特定の政党が関わる私人の葬儀に対して、葬儀の時間に合わせて自治体職員に黙とうを求めるなどあってはならない。「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」とした憲法15条に抵触する。この通知に関して大阪府教育委員会が「特定政党への支持や政治的な活動を禁じている教育基本法14条に抵触する恐れがある」と判断し、高校などに送付しないことを決めたことなどからも明らかだ。

 2007年の故宮澤喜一元首相の合同葬の時には、このような通知は出されていないにもかかわらず、今回あえて通知を出したことは、菅政権による行政の私物化といわざるをえない。

 さらに、合同葬儀が行われる10月17日は、勤務を要しない土曜日であるにもかかわらず、弔旗の掲揚のための業務を職員に強制することになる。しかも、大正時代の閣令による弔旗の方法までも指示し、地方自治体に「日の丸」掲揚を強要するなど、もってのほかである。

 当該葬儀の経費として公費から約9,643万円を支出することが閣議決定されたことに対して、国民から批判の声があがっている。国民がコロナ禍で苦難にあえいでいる状況の下で、多額の税金を一私人の葬儀に使うことは庶民の感覚からかけ離れており、見直すべきである。

 職員個人が弔意を表明するかどうかは、あくまで個人の感情に基づくものであり、職権により一律に弔意を表明させることは、憲法に保障された思想・信条の自由を侵すものである。

 自治労連は、「閣議了解」の撤回を求める。いま必要なのは、コロナ禍のもとで高まる国民の不安をとりのぞくことであり、「森友・加計問題」や「桜を見る会」など、政権による行政の私物化を正すことである。自治労連は、憲法がいかされる政治へ転換するために、引き続き全力をあげる。

以 上

関連記事

関連記事