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公務公共職場で働く労働者71,191人が回答!
「カスハラを受けたことがある」全体の半数に迫る!!
自治労連は、公務公共職場で働くすべての労働者を対象に「働くみんなの要求・職場アンケート」に例年取り組み、その結果を職場の賃金労働条件に対する要求などの把握に活用しています。
2024年9月から2025年3月までの期間で取り組んだアンケートには、初めて「カスタマーハラスメントに関する項目」を盛り込み、71,191件の回答を集約しました。

職場内でカスハラを受けたことがあるか(n=69,281)
寄せられた回答からは、職場で1度でもカスハラを受けた経験がある人が47.6%となり、半数に迫る割合であることが明らかになりました。属性別では、年齢別で30代(56.8%)、40代(53.0%)、雇用形態別で正規職員(56.4%)、職種別で公衆衛生(70.1%)、一般事務(65.5%)、技術(建築・土木・化学・電気・農業等)(57.8%)、医療(医師・看護師・技師等)(51.5%)などが特に高い割合となりました。
今までに職場内で受けたことがあるカスハラの主な内容としては、回答が多い方から「侮辱・大声で威圧するなど乱暴な言動」(84.4%)、「明らかな嫌がらせによる長時間の拘束(窓口・電話など)」(48.8%)、「不必要・執拗な上司への面会要求」(28.8%)、「不当な謝罪の要求(口頭・文書など)」(26.3%)、「不必要・執拗な別部署・行政相談窓口への苦情」(22.9%)となりました。長時間の拘束や執拗な要求といった業務時間を著しく消耗させるものも含まれており、時間外労働を助長している側面もあると考えられます。
カスハラで「健康状態に影響があった」4割
やりがい喪失、人員不足で住民生活への影響懸念...
カスハラ被害を受けた人のなかで、健康状態にも影響があった割合は、43.7%にも上りました。そのうち2.3%は、仕事を休まざるを得なくなったと回答しています。

近年は、地方公務員の長期病休のなかでも「精神及び行動の障害」によるものが急激に増加しており、(一財)地方公務員安全衛生推進協会の調査によれば、2023年度は10年前の約1.9倍にもなります。公務公共職場の人材不足が顕著となっているなかで、カスハラへの対策がなおさら重要です。
また、仕事へのやりがいとカスハラによる健康状態への影響を合わせて見ると、仕事に非常にやりがいがあるとしている人でも40.9%が健康状態に影響があったとしています。頻繁にカスハラが起こる職場環境のなかで、仕事へのやりがいが失われ、公務の質の低下に影響が及ぶことも考えられます。さらには、やりがいの喪失による退職、過酷な職場環境が社会的に認知されることによるなり手不足など、カスハラが公務や住民生活に与える影響は甚大です。
カスハラ被害経験しても、職場に相談窓口があるか「わからない」実態...
真にカスハラから労働者を守ることができる実効性ある対策こそが重要!
カスハラを受けた経験を持つ人が多い公務公共職場ですが、一方で、職場のカスハラ対策への認知度は極めて低いものとなっています。職場にカスハラに対する相談窓口が設置されているかの設問に対して62.7%が「わからない」と回答しています。特に会計年度任用職員を含む臨時・非常勤職員やパート・アルバイトでは、フルタイム勤務で68.9%、短時間勤務で69.2%が「わからない」と回答しています。さらに、カスハラを頻繁に受ける人でも50.9%が「わからない」と回答しています。この傾向は、カスハラ対策マニュアルや指針の認知度においてもみられました。

また、カスハラ被害を誰かに相談した場合に解決したかという設問には71.5%が「解決した」と回答していますが、残りの28.5%は解決していません。カスハラ被害の相談先として上司が84.4%を占める結果も出ていることから、管理職に相談したが解決しなかったという事例が少なくないものと思われます。先述のカスハラ対策の認知度の低さを踏まえれば、管理職もまた、カスハラを解決するノウハウがない状態に置かれている場合も少なくないと思われます。
カスハラを受ける頻度が高い人が「クレーマーなどに複数人で対応するための体制整備(人員増)」や「第三者相談窓口(弁護士等)の整備」を求める傾向が強いことも明らかになりましたが、カスハラ対応に効果的とされる複数人対応も十分な人員体制がなければ実現は難しく、相談窓口にしても内部窓口では相談しづらくて利用できないということも起こり得ます。
以上のことから、カスハラに対するルールや対応マニュアルをつくるだけではなく、これらが効果を発揮するように、職場における教育や周知の徹底、1人で悩まず組織的に対応できる体制の確保などを徹底することによって、真にカスハラから労働者を守ることができる実効的な対策を講じていくことが重要です。
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