国による地方自治への介入、自治体を戦争に協力させる 予備自衛官等兼業特例法の廃止を求める(談話)
国による地方自治への介入、自治体を戦争に協力させる
予備自衛官等兼業特例法の廃止を求める(談話)
2026年6月12日
日本自治体労働組合総連合
書記長 橋口 剛典
政府は、6月10日、第221回特別国会において、国家・地方公務員を予備自衛官等として招集する際の手続きを大幅に緩和する「予備自衛官等の職務の円滑な遂行を図るための国家公務員及び地方公務員の兼業の特例に関する法律(略称:予備自衛官等兼業特例法)」(以下、本法)を、わずかな審議時間で数の力により成立させた。しかも、立法過程において、直接関係する地方自治体及び関係団体の意見を一切聞かなかったことは、極めて乱暴だといわざるを得ない。
本法には、現在、低迷している予備自衛官等の充足率(予備自衛官=約7割、即応予備自衛官=約5割)を何としても引き上げ、有事や災害救助にあたる要員を確保する政府の強いねらいがある。 本法は、「予備自衛官等の継続的かつ安定的な確保に資すること」を目的(第1条)とし、小泉防衛相が「今回の法案は、民間企業は対象ではないが、公務員に倣った措置を期待」「今後の更なる予備自衛官の充足率の向上に繋げていきたい」と発言しているように、まぎれもなく予備自衛官等を確保し、戦争体制を確立するためのものである。
本法の最大の問題は、これまで厳格に運用されてきた公務員法上の兼業の制約を特例という形で緩和することにより、予備自衛官等である職員が一度兼業許可を得れば、それ以降は、召集に応じる際に任命権者がその出頭を拒否できず、国・防衛省の命令が優先されることになる。それは、実質的な国による地方自治への介入を意味し、自治体を国の戦争に協力させるものである。
この間、自治体では、限界まで人員が削減された上に、多くの欠員が発生し、「公共」を支える体制が脆弱になっている。業務に支障があっても予備自衛官等の任務を優先させることは、人員不足が常態化している現場に残された職員への負担をさらに増加させることになる。戦争の準備に力を注ぐのではなく、住民のいのちとくらしを守るために、平時からの抜本的な人員体制の拡充こそが優先されるべきである。
また、職員に対して予備自衛官補に「志願」することを「推奨」する組織的圧力がかかることも懸念される。上司等による「推奨」は、部下にとっては事実上の「職務命令」ともいえる。また、予備自衛官等になるかどうかが人事評価に悪用される可能性も否定できない。上司の意に従順な公務員づくりは「全体の奉仕者」としての公務を変質させる危険性が極めて高い。
今日の自治体労働運動は、国民・住民を国の侵略戦争に動員する手先となった反省の上にたち、平和憲法を守ることを誓い、「二度と赤紙は配らない」決意のもとに出発している。自治労連は、今あらためてこの決意を固め、国による地方自治への介入、自治体を戦争に協力させる本法の廃止を求めるものである。