地域間格差解消に踏み出すも、不十分な政府目標にも届かない最賃目安 職場と地域の力で最賃の大幅引き上げを勝ち取ろう(談話)
地域間格差解消に踏み出すも、不十分な政府目標にも届かない最賃目安
職場と地域の力で最賃の大幅引き上げを勝ち取ろう(談話)
2025年8月7日
日本自治体労働組合総連合
書記長 橋口 剛典
厚生労働省の中央最低賃金審議会は8月4日、2025年の地域別最低賃金改定の基礎となる引き上げ目安を厚生労働大臣に対して答申した。目安はA・Bランクで63円、Cランクで64円であり、引上げ額は5年連続で過去最高となった。さらに僅か1円だがCランクの引き上げ目安が上位ランクを初めて上回った。目安どおりに引き上げられた場合、全都道府県で1,000円を上回り、全国加重平均は、1,118円となる。最高額の東京が1,226円、最低額の秋田が1,015円となり、地域間格差が縮小する。中央最低賃金審議会が格差解消につながる目安を答申したことは、今後の最低賃金決定における重要な前進である。
世論は、地域間格差解消と生計費原則を重視する方向に着実に動き出している。これは低賃金・地方格差による深刻な人材流出や地域経済衰退の実態を私たちが訴え続け、社会的な賃金闘争の中心課題と位置づけて「全国一律最低賃金制度の実現」と「時間額ただちに1,500円以上」と全国の仲間が最低賃金運動を展開してきた成果である。「全国一律最低賃金制度の実現を求める請願署名」は、5月22日の署名提出時には18万筆以上が寄せられた。
一方で、政府が掲げる「2020年代に全国平均1,500円」を達成するためには、2025年から毎年89円のペースで引き上げが必要であり、今回の目安額ではまったく間に合わない。現在、全労連「最低生計費試算調査」のアップデート(再調査など)が各地で進められており、物価高騰の影響もあり、「生計費は1,700円以上必要」とする結果が集まっている。これらの調査結果からすれば、政府の「2020年代に全国平均1,500円」という目標そのものが私たち国民のリアルな生活実感や生計費と乖離していることは明白である。「いますぐ最低賃金1,500円」を実現し、さらなる引き上げをかかげて運動を進めるべきである。
10月改定に向けて、すでに地方最低賃金審議会の審議は始まっており、この機を逃さず運動を強めることが求められている。目安について公益委員の見解では「地方最低賃金審議会の審議決定を拘束するものではない」としつつ、「最低賃金法第9条第2項の3要素のデータに基づき、公労使で丁寧に議論を積み重ねることが非常に重要」と生計費を重視するよう言及している。さらに与野党の多くが最低賃金1,500円を公約に掲げている情勢もある。
地方最低賃金審議会に対して目安を大幅に上回る引き上げを求める意見書提出や意見陳述、地方議会への意見書提出等、地域の住民・団体との共同で運動を広めよう。公務職場でも最低賃金引き上げをはじめとする社会的な賃金闘争を展開し、全世代の大幅賃上げ等を一体のものとして旺盛にとりくもう。自治労連は職場と地域の力で地域間格差是正や最賃の大幅引き上げの実現に奮闘するものである。
以 上