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国と自治体がデジタル企業の利益に「奉仕」する「デジタル改革関連法案」に断固反対する(談話)

2021年3月16日
書記長 石川 敏明

 デジタル社会形成基本法案など「デジタル改革関連5法案」が3月9日衆議院本会議で審議入りした。法案は、行政システムの統一化・標準化と、複数の自治体の情報システムを集約し共同利用する「自治体クラウド化」を導入するというものである。統一化・標準化は、行政の仕事をシステムに合わせることを各自治体に押し付けるもので、自治体独自のサービスは抑制されることになる。住民サービスの低下を引き起こし、地方自治の自主性を否定し、住民自治・団体自治を侵害するものであり、自治労連は断固反対するものである。

 総務省は、昨年の12月25日「自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画」を発表した。情報システムの共通化や行政手続きのオンライン化を自治体の重点施策と位置付けたうえで、工程表をもとに、自治体に対して計画的に対策を進めるよう求めている。
 「DX」を推進する意義について、「住民の利便性を向上」「業務効率化を図り、人的資源を行政サービスの更なる向上」をうたっているが、具体性は何もない。総務省は、「データは価値創造の源泉」であり、「データの円滑な流通を促進することによって」、「民間のデジタル・ビジネスなど新たな価値等が創出される」としている。すべては企業のもうけのための「デジタル化」であるといえる。
 また、「個人情報保護」の理念がなく、自治体が規定をしている個人情報保護条例のオンライン結合原則禁止が障害となっているとして、逆に個人情報保護法を緩和・撤廃しようとしている。

 行政のデジタル化推進により、デジタルを使いこなすことのできない住民は、従来の書面申請や、職員と相談しながらの対面による窓口手続きができなくなる。窓口の無人化や廃止により、住民の権利を守る窓口行政が失われる恐れがある。「住民の利便性の向上」どころか、かえって利便性が低下し行政サービスそのものが住民に届かなくなる。

 自治労連は、「デジタル改革関連法案」による地方自治、団体自治の改悪を許さず、憲法をいかし、住民生活を守る地方自治体をつくるために、住民との共同を広げてたたかうものである。

以上

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