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「道州制反対、『地方創生』と真の地域再生を考える院内集会」を開催(全労連公務部会)

image003 6月11日(木)、全労連公務部会、「道州制・地方分権改革を考える懇談会」は、「道州制反対、『地方創生』と真の地域再生を考える院内集会」を衆議院第二議員会館で開催し、労組や団体など8団体から42人が参加しました。

 主催者を代表して「道州制・地方分権改革を考える懇談会」の永山利和座長(元日本大学教授)は「自民党の道州制推進基本法の基本理念には、『国民の生活や教育については手を抜くけれど、国防や産業基盤の国際競争力強化につながる大企業優遇策は国がやる』そういうことが堂々と書き込まれている。様々な角度から新しい国家形成、地方自治の在り方に真剣に取り組んでいく必要がある。この集会が一歩でも前進する大きな機会となれば幸いです」とあいさつを行いました。集会では日本共産党の田村貴昭衆議院議員が情勢報告を行い、「政府のねらう地方創生は大企業中心である。合併の押しつけや、農業・地方の中小企業切り捨てで地方から魅力や活力を奪うものばかりであり、いままでの反省が全くない。大阪都構想は住民投票でつぶれたが、道州制につながる議論は何ら変わっていない。間断なき運動と世論の高揚に向けてさらにたたかいをすすめてまいります」と決意を述べました。また、集会には滋賀県日野町の藤澤直広町長からもメッセージが届けられました。

住民投票の教訓を道州制や憲法改悪反対の運動にいかそう

 特別報告では、自治労連の久保中執から、先月たたかわれた大阪市の廃止、解体を否決した住民投票についての報告が行なわれ、「これほど住民から『反対』、『賛成』の声が聞こえるたたかいは、いまだかつてなかった。宣伝中には住民から様々な応援があり、多くのドラマが生まれた。論戦、共同、草の根など、住民投票の教訓を道州制や憲法改悪反対の運動にいかし、すすめていくことが大事である。『住みよい地域にしてほしい』と望む多くの住民に積極的な政策提言を提起し、本当の地域再生をつくっていくたたかいをすすめてまいりたい」と述べました。

 各団体からの報告では、自由法曹団から尾林芳匤弁護士、全農協労連から坂口正明農協問題対策部長、全商連から勝部志郎常任理事、全教から中村尚史副委員長、国交労連から全労働の秋山副委員長、国交労連の伊藤英敏中央執行委員、自治労連からは江花新中央執行委員がそれぞれ発言しました。

「道州制については、保守層である全国町村会も反対しており、その影響で自民党は法案をなかなか出せなくなっている。沖縄問題やTPP、戦争法案など全国で運動のエネルギーが高まってきている中、共同の流れを中央レベルだけでなく、全国の都道府県でも様々な団体と連携していくことが必要ではないか。国民世論が高まっている今こそ、攻撃をはね返していくチャンスである」(自由法曹団・尾林弁護士)、「TPPや地方創生などで、地域の農家が安心してくらしていけない状況に追い込まれている今、共同を広げ、この状況をはね返す取り組みをすすめていく」(全農協労連・坂口農対部長)、「昨年、全国の民商にすべての自治体を訪問して中小企業基本法に基づく振興策について話し合おうと提起し、566の自治体を訪問した。都会に人口が流出する小さな自治体では、住民が自立できるだけの仕事があれば、地元の発展につながると考えており、われわれと共通する悩みがあることを実感した。安倍内閣の新自由主義的な政策を逆手にとり、地元の業者が手をあげ、いろんな所に様々な仕事が出てくるような仕組みをつくり、小規模事業者を通じて地域を豊かにする運動をしていきたい」(全商連・勝部常任理事)、「いま、学校の統廃合がすすめられ、毎年、猛烈な勢いで小中学校が減らされている。小泉構造改革以来、市町村合併などで多くの学校がなくなった。小学校がなくなれば、歩いて通学できないなど課題も多く、国はナショナルミニマムを放棄しようとしている。教職員と住民との共同で、この流れをはね返していかなければならない」(全教・中村副委員長)

上から押し付けられる『地方創生』ではなく住民本位の地域再生が求められている

 「労働者派遣法ができ、雇用破壊がすすむにつれ、ハローワークはあらゆる世代が利用するようになった。都道府県への移管となれば、人員不足の自治体では業務をこなせず、住民サービスの低下につながる。雇用労働環境を改善し、人間社会を大切にする取り組みをすすめてまいりたい」(全労働・秋山副委員長)、「行政改革の名のもとに、職員は減らされ、民営化など各地の施設で民間委託が増えている。施設を安心して利用できなければ、国民の不利益につながる。国民の中にも行政に対する不安が広がりつつある。さらに理解を広げ、住民や各団体との共同の取り組みをすすめていきたい」(国土交通労組・伊藤中央執行委員)、「自治労連は、『住民が主人公』という立場で地域再生をするべき、との自治労連の提言(素案)や安倍『地方創生』への対案を作成した。各地方組織では、この提言(素案)をもとに、自治体の首長との懇談などで積極的に活用されている。上から押し付けられる『地方創生』ではなく、住民本位の地域再生が求められている」(自治労連・江花中央執行委員)と、各団体から報告が行なわれました。

 集会のまとめでは、全労連公務部会の川村事務局長が「各団体からの報告で、地方切り捨ての実態が明らかになった。『地方創生』は、かたちを変えた道州制であり、道州制への地ならしである。政府の骨太方針でも、行政の産業化をすすめる打ち出しがされており、いま、住民が安心してくらせるための行政のあり方が問われている。沖縄問題や戦争法制など国民の反発が大きくなる中、自治体や地域とのつながりをさらに広げ、戦争ストップ、安倍打倒に力を尽くそう」と訴えました。

 集会の最後に、公務部会の猿橋均代表委員(自治労連中央執行委員長代行)より「公務労働組合が、自らの要求と地域住民のみなさんの要求をかかげ、地域から、草の根から、政治の在り方を変えようと働きかけをすれば、自治体の首長や自治体の姿勢を大きく変化させることができる。その一方で、財政誘導で地方に対する国家統制が強まっている。全国的な運動や様々な団体との共同の到達点をみなさんと確認し合うと同時に、地方でも共同の取り組みを進め、地方自治体の首長や地方議会など様々な人たちが参加して一緒に議論できる場をつくっていくことが必要である。また、労働組合運動として様々な要求に基づく地域の団体、住民の要求を実現する方策を具体化することが公務労働の役割だと考える。今後もその役割を果たしていけるように取り組んでいこう」と訴え、院内集会を締めくくりました。

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