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第17回全国公企(公営企業)青年のつどい~4年ぶりに名古屋で開催

 やっぱりリアル開催がいい

 第17回全国公企青年のつどいが526日~27日名古屋で開催され14単組44名が参加しました。「全国に同じ水道システムはない」といっていいぐらい地域ごとにさまざまな水道が営まれ、職種も土木、電気、水質、機械、事務職、技能労務職と多く、営業部門、管路部門、浄水部門など業務内容も多岐にわたります。

 青年のつどいでは全国の水道を実際に見て、同じ部門、職種の仲間が交流できるよう工夫してきました。そのためリアル開催でしか意味がなく、コロナウイルス感染症により中止としてきました。

 4年ぶりの開催となった今回は、1日目に管路、浄水、下水処理場部門の3つの職場見学を行い、夜の交流会と2日目の分科会を通じて、話題を共有する仲間で交流を深めました。

地震・災害時の対応ができる職員を育てる

 水道管路・道路部門分科会では、自分たちの職場で抱えている問題について話し合いました。

 1日目の水道管路センターの見学では、見学者から「倉庫が片付いているので誰でも道具の場所が分かる。できれば自分の職場でも整理したいのだが」と羨ましいとの声や、「地震時に必要となってくる仮設給水栓のデモンストレーションを見せてもらった。実技研修で消火栓から仮設給水栓の立ち上げを職員誰もができるようにしている名古屋市の姿勢を見習いたい」などの感想が出ました。

 重い課題として、「採用合格の通知を出しても4分の1が辞退されてしまう」「水道局(部・課)から全く違う分野の局(部・課)へ異動となるため、技術継承に繋がらない」など、採用しようとしても人が入ってこず欠員になっている現状や技術継承の問題が共通課題としてあがりました。

人がはいってこない

 採用問題では、水道の仕事を選んでもらうために仕事のPRが必要であるとの意見で一致。参考にしたい取り組みとしては、「地元の大学生を招いて水道の仕事のPRしている」ことや「個人の取り組みにはなるが、出身校にPRに行っている」といった話しが出ました。

 また、静岡では、技術継承の必要性から他部局に異動しない「水道技術」職員を採用し、水道局全体で技術継承の問題に取り組んでいる話しを聞くことができました。

業務上の悩みが共有できる

 業務上で必要となる給水車を運転するための免許について、昔の普通免許と違い、今の普通免許は中型を運転できません。そのため中型・準中型免許取得時の局(部・課)対応がどうなっているのか、「補助を出している話しを聞き、補助が出るように交渉している」などの話しも出ました。

 その他に、「人が少ないため、洗管作業を一人だった場合どうしているか」「連絡ツールにどういったアプリを使っているのか」など実際の仕事に参考しようと質問が出て、それぞれの対応や使っているアプリについて話が及びました。参加者たちは業務の参考にしてもらおうと活発に時間いっぱいまで意見を出し合っていました。

「ふつうの見学」では見聞きできない

 浄水部門分科会は、鍋屋上野浄水場の施設見学と質問・意見交流を行い、「ふつうの見学」では見聞きできない事や専門的な質問がだされました。

 鍋屋上野浄水場には全国2番目の規模の緩速ろ過池もあり、初めて見る施設におどろくとともに「自分のところの設備しか知らないので参考になった」との感想もありました。

 見学中も「実はこんなことが…」というところも案内され、「同業者」ならではで、組合主催だからこそリアルな実態も知れるのが、この見学会のすごいところです。

水道(浄水場)の使命は絶対に止められないこと!

 2日目の分科会では、座長を務めた出井浦(埼玉県企業局労組)さんが「水道の絶対的使命は水を止めることができない!ことだから浄水場で働いているといろんな苦労話がありますよね」と話し合いを促し、参加者は「ちょっとした手順間違いで断水させてしまった」「大事な機器を止めてしまった」などの失敗談や苦労話を共感し合いました。

 公営電気事業(宮崎県)からの参加者(2名)も、「電気も水道も止めることのできないライフラインで、「同じ技師として共感できる部分は多い」と話し、他の参加者も「公営の電気事業があることも知らなかったので参考になる」と感想を話していました。

失敗を隠さないことが大事

 人員削減が続いている職場では経験の少ない職員が1人作業となってしまうことも多いのが実情で、「人事異動も数年で配慮がなく設備屋(電気・機械職)は他の部局への異動で便利屋として扱われている」「教えてもらえる先輩がいない」などの悩みは共通でした。

 それに対し名古屋は、基本的に他局への異動はなく「人員削減の中でも重要機器操作の複数人対応の原則を労使確認し、重大事故が起きないようにしてきた」事に触れ、組合の力で他都市よりは直営業務も多く残っているため技術力低下はまぬがれている。また、「失敗しても複数人で共有することで失敗を隠すのではなく、再発防止対策も現実的なものになるし、一人で責任を抱え込むこともなくなる」と紹介しました。

下水処理場見学

(2日目は浄水場分科会へ参加)

 他都市からの参加者は3名と少なかったですが、参加者の希望と青年のつどいのコンセプトに沿い、伝馬町水処理センターの見学会を実施しました。

 参加者は「沈査処理を浚渫(しゅんせつ)で行っていたため、レイアウト的に終沈が反応槽より前段にあるなど、当市の処理場と異なる設備設計が参考になった」「人材育成・技術技能を軸に直営を守る運動を取っている点を参考にしたい」などの感想がよせられ、少人数でも開催した意義が感じられる見学会でした。

やっぱり交流がなくては! 再来年は静岡で!

 やっぱり交流がなくては、何のために集まるの?という訳で、見学会が終わっての交流会は、質素&短時間ながら参加者全員が集まり話しがはずみました。名水労青年女性部は、画像を中心にした新入組合員加入案内向けのPP資料でフットサル大会や新人歓迎会などのとりくみを紹介し、名水労の組織率が90%以上であることを知った参加者から「お~!」という声が上がりました。

 そして、交流会恒例の「単組紹介」も、照れながら話す初参加者から、リピータのつわものまで個性があふれていました。

 交流会中も「次回は静岡で」となる仕込みも空振りとなり、「再来年は静岡で!」ということでオチがつきました。

世界の流れは再公営化 将来に希望をもち住民のための水道をまもろう

 まとめのあいさつで近藤事務局長は、公企評の年間4つのとりくみに触れ、「青年のつどいは私が青年部の時に“他都市の水道を見てみたい”という単純な動機で始めた。公企評への入門的な取り組みなので、来年も仲間を誘って参加してほしい」と訴えました。

 その他の取り組みとして、「自治体学校“水分科会”は、“住民と共に水を考える場”として行ってきた。住民に水道は福祉事業であることを理解してもらうことで、“水を商品”とする水道民営化も宮城県を除いて大阪市、奈良市、浜松市で阻止してき」ことや、「公企集会(全国公企研究交流集会)は、“愚痴を言い合う場”ではなく、実務についている私達だからこそできる実現可能な政策を議論し、その政策を省庁交渉で訴えることが目的の集まりである」ことを話しました。

 そして、「省庁交渉は、公企評結成の翌年1990年に始まったが、当時は省庁の担当者に廊下で手渡しするだけのものだった。現在は国会議員会館で省庁の課長補佐級を迎えて、1時間あまりの意見交換ができるまでに発展したとりくみ。今日の分科会でも話題になった「国や自治体、局の(非常時への対応などの)指針は絵に描いた餅ではないか?」という疑問に共感する仲間も多くいたと思うが、実際の現場の意見を国に発信していくことができる場なので、ぜひ参加してみてほしい」と訴えました。

 最後に、「国は、技術力が低下したから官民連携と広域化を推進するといっているが、公企評はその対案として公公連携、公民連携、流域連携、住民連携の4つの連携を国に対して訴えている。国がいう官民連携は、“官”が“民”に対して、儲けやすい市場を提供する施策だが、世界では一度民営化された水道事業を始めとするさまざまな公共セクターが再公営化されている事例が増えている事実からすれば、水道民営化は“遅れた施策”なので、将来に希望をもちがんばっていこう」と締めくくりました。

リピートしたくなる。仲間を誘いたくなる。「うちでやってほしい」となる企画でありたい

 青年のつどいは、参加単組の希望ともいえる直営業務を多く残す名古屋開催を4年ごとに行い、名古屋→関西→関東→その他単組の順で行ってきました。

 来年は、静岡での開催を検討してきましたが、昨年、静岡を襲った豪雨による断水の影響や局の機構改革などで受け入れが難しく、2024年は「名古屋より西」で開催し、2025年は静岡で!という雰囲気の中で次回以降の開催場所を決めていくこととなりました。

 静岡からの参加者は「自分のところでできるか心配」の声もありましたが、過去に開催した大阪・交野市や愛媛・新居浜市でも開催前には心配の声がありましたが、青年のつどいは各単組の力量に合わせて開催することも大事にしています。「心配」との声があがった単組の開催後のアンケートにも「うちで開催してよかった」「単組の活性化にもなった」という感想が寄せられています。

 また、大規模水道事業しか知らない仲間や小さな水道事業同士の交流も深まることから、決して「よく見せる」必要のない企画です。

 これまでも、青年のつどいへのリピート率は高く、4年ぶりの再開を機に全国の公営企業ではたらく仲間の交流が深まる場として継続して開催していきます。