メニュー

「自治労連2023年国民春闘要求書」を総務省に提出

住民のいのちと暮らしを守りきる公務公共の人員・体制拡充と、必要な財源の確保を

 自治労連は2月22日、「自治労連2023年国民春闘要求書」を総務省に提出しました。提出には、長坂副委員長、石川書記長、嶋林賃金権利局長が参加、総務省公務員部からは野村公務員課長ほか3人が対応しました。

 長坂副委員長は要求書手交にあたって「コロナ危機のもとで住民のいのち・くらしが脅かされている。自治体労働者は削減された人員体制の中で住民のいのち・暮らしを守るため奮闘している。職員が安心して働ける職場にするために、本日提出する要求書について前向きに検討していただきたい」と述べ、特に6つの重点要求項目(次頁参照)の趣旨を説明しました。

 重点要求項目1について、「岸田首相も今国会施政方針演説で『公的セクターの賃上げ』に言及している。物価高騰のなか、地域経済のためにも公務部門の賃上げが必要だ。高卒初任給水準が地域別最低賃金を下回る問題は今すぐ対応が必要だ。ケア労働者の賃金改善も進んでいない。全ての職員の賃金改善が必要だ」

 重点要求項目2について、「自治体職場では『過労死ライン』を超える長時間労働が深刻な課題だ。いかなる時にも安全配慮義務は果たされなければならない。長時間労働を解消し、職員のいのちと健康が守られる人員体制とすることが必要だ」

 重点要求項目3について、「会計年度任用職員に勤勉手当を支給可能とする法改正が準備されているが不十分。現場で生じている様々な格差を解消し均等待遇を実現する法改正こそ必要だ。雇い止めへ問題も深刻。昨年12月の(公募が必須ではないとする)通知は前進と受け止める。誰もが安心して働き続けられる制度を求める」

 重点要求項目4について、「公務の民営化、指定管理等がすすめられている。発注者としての自治体の責任を果たすよう、国としての対応が必要だ」

 重点要求項目5について、「定年引上げについて、ほとんどの自治体で3月中には条例改正されるが、引き続き、定員管理のあり方や、役職定年者等60歳以降の職員が担う業務や働き方など、公務サービスを維持しながら、安心して働き続けられる制度とするため、引き続き対応が必要だ」

 重点要求項目6について、「地方財政に関して、マイナンバーカードの交付率を地方交付税に反映させることで行政にゆがみが生じている。マイナンバーカードの交付申請は任意である事を改めて確認したい。また、物価高騰に伴い様々な経費が増嵩し、自治体財政は苦しくなっている。自治体を支援する財政措置が必要だ」

 これに対して野村課長は、「要求いただいた各項目は、検討のうえ改めて回答したい」と述べました。

 自治労連は3月8日に総務省との回答交渉をおこなう予定です。

【重点要求項目】

1.地方公務員、公務関係労働者の賃金改善について、労使交渉に基づく自主的な賃金決定を尊重すること。また、昨今の物価高騰や地域経済対策等も鑑みて自治体職員の大幅賃上げを促進   するよう対応すること。特に地域別最低賃金を下回る水準となっている初任給水準を解消する大幅賃上げを行うこと。保育・学童保育・介護・医療従事者をはじめとする、すべての職員(会計年度任用職員を含む)の処遇改善を推進するとともに、地方交付税交付金が確実に賃上げの財源に充てられるよう対応すること。

2.新型コロナ危機をはじめとした緊急事態時にも、住民が安心してくらし続けられる公務公共の役割が発揮できる体制を平時から備えること。そのために、地方自治体が人員増を行い、実効性ある長時間過重労働の改善や職員が安心して働き続けられる環境を確保できるように財政措置を含む支援を行うこと。「過労死ライン」を超える勤務実態を直ちに是正するための具体的な対応を行うこと。労働基準法「33条1項」の厳格かつ限定的な運用や、「33条3項」、条例で定める「特例業務」が濫用されないよう対応すること。

3.任期の定めのない常勤職員を中心とする公務の運営を堅持すること。会計年度任用職員制度については、地方自治体の不適切な取り扱いを直ちに是正すること。

会計年度任用職員の賃金・休暇等について、勤勉手当(相当額)をはじめとする全ての手当が正規職員と同様となるよう法改正を行うとともに、法改正前であっても、同様の効果が得られる運用など対応するとともに、処遇改善のための財政措置を講ずること。また、給料表の格付や休暇制度等も正規職員と均等待遇となるよう対応すること。公募は、欠員補充や増員のために新たに採用する必要が生じた場合に限定し、公募によらない再度の任用を原則とするよう対応すること。

4.地方自治体の公務公共業務については原則直営で改善・充実させること。公的責任を果たせない民間委託や指定管理者制度等を実施しないよう、総務省として必要な措置をとること。

5.定年年齢の引き上げは、誰もが希望すれば安心して働き続けられる制度とするとともに、公務公共サービスの向上につながるよう職員定数増への財源確保を行うこと。労使交渉に基づき、労働条件で不具合が生じないようにするため国と異なる制度とすることについて、積極的に推奨するよう助言と情報発信を行うこと。

6.地方自治体が憲法に基づき「住民の福祉の増進」を図る役割を発揮できるように地方財政を拡充すること。特に以下の点について対応すること。

(1) マイナンバーカード取得について、カード交付申請はあくまで任意である事を全国に周知徹底すること。地方自治体が住民・職員個人の自由を犯すようなことのないよう対応すること。

(2) 物価高騰に伴いひっ迫する地方財政への支援を行うこと。物価高騰や最低賃金引き上げ等による負担増を、指定管理者や契約の相手方へ皺寄せすることのないよう対応すること。