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第22回自治労連 労働安全衛生・職業病全国交流集会

働き続けられる仕事と職場づくりを!長時間労働なくす労働組合の役割発揮!

 6月3~4日に静岡市内で第22回自治労連 ・職業病全国交流集会が開催され、全国から71人が参加しました。
 はじめに自治労連労働安全衛生・職業病対策委員会の委員長でもある自治労連・福島功副委員長が開催挨拶を行いました。福島副委員長は、国会での最大の焦点となっている共謀罪の問題点を指摘し「国会会期末までの残る期間を全力で奮闘を」と呼びかけた後、働き方改革での最大の問題点である長時間労働で、政府が出している規制内容について、いかに労働基準法で定められている人たるに値する基準からかけ離れたものとなっていることを指摘しました。特に地方公務員の場合では、36協定を結んでいない職場では労基法33条3項「公務のために臨時の必要がある場合」により恒常的な長時間労働が蔓延し、2000年以降に公務災害認定されただけでも過労死・過労自殺で192人の尊い命が奪われており、まさに時間外規制と職場の人員増は待ったなしの課題と指摘しました。
 その上で、「全国の経験交流、労安活動の活性化、労安活動を通じての要求の多数派づくり、次世代を担う役員づくりをめざし、この集会で大いに学び交流しよう」と呼びかけました。
 さらに静岡自治労連の小泉書記長から地元挨拶がありました。小泉書記長は、静岡県の最低賃金が低く人口移出全国ワースト2位となったことを指摘。労働安全衛生活動と合わせて賃金底上げ、過労死長時間労働の問題を取り上げて大いに宣伝しているとパンフレットを紹介し、「静岡でも職場訪問やアンケート、予算人員闘争を進めて人員増を勝ち取りたい。この集会は学習と交流の場になる。職員の要求にしっかり答えるために、大いに学び合おう」と呼びかけました。

<記念講演>
 続いて、産業医の阿部眞雄氏(写真右)から、「長時間労働と働くものの健康」と題して記念講演がありました。
 阿部氏は、まず長時間労働対策が形骸化していることについて触れ、現場の状況を無視した一律的な「残業禁止令」は単なるパワハラであり、ワークライフバランスの目標である「労働時間以外の良質な時間確保」の観点から「善い人生」に効く勤務間インターバルを考えることが必要と訴えました。
 その上で、生活時間の主たる構成要因である①睡眠(7時間半の良質な睡眠が健康的、無理やり短くした睡眠が最も悪い)、②食事(1.5時間)、③運動(2時間が健康的)、④通勤(半数が往復2時間)を考えると、労働時間は8時間しかありえないとしました。
 そして、「すべての時間を生産的に過ごさなければならない」という洗脳から解き放たれ、(ア)管理職が本来の役割を果たすための管理職教育 (イ)必要な人の配置 (ウ)働く側の「時間は有限な資源」という自覚 (エ)横の連携強化 (オ)理不尽な要求には毅然とした態度をとる (カ)コンプライアンス重視とアリバイづくり仕事をやめる の6点が長時間労働対策に重要と訴えました。

<講演>
 次に、「全国過労死を考える家族の会」の寺西笑子代表世話人(写真右)から講演がありました。
寺西さんは、まず夫が過労自死した当時の状況と、それからの遺族のたたかい、そこで得られた教訓、過労死を考える家族の会とご自身の活動などについて語りました。
また、今の働き方改革での残業時間規制について、「残業しなくても生活できる賃金を」「自主申告は過少申告を強要するもの」「過労死は職場で起こっている、労働組合は労働者の様子など職場に目配りを」「罰則強化だけでなく、働かせる側、働く人が変わらないと過労死はなくならない。」と訴えました。
最後に、遺族としての願いとして「夫の場合、睡眠時間を削り、家族と過ごす時間、自由に過ごす時間を犠牲にしで会社に尽くした結果が過労自殺だった。こんな悲しいことを繰り返してほしくない」「命より大切な仕事はありません」「人間らしく働ける環境をつくっていきたい。まじめに働く人々の命を守る活動を一緒に進めていきましょう」とまとめました。

<基調報告、特別報告>
 休憩後、自治労連労働安全衛生・職業病対策委員会事務局長の自治労連・杉本高中央執行委員が基調報告を行い、民間や公務労働者の健康状態、公務災害認定の状況、滋賀県人事委員会の調査に基づく長時間労働の実態、集会の目的や分科会・講座のねらいについて説明し、「朝元気に家を出た労働者を元気なままで帰宅させるのは事業者(当局)の責任、それをチェックし見届けるのが労働組合の役割」「8時間働けば終わる仕事、8時間働けば生活できる賃金、働き続けられる仕事・職場づくりをめざして一緒に頑張ろう」と訴えました。
 次に、参加者からの特別報告が行われ、滋賀県職員労働組合の嶋林書記長が「滋賀県職における不払い・長時間残業をなくす取り組み」と題し、報告しました。嶋林書記長(写真右)は、病院職場での不払い残業への取り組み、土木事務所での36協定違反など県庁の長時間労働についてのマスコミ報道、県会質問や国会質問の経緯と、知事部局での37年ぶりの人員増を勝ち取ったたたかいを報告しました。
 浜松市職員組合の良知委員長(写真左)は、「浜松市における労安活動」をテーマに浜松市職での各職場での衛生委員会活動と委員会の検討内容を周知するためのニュースづくり、気になることは委員会事務局へ資料提出させ解決することなど紹介しました。過度な定員削減による慢性的な長時間労働で介護や育児の休暇制度があっても利用することができない現実など、労働組合も不断の努力で衛生委員会でも要求していくことが大事と強調しました。

<分科会・講座>
 2日目は会場を清水テルサに移し、①「メンタル不調全般」、②「ハラスメント防止」、③「長時間労働防止~厚生労働省ガイドラインの活用~」の3分科会と、④労働安全衛生入門講座~臨時・非常勤職員、公務公共職場で活用~」、⑤「労働組合役員のための公務災害認定請求入門講座~メンタル不調・長時間労働~」の2つの講座を開催しました。
 参加者からは、「参加して良かった。明日から職場で活かしたい」「実体験の話はとても心に響いた。持ち帰って今後役立てたい」「ひとりひとりの変化に気づいてあげるためには、職場でコミュニケーションや日常での会話がとても大切と感じた」「多くの人が不幸となる働き方をこの世からなくすために労働組合として頑張っていきたい」などの感想が寄せられました。

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