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都道府県職部会が、地方交付税、地方分権改革、臨時・非常勤職員等のあり方について、全国知事会と懇談

 2月22日、自治労連都道府県職部会(以下、部会)は、地方交付税、地方分権、地方財政等の課題について、全国知事会との懇談を行いました。懇談には、自治労連本部から福島副中央執行委員長、杉本中央執行委員、久保中央執行委員も参加しました。
 懇談の冒頭、森部会長(京都府職労連)は「地方では法人二税の税収の落込みやトップランナー方式による政策誘導で自由に使える財源が減少するなど厳しい財政状況を迫られている。地方からの発信が重要であり、有意義な懇談にしたい」とあいさつしました。

 その後、杉田事務局長(神奈川県職労連)より、①地方交付税のトップランナー方式、②地方分権改革、③連携中枢都市圏構想、定住自立圏構想等広域連携、④「平成29年度税財政に関する提言」(全国知事会)、⑤「地方公務員の臨時・非常勤職員等のあり方に関する研究会報告」(総務省)の5点について、懇談の主旨を説明しました。
懇談でのやり取りの概要は次の通りです。

1.地方交付税のトップランナー方式について
 全国知事会事務局(以下、事務局)は、知事会として、地方交付税のトップランナー方式について「意見を申し上げる立場にない」としつつも、「地方交付税は、どの地域でも一定の住民サービスを提供するための標準的な経費であり、住民生活安心・安全に配慮すべき」との考え方を述べました。部会は「トップランナー方式は、全国の標準ではなく、経費削減やコストダウンを率先している自治体をモデルに『標準化』し、人件費の削減、非正規化、直営から外部委託化をすすめるものであり、地方交付税の大原則が壊される危機感を強めている」と述べ、地方財源の確保の観点から本来の主旨に沿った地方交付税となるよう引き続き、意見表明するよう要請しました。
2.地方分権改革について
 地方分権改革の義務付け・枠付けの見直し提案の中で、全国知事会が「従うべき基準」を廃止し、参酌基準化することを求めている問題について指摘し、見解を質しました。
この点について、事務局は「『従うべき基準』があるために、地域の実情に沿った施策ができない実態もある。より地域の実情に合わせた取り組みができるようにしたい」との考え方を示しました。
 「従うべき基準」の参酌基準化では、例えば、児童発達支援センターの給食の自園調理が「従うべき基準」とされている問題について、全国知事会は外部搬入等を認めるために参酌基準化することを求めています。部会は、この点について、安全性の問題や食育という問題点も指摘しました。
 事務局は「外部業者に委託することが良いとは考えていないが、現在の『従うべき基準』では自園調理しか認められず、例えば、近隣の学校や保育園からの搬入も認められない。利用者の少ない施設では自園調理は非効率との意見も強くある」と答えました。
 部会は「地域の実情に合わせることも必要であるが、地方の実態をよく聞いて精査すべきあり、安易に「従うべき基準」を参酌基準とすれば、最低限のナショナルミニマムさえ、保障されない可能性がある」と指摘し、意見の相違はあるものの、それぞれの立場で検証・意見交換も引き続き行うよう求めました。
3.連携中枢都市圏など広域行政への都道府県の果たす役割について
 事務局は「知事会として議論していない。それぞれの地方で取り組みをしていることは承知している」と述べるにとどまりました。部会は「この間、都道府県の広域・補完行政という役割を縮小する動きが強まっている。連携中枢都市圏構想等によって、いっそう都道府県の役割を縮小・低下させることにつながると考えている。一部では県が主導して取り組んでいるところもあるが、都道府県が関与できない仕組みになっている」と指摘し、知事会として議論し、意見表明するよう求めました。
4.「平成29年度税財政に関する提言」(全国知事会)について
 全国知事会が発表した「平成29年度税財政に関する提言」では、臨時財政対策債の廃止や地方交付税の法定率の引き上げを求めています。この点についての見解を質しました。
 事務局は「12月22日に知事会を含む6団体で『平成 29 年度地方財政対策等についての共同声明』を発表し、廃止を求めていた臨時財政対策債が増加されたことは残念であるが、地方の一般財源総額について、前年度を0.4兆円上回る62.1兆円が確保されたことは評価している。地方交付税の本来の姿に立ち戻り、特例制度に依存せず地方税財源の充実確保こそが必要」との考え方を述べました。
5.臨時・非常勤・任期付職員の任用のあり方について
 総務省が発表した「地方公務員の臨時・非常勤職員等の任用のあり方等に関する研究会報告」について、事務局は「この問題については知事会として議論していない。総務省が地方の実情を聞いて、適切に対応するものと考えている」と述べるにとどまりました。
 部会は「消費生活相談員や図書館司書など、非常勤職員が長年にわたり積み上げた専門性を否定し、行政機能を損なうことにもなりかねないと危惧している。都道府県によっては、すでに3年の上限を設けて、雇用が継続できない状況も生じている。また、一時金等の諸手当支給など、前進的な面についても、新たな財源が必要となるなどの問題も危惧される。」と指摘し、課題を認識・議論し、意見発信するよう求めました。
 

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