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「公共サービス破壊に立ち向かう公務労働者」テーマに4カ国の参加で国際シンポジウムを開催

Public-Sector Workers' Struggle against the Destruction of Public Services under Neo-Liberalism

 5月19日に開催された国際シンポジウムには、全国の地方組織、公務関係労組、研究者、マスコミなど、併せて100人が参加。研究機構代表委員である榊原教授(南山大学)がコーディネーターを務め、各国代表5人のパネラーからの報告に続き、参加者による質問や意見交換が行われました。

 パネラーからの、業務の民営化や労働者の非正規化などによる公共サービス破壊の現状と、それとのたたかいの報告は、民営化や非正規化が世界的に共通した課題となっていることを明らかにし、多くの参加者に共感と励ましを与えるものとなりました。

 マーク・ウッド(英・ユナイト労組)さんは、保守党政権の緊縮政策の現状と労働者のたたかいを報告。賃下げのための「首切り・再雇用」をストライキではね返した経験。介護施設民営化に対し、社会的なキャンペーンで労働者の雇用と利用施設の確保を勝ち取った自らの経験を語りました。

 イ・テシク(韓国・公共運輸労組)さんは、所属する全北平等支部が非正規労働者の雇用安定・正規化、賃上げと制度改善などに取り組んできた歴史に触れながら、上下水道委託阻止や、委託されたゴミ処理施設で賃金・労働条件の継承や責任ある施設管理を求めたたたかいを報告しました。

 ブライス・カーター(米・電気機械無線労組)さんは、自らが道路補修の労働者として働くノースカロナイナ州で、黒人差別やハリケーン被害までが口実にされた公共サービス破壊の状況を語るとともに、政治や社会運動とも結びつきながら、賃上げや職場の、そして、国民皆保険やインフラ整備に取り組む労組の役割について述べました。

 日本からは、松繁副委員長と中川書記長が報告。

 松繁副委員長は、日本の地方自治体のおける公共サービスのアウトソーシングに『対する自治労連のたたかいとして、各地の実践の中で憲法・地方自治の守り手としてたたかう自治体労働者の姿を語り、中川書記長は、深刻な長時間労働と非正規化とたたかう自治労連と、運動のバックボーンである自治体労働者論について述べました。

 シンポジウムはその後、フロアからの発言として、水道事業の民間開放の動きと住民運動」(自治労連公企評・近藤事務局長)、静岡・島田市の包括委託問題(島田市労連・石塚委員長)、埼玉・春日部市の学童保育問題(埼玉県本部・畔上委員長)の3人が報告。さらに、各国の労働者・労働組合の状況や諸制度についても、活発な質疑が行われました。

 

シンポジウム翌日には、外国代表が福島と広島を訪問

 福島にはブライス・カーターさん(米)が、熊谷中執などと一緒に訪れ、いわき市から今なお立ち入り禁止が続く大熊町に至る被災地を、福島県本部笠原委員長、福島・浜通り復興共同センターの菅家新さんの案内で視察、その後、郡山市内で郡山市職労・二本松市職労役員や県労連役員のみなさん15人余りと交流を深めました。

 懇談会では、職場の長時間労働や非正規労働者の拡大、の組織化などについて、質問が出されました。アメリカでも、苦労しながら運動を進めている様子を語るカーターさんの言葉に共感が広がりました。また、被災地について尋ねられたカーターさんは、被害の実相に衝撃を受けたこと、そして、一日も早い復興を願う気持ちを、アメリカの仲間にも伝えたいと語りました。

 

 広島にはマーク・ウッドさん(英)、イ・テシクさん(韓国)が、松繁副委員長などと共に訪問しました。広島に到着し、まず広島自治労連の事務所を訪問。そこから雨模様の中を、広島自治労連の金子書記長の案内で、広島のまちに残る戦争の跡を見学し、さらに平和祈念資料館を訪れました。原爆による凄惨な歴史を肌で感じる視察となりました。

 夕方に行われた懇談会には広島自治労連の大内委員長をはじめ、広島市児童館指導員労組、広島市留守家庭子ども会指導員労組などから10名が参加。学童や児童館での非正規などの労働実態の状況に海外代表の二人は大きな関心を示し、時間が足りなくなるほど懇談が盛り上がりました。夜の交流会では広島のお好み焼きなどを堪能し、交流を深め訪問を終えました。