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道州制反対 5.24院内集会

「道州制」に反対し、憲法をいかし、暮らしを守る 5・24院内集会を開催

 全労連公務部会は5月24日、全国生活と健康を守る会連合会、自由法曹団など21団体が参加する「地方分権改革」問題懇談会との共催で、「道州制」に反対し、憲法をいかし、暮らしを守る院内集会を衆議院第二議員会館で開催。労組、団体から42人が参加し、「道州制」の問題点について学習を深めるとともに、道州制基本法を許さず、くらしと地方自治を守る共同のとりくみを発展させることを確認しました。

 主催者を代表してあいさつに立った「地域主権改革」問題懇談会の永山利和座長(日本大学元教授)は、「自民党政権になって、憲法改正の動きが色濃くなってきた。道州制は国の業務を軍事、外交などに絞り込み、福祉など国民生活に関わる業務を地方に丸投げするものだ。政治状況は厳しいが、国民主権と生活を守っていくために本日は議論を深めていこう」と呼びかけました。

 集会には、委員会の都合で参加できなかった塩川鉄也衆議院議員の代理として、石川健介秘書が国会情勢について報告。「自民、公明、維新の会、みんなの党などが『道州制基本法案』の提出をねらうなど国会は緊迫している。民主党が進めてきた『地域主権改革』の到達の上に、自民党が先祖返りをして構造改革を進めようとしている。憲法とくらしを守る大きな運動を広げていきましょう」とよびかけました。

 続いて、4月15日に意見書「住民の声とくらしを切り捨てる道州制を批判する」を発表した自由法曹団から、久保木亮介弁護士が「道州制基本法案の問題点」と題して講演。「道州制では、福祉など国の事務が財源の保障がないまま地方におしつけられ、さらなる市町村合併で住民サービスが低下し、憲法25条が脅かされる」「外交や防衛などは国の専権事項とされ、オスプレイや米軍基地問題では地方の意見が反映されなくなり、中央集権化が進む。」「国と地方の組織がリストラされ、公務員の大量解雇や民営化もねらわれる」と道州制の問題点を指摘し、参加者全員で学習を深めました。

 基調報告に立った自治労連・久保貴裕中央執行委員は、道州制基本法案をめぐる情勢について報告。全国町村会が道州制反対の決議をあげて衆参全国会議員に要請したり、知事会でも道州制に対する反対や異論の意見が続出するなど、道州制の中味が明らかになるほど様々な矛盾を引き起こしている現状を指摘し、「道州制の問題点を広く国民に知らせ、憲法をいかし、福祉の拡充を求める要求運動を進め、参議院選挙と東京都議会議員選挙で、改憲や道州制を推進する勢力の台頭を許さない政治を実現するために奮闘しよう」と訴えました。

 討論では、自治労連都道府県職部会の杉本高氏が市町村合併と権限移譲問題について発言。「合併して広域な行政区になった市では、職員が市内の集落の位置も名前もわからなくなっており、災害の時に対応できるのか不安だ。県から市町村へ次々と事務がおろされているが、現場では人手も予算も足りず、住民サービスが低下している。道州制を許さず、都道府県が住民のくらしと市町村を支援する役割を発揮できるようにたたかう」と決意をのべました。

 各労組、団体からは「地方整備局廃止反対のたたかいで、『地方を守る会』など全国の自治体首長とも共同を広げてきた。これまでのたたかいで築いた到達点を力に、道州制反対の運動をすすめたい」(国土交通労組)、「福祉を放棄する国の姿勢は、今度の生活保護法改悪にもあらわれている。国民のいのちとくらしを守るために道州制には反対していきたい」(全国生活と健康を守る会連合会)、「道州制や市町村合併は、子どもの教育にとっても重大な問題。道州制についての学習を進めていきたい」(全教)、「道州制反対の運動を、ハローワークの廃止、地方移管を許さないたたかいとともに進めたい」(全労働)など、決意が表明されました。

 集会アピールを採択した後、閉会あいさつに立った、全労連公務部会代表委員・国公労連の宮垣忠中央執行委員長は、「自民党などがねらう道州制は、憲法改悪と一体になったもの。道州制基本法を許さず、国民の共同を広げて、参議院選挙、東京都議会議員選挙に勝利しよう」と呼びかけ、集会を終えました。

「道州制」に反対し、憲法をいかし、暮らしを守る 集会アピール

 国民的な議論がない中、「道州制」導入の動きが活発化しています。自民党は、都道府県を廃止し、全国を10程度の道や州に集約する「道州制基本法案」を議員提案することを公明党と合意し、日本維新の会とみんなの党にも協議を呼びかけ、現在開会中の通常国会での法案提出をねらっています。

 「道州制基本法案」は、①国の事務を「国家の存立の根幹に関わるもの」に極力限定する、②道州に従来の国家機能の一部を担わせ、「国際競争力を持つ地域経営の主体」として構築する、③基礎自治体(市町村)は、住民に直接関わる事務について「みずから考え、みずから実践できる地域完結を有する主体」として構築することなどを内容としています。

 道州制をめぐっては、「道州制基本法の早期の制定を目指したい」と安倍首相が表明し、それを後押しするように、日本経団連が、「道州制実現に向けた緊急提言」を発表しました。その一方で、道州制導入に反対する全国町村会の特別決議や全国町村議会議長会の緊急声明が発表され、さらに全国知事会の中でも拙速な進め方に批判の声が続出しています。

 道州制の導入は、国の役割を防衛や外交、治安に限定し、社会保障や教育など本来、国が責任を負うべき分野を地方へ丸投げし、住民に自己責任に押しつけるものです。福祉や教育などで地域の格差を拡大し、住民のくらしと地域を破壊するものであり、国のナショナルミニマム保障の責務を定めた憲法にも違反します。

 いま、求められているのは国が生存権や幸福追求権など国民の基本的人権を保障し、憲法にもとづいて国・都道府県・市町村がそれぞれの役割を発揮して、国民の安全・安心を守ることです。そのためにも私たちは、国の責任放棄と住民生活切り捨てにつながる道州制に反対し、憲法をいかし、国民のいのちと暮らしを守る行政・地方自治・教育の実現を強く求めます。

2013年5月24日

 「道州制」に反対し、憲法をいかし、暮らしを守る

5・24院内集会