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職員のボトムアップで家庭ごみの「ふれあい収集」スタート(静岡・伊東市職労連)

 静岡県伊東市では、高齢者や障害者など「ごみステーション」に家庭ごみを搬出するのが困難な人のために、収集職員が直接自宅へ出向いて収集する「ふれあい収集」を7月1日からスタートしました。これは、職員が自治体職員として「公務労働とは何か」を考え、市長へ直接提案や組合要求書の提出などを通じ、職員の「ボトムアップ」事業として実現したものです。

「ふれあい収集」のきっかけとなったのは、「ごみの搬出で苦労している高齢者を何とかしたい」という職員の思いです。伊東市の高齢化率は2019年度で41.0%と高く、全国ではすでに福祉収集が広がっており、「伊東市でこそ実現していく必要性がある」と考えていました。しかし、市当局へ提案しても遅々として進まない状況に市長へ直談判。小野市長は、「職員は上司の顔色を見ずに意見を言え」と風通しのよい職場づくりを心がけており、直接交渉を通じて、職員のボトムアップ事業として取り入れられることになりました。

 実施に至るまでは、高齢者や障害者との正しい接し方を身に付けるための研修やAED講習、社協やケアマネとの連絡会議、事務職員と毎日のように打ち合わせ。ポスターをスーパーや薬局などへ貼りだし。さらに、申込のあった利用者へは、収集職員が自宅へ足を運び、直接面談を行いました。福岡で開催された自治労連現業全国学習交流集会でも、名古屋、船橋、京都、北九州をはじめ多くの単組から福祉収集の取り組みを聞きました。

 7月1日の出発式には、市長・副市長をはじめ多くの市議会議員も参加。小野市長から「職員のみなさんからの提案のあったボトムアップの事業。市民に福祉の充実を感じてもらえると思う」と激励されました。現在、「ふれあい収集」を実施している世帯は44世帯で、3桁の実施をめざしています。収集を行っている職員は、利用者と会話しながら安否確認も行い、「ごみを出すのが大変なので本当に助かります」「市の職員だから安心してまかせられる」「職員が収集に来るのを心待ちにしている」などとたいへん喜ばれています。

 職員によるボトムアップ事業はこれだけに留まりません。昨年から古着や古布の回収も市内スーパーを拠点として実施。ごみの減量やリサイクルを目的に、委託によって業務が薄くなった第5週木曜日を利用して実施しています。直接対面による回収は多くの市民に利用され大変好評です。また、8月からは「ふれあい収集」とタイアップして、「青色防犯パトロール」を実施します。

 これらのボトムアップの事業は、委託ありきだった市当局の姿勢を変化させています。「ふれあい収集」のメンバーは、「役割が増えれば、それを支える人員が必要になってくる。人員増、職員確保のためにも賃金・労働条件の向上をめざしていく」、「ふれあい収集は、伊東市が一番はじめにやりたかったがかなわなかった。しかし、仕事の中身では全国一番だ!」と語ります。

 

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