メニュー

房総半島の台風15号被災自治体にお見舞いを届け、首長とも懇談

 自治労連は10月2日(水)、台風15号によって大きな被害を受けた房総半島(千葉県)の被災自治体へお見舞金を届け、首長などと懇談しました。

 当日は、自治労連本部から桜井委員長、長坂副委員長、千葉県本部から竹内委員長、實川書記長らが参加。各自治体では、君津市・石井宏子市長、鋸南町・白石治和町長、南房総市・嶋田守副町長、館山市・金丸謙一市長、市原市・小出譲治市長らに対応いただき、当該単組代表も同席しました。

 懇談では、被災状況や復旧状況、国や県などに対する要望などをうかがい、自治労連としても総務省をはじめ各省庁や県に対して要望等を届けることを伝えました。

 また千葉県本部から、「『2019年台風15号』災害の復旧・復興に関わる対応及び、職員の健康管理と勤務条件に関する」要請書を提出し、国・県に対して「激甚災害の指定を行うこと」「災害住宅再建支援金制度の見直し」など要望していただくこと、昼夜分かたず頑張っている職員の健康とともに、賃金・労働条件の確保を要請しました。

【君津市】では、桜井委員長から石井宏子市長に、台風15号被害に対するお見舞いと、全国の仲間からよせられている声を伝え、「自治体労働者、自治体関係労働者の労働組合として全国の仲間にカンパとともにボランティアを呼びかけている。自治労連としてできる支援をしていく」とカンパを手渡ししました。また、「自治労連として総務省ほか各省庁と交渉を行っている。要望があれば各省庁に要請するので困っていることがぜひ聞かせてほしい。政府がこの間行ってきた公務員の人員削減や非正規化で現場は疲弊している中で、毎年のように全国各地で大規模な災害が発生している。教訓を共有していきたい」と話しました。

 石井市長は、「今回の大規模停電は新しいタイプの災害だった。通信手段が途絶えてこちらから出かけていかないと状況がわからず、アナログに戻り人海戦術でやるしかなかった。職員は200%の力を発揮して頑張っている。無理をしすぎているのが心配。マンパワーが必要だと考えている。支援に対しては職員でなければできない仕事もある。引き続き支援をお願いしたい」と述べました。

【鋸南町】の白石治和町長は、「夜明けとともに地域を回り、住民と一緒に被害状況の把握に努めた。地域のコミュニティーがしっかりしているし、住民の力がすごい。80代、90代の方がガレキの仕分けをしている。県の役割発揮が重要だ。ボランティアを含めた支援については『絆、支援の輪』がすごい」と話しました。

【南房総市】の嶋田守副市長は、「今回の災害対応は長い取り組みが予想されるため、職員にも休みをとるように言ってきたが、私がいないと仕事が回らないと出続けた職員もいる。やっと交代で休みをとることができ始めてきた。市民も疲弊している。県本部の要請書についても趣旨については同感だ」と述べました。

【館山市】の金丸謙一市長は、「これまで大きな災害の被災経験がなく市役所・職員の中にノウハウがなかった。国の支援がないと再建ができない。職員の体も心配だか、職員にはしばらく頑張ってもらいたいたいとお願いしている。緊急事態のためオール館山市体制で市民も一緒に頑張っている。ガレキ処理も量が半端でない」と話しました。

【市原市】の小出市長は、「停電で人命を奪われることは無かったが、新たな形態の災害となった。TV報道されたゴルフ練習場の支柱倒壊による被害問題も対応に当たっている。停電地域では全然情報が入ってこなかった。そこで、その地域の被害状況を把握するため、休日にも関わらず若手を中心に90名が参加し2500世帯をすべて回って聞き取りをおこなった。住民から感謝の声をかけられ職員たちも自治体労働者として励みになったようだ。また市原市は町会組織がしっかりしていて、このことも状況を早くつかむことに貢献した。情報網が寸断したため情報伝達に苦労したが、臨時の広報を1週間で5号発行して情報伝達に努めた。現場に足を運び役所から外に出て情報をつかみ、足を運んで情報を住民に知らせる取り組みが大切であることを実感した」と述べました。

<千葉県本部の要請書>

 1.復旧・復興支援に係わる国・県への要望について

 災害復旧・復興を強力に推進するため、以下の点等について、国・県等関係機関に要望を強めてください。

(1)災害救助法の適用ととともに、早期に激甚災害の指定を行なうよう要請して下さい。

(2)いまだに、ブルーシート張りなど緊急の復旧も遅れており、ボランティアに依存している状況にあります。緊急な対応のため、高所作業のできる自衛隊、建設業者等の派遣を要請し、万全を期してください。

(3)住宅の被害や生活再建のため、抜本的な対策を講じてください。

① 災害住宅再建支援金制度を抜本的に見直し、最高額を500万円に引き上げてください。

② 「一部損壊」を支援の対象とするとされていますが、実際に住めない状況であれば「全壊や半壊」とみなすなど判定基準の弾力的運用や基準の改善を行い、支援金の上限額や補助率を「半壊」なみに大幅に改善すること、また、国の公費負担も引き上げてください。さらに、「特例」による助成でなく、国の制度を改正して拡充しください。

③ 高齢、独居など特別支援が必要な世帯に、現在の居住地域にくらし続けられるよう、住宅の復旧、県営住宅の設置、民間住宅の借上げなどの特別対策と支援を行なってください。

(4)多くの自治体で罹災証明の発行が遅れています。罹災証明の受付・発行事務、現地調査を進めるため、行政支援を全国の自治体に要請し体制の強化を図ってください。

(5) 罹災証明の発行においては、被害実態に即した弾力的な対応を行ない、住民から判定内容に不服がある場合は、再調査・再認定を行なってください。

(6)農業・漁業、中小企業等の再建のため、各種支援措置における助成基準の弾力化、上限額や対象範囲の拡大など、拡充してください。また、災害による廃業などで、過疎化に拍車がかかる事態が危惧されます。「地域再生・活性化」の特別事業を行うなど、国・県上げて復興を支援してください。

(7)医療、介護、子育てなどの施設の復旧、入所できる施設の確保や必要なサービスが受けられるように援助してください。

(8)災害ゴミの処理が困難な状況です。ゴミ処理を公費で迅速に行なうため、自衛隊などに派遣要請を行なうなど、万全な対応を行なってください。

(9)市県民税、国保税(料)、介護保険料などや、受診(利用)料の減額・免除など、特別措置を行ってください。

(10)総合的な相談窓口を身近な自治体に設置し、機敏に相談できる体制を作ってください。

(11)住民のボランティアのニーズが多数にのぼっています。ボランティア受け入れの体制を確保するため、支援要請など必要な対策を講じてください。

2.職員の健康確保について

(1)非常時の中でも職員の勤務状況の把握を行ない、勤務体制の適切な確保を行なってください。災害時の徹夜警戒や復旧業務による長時間過重労働が続いています。勤務問インターバルの確保、計画的な休日取得、休憩時間の確保など、職員の過労を予防するよう勤務体制を確保して下さい。

(2)職員の安全対策や健康管理等の対策や配慮を行なって下さい。危険作業時の防災器具配備、安全教育の徹底、作業時の熱中症などの健康対策、保健師等への相談体制などを講じてください。また、PTSD防止やメンタル不調など職員の心のケアに配慮してください。

(3)以上の点については、管理職等の職員にも同様に対策を講じてください。

3.職員の賃金・労働条件等の確保について

(1)時間外勤務等の対応について

① 台風15号災害による復旧作業等において、正規・非正規の職員が行なった勤務時間外(休憩時間含む)に行なった作業は、時間外勤務手当(実費報酬)として支給してください。

② 時間外勤務扱いとする・しない、対象時間数などについて、後日、一定収束した段階で、公平で適切な支給基準を明確にするための労使協議を行い、労使合意により適切な処理を行なってください。

(2)休日出勤の代休・振替については、法や条例規則に基づき適正な処理をお願いします。そのため、代休・振替等の事務手続に関する通知を出すなど職場に周知してください。また、夏季休暇などの休暇取得について期間の延長など、配慮ください。

(3)出勤困難等の対応について 正規職員に認められている災害による出勤困難、災害時の退勤途上危険回避、災害による家屋罹災の特別休暇等について、職員に周知するとともに、非正規職員にも適用し、制度の改善を行ってください。

関連記事

関連記事