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思想調査アンケートは違憲 裁判勝利が確定

大阪市労組の仲間が「憲法が生きる自治体」をめざし、さらなる奮闘を決意

image003 橋下前大阪市長が就任直後の2012年に教育委員会を除く、全職員34,000人を対象に実施した「職員アンケート」について、3月25日に大阪高裁は、憲法違反のアンケート調査であること、実施したのは大阪市と橋下前市長であると認定し、組合員の原告59名に対して損害賠償を行えとの勝利判決を下しました。4月8日が上告期限でしたが、大阪市が上告を断念し、勝利判決が確定しました。

 4月13日、大阪市労組と思想調査アンケート国賠訴訟原告団は、勝利判決報告集会を開催し、150名を超える参加がありました。市労組は、4年にわたる各方面からの支援に感謝するとともに、「全体の奉仕者として職員が生き生きと市民のために働くことのできる自治体づくりをすすめ、『おおさか維新』のすすめる憲法無視の自治体破壊をストップさせる活動に全力で取り組む」と、さらなる奮闘を決意しています。

勝利確定をうけた市労組の声明は下記のとおりです。

声  明

思想調査アンケート裁判、勝利判決を受けて

 3月25日に大阪高裁は、橋下前大阪市長が就任直後の2012年2月に教育委員会を除く、全職員34,000人を対象に実施した「労使関係に関する職員アンケート調査」(思想調査アンケート)について憲法違反のアンケート調査であること、実施したのは大阪市と橋下前市長であると認定し、組合員の原告59名に対して損害賠償を行えとの勝利判決を下しました。

 勝利判決は、橋下前市長が職員に対し業務命令で回答しなければ処分すると脅し、回答しない職員に対して上司からの執拗な説得工作が行われたこと、その結果、職員に精神的苦痛を与え職場を混乱させた事実を見るならば当然の判決と言えるものです。

 この思想調査アンケートは、内心の自由を奪う人権無視のもので憲法違反、との全国的批判の広がりにより、中止となりました。しかし、橋下前市長は反省することなく、2012年5月に全職員に対し「入れ墨アンケート調査」を実施、回答拒否者に対しては、「市長命令に従うかどうかがアンケートの目的」と提出を強要してきました。まさしく思想調査アンケートは、市長に服従するかどうかの「踏み絵」として実施されたものです。

 市労組は、橋下前市長と大阪市に対して、59名の原告(組合員)だけでなく、「処分」と言う市長命令に苦しんだ多くの職員と職場を混乱させたことに対して深く反省し、市民と職員に謝罪することを強く求めてきました。

 思想調査アンケートは、橋下前市長が「民意を語れるのは選挙で選ばれた市長だけ」「市役所の組織で、市長の顔色をうかがわないで誰の顔色をうかがうのか」「公務員の組合をのさばらしておくと国が破綻する」「市民感覚に合うように労働組合を是正する」などの発言を繰り返し、職員には思考停止を求め、労働組合には攻撃し弱体化をすすめることで、大阪市役所を市長命令に絶対服従する上位下達の統治機構に変え、憲法無視がまかりとおる首長独裁の自治体づくりをすすめるために実施されたものです。

その後、橋下前市長のもとで執拗な公務員バッシングと労働組合への攻撃が行われるなかで、「職員基本条例」「労使関係条例」「政治活動規制条例」などの憲法違反の条例が制定されました。条例の下で職員、労働組合への権利侵害が続けられています。そして、この憲法違反の条例は、市政改革プランによる市民への負担強化や「なんでも民営化」のもとでの地下鉄売却、病院、保育所、幼稚園潰しなど、市民、職員犠牲の市政を押し付けるための「ブラック自治体」としての役割を果たすものとして作用しています。

 市労組は、勝利判決を大きな力にして「憲法が生きる自治体を」めざして奮闘します。そのためにも憲法違反の条例を廃止させ、大阪市役所から権利侵害をなくすために引き続き取り組みを強めます。

さらに、組合事務所退去通知に対しては、「中労委命令守り不当労働行為を是正せよ」の声を広げ、「最高裁は、上告書を受理せよ」のたたかいを全国の仲間の支援のもとで続けています。「憲法28条(団結権)守れ」のたたかいは、全国の労働組合に影響するものです。引き続きのご支援をお願いします。

 最後に、全体の奉仕者として職員が生き生きと市民のために働くことのできる自治体づくりをすすめ、「おおさか維新」のすすめる憲法無視の自治体破壊をストップさせる活動に全力で取り組む決意です。

2016年4月13日

大阪市役所労働組合