公的介護保障制度確立に向け、「政策(素案)」を提起
 自治労連は、6月18日(土)~19日(日)に、自治労連会館で、介護関係労働者全国交流集会を開催し、全国から103名が参加しました。「自治労連の目指す公的介護保障政策」を論議しました。

特別報告「東日本大震災・被災地から」
 佐藤さんは、「マスコミは、東北人は我慢強いというが実際には我慢させられている。区分支給限度額があり、サービスが足りない。4~5万の年金では足りず、親族に金銭援助を求める方も。避難所に行けず孤立した高齢者もいる」と述べました。
 伊藤さんは、震災で家を流され、子ども2人とお母さんを亡くされましたが、ケアマネージャ-の仕事を再開しています。「施設は避難所になっているため、ショートステイも詰め込み状態。3~4月は入浴していない人が多く、3月中旬から自衛隊の風呂ができたが、高齢者は、手すりもなく入れない人もいた。要支援認定者は、通院介助、買い物介助が認められておらず、市に相談するとアセスメントしてからと言われ、書類を提出してもなかなか結論がでない。通院・買い物は、介護タクシーの再開により行けるようになったが、仮設住宅が元の住居より遠くお金がかかる」など、被災地の要介護高齢者の実態を報告しました。

記念講演「介護保険の廃止と公的介護保障の確立を」
 伊藤周平さん(鹿児島大学)
 伊藤周平さんは「介護保険は医療費削減のために作られ、政府は医療の回復期の患者を介護保険に移し、介護職に医療行為を行わせ、生活援助などの福祉サービスを給付から外そうとしている。国民は医療も生活も保障されない。介護保険・後期高齢者医療制度を廃止し、全額税で行う高齢・障がい者総合福祉制度を創設すべきだ。大企業、富裕層に対する優遇税制を元に戻せば財源はある」と述べました。
 また、参加者の質問に答え「確かに、社会保障を充実させるにはお金がかかる。しかし、経済活動をきちんとやるためには社会保障の拡充が必要だ。格差があり、低賃金労働者が多い国では、国民の購買力が低下し、持っているお金は将来の不安でためこんでしまうため、消費が冷え込み経済は成長しない。社会保障を充実させた国の経済は伸びている。法人税を下げても、結局企業は海外に逃げることになる」と答えました。

「公的介護保障制度確立を目指す自治労連介護政策」(素案)提起
 森永中央執行委員が(素案)を説明。介護の市場化の問題として、「措置制度で社会福祉労働として位置づけられていたヘルパーの相談・助言業務が、マニュアル化された商品労働になるなど介護労働の変質が起こったこと。自治体のホームヘルプ・ソーシャルワークが後退し、要介護認定を中心とする仕事になり、住民の実態把握ができなくなったこと。コムスンに見られる利益第一主義では、儲からなければ撤退、不正の横行や、『静養ホームたまゆら』火災にみる、低所得者を対象とした貧困ビジネスの広がりなど、市場化により介護の質は低下していること」を述べ、保険制度の限界として「保険料・利用料・給付・介護労働者の賃金がリンクしており、高齢者人口が増加する中では、保険料・利用料の引き上げ、軽度者外しなど給付の削減、低所得者が制度利用から排除されていること、介護労働者の低賃金・不安定雇用固定化が避けられない」と指摘しました。目指すべき介護保障制度として、「介護保険制度を現金給付から医療保険と同じ現物給付に戻し、要介護認定・区分支給限度額を廃止し、必要な介護サービスが提供される制度とすること」「それでも保険制度の矛盾は残るため、次の段階では租税による総合福祉制度の創設を検討すること」を提起しました。参加者からは、「介護保険制度廃止など考えたこともなかったが、よくわかった」「どういう運動をすれば公的介護保障制度ができるのか、財源・運動など具体的な提起を期待する」などの感想が寄せられました。