大震災を教訓に「いまこそ、いのち守る自治体を」
 自治労連は、6月4日~5日に、滋賀県内で、第2回対話と提言運動全国交流集会を開催し、全国から158人が参加しました。

 開会あいさつで、野村委員長は、「住民と対話を進めながら、地域にある課題を、行政課題につなげ、その解決に向け運動を具体的に進めることが求められている。いま原発問題でも、国家公務員の賃金引き下げ問題でも、地域に足を出し訴えると、以前とは違う情勢の変化を実感する。あらためて、公務公共性を生かし、いのちを守る自治体をつくるために、職場で、地域で、そしてこの集会でも大いに議論を深めていこう」と話しました。

被災地、岩手から特別報告
 特別報告は二本。はじめに「住民の願い、民主市政の歩み、自治体労働者への期待」と題して、岩手県陸前高田市市議会議員として活躍している藤倉泰司さんが報告。藤倉さんは、巨大津波と陸前高田市「壊滅」の現状を話しながら「8年前に『リゾート開発の市政』から『市民の声がしっかり届く市政』へと大転換させた。津波ですべてを流されてしまったが、市政づくりは住民とともに、の柱は流されていない」と話しました。住民自治を貫いてきた市政運営について「一次産業に光を当てながら地域医療の充実などいのちとくらしを守ることを市政の最優先にしてきた」と話しました。最後に被災一週間後から市が発行している「臨時広報」を今、自治労連のボランティアが各地区の区長(町会長)約170人に4000枚配布していることに触れながら、「行政の中にも、住民の中にも『自治労連』の名が知れわたった」と話しました。

 二つ目の特別報告は「被災地から見えた自治の役割、自治体労働者の誇り」と題して、渡辺孝文岩手自治労連書記長が報告。渡辺書記長は、「全国から来た給水車や保健師さんを見て本当に心強く思った。被災当時、職員・組合員の被災状況がほとんど分からなかった」と話しました。その中で、労働組合として何ができるのか議論をする中で、「労働組合の活動を『大震災対応』、『自治体労働者支援』に割り切って集中しようと腹をくくり、活動を開始した」と話しました。「被災地へ持っていけるものはみんな持っていこう、組合員が少しでも休める場所を確保しようとコンテナハウスも持ちこみました」と話しました。現地に入る中で、自治体労働者のがんばりが見えてきたと話し「被災後50日連続で臨時広報を出し続けている自治体労働者や今年入った新人が笑顔で緊急車両にガソリンを給油している」と奮闘ぶりを紹介。「これからが試されます。一人ひとりの仲間を支えるために力を尽くしていきたい」と結びました。

基調報告-運動がつくった情勢の変化
 基調報告を木村憲法政策局長が行い、この集会の獲得目標を「構造改革を打ち破ってきた運動の到達点と課題を共有すること、公務・公共サービスの拡充に向け、ともに考え、語り、行動する意思統一をはかること、行動目標として予算人員闘争で、すべての単組で要求書提出、交渉を行うこと、住民との共同を一つでもとりくむことを意思統一すること」と提起。東日本大震災では、「『構造改革』により地域が疲弊するなかで、より被害を拡大させた」と話し、大震災の教訓をふまえて対話を広げる意義と、自治労連の提案に触れながら、リーフレット「憲法を活かして、いのち、くらしを支える地域・自治体を」を活用しながら共同の運動を展開しよう」と呼びかけました。

 そして、自治労連のこの間の運動が変化を作りだしてきたと話し「政府は、指定管理者制度や集中改革プラン、地方財政での人件費の計上でも、私たちの主張を取り入れざるをえなくなっている」と語りました。最後に、予算人員要求運動など、教訓と課題を次の運動につなげながら、「これからも住民との対話と共同するたたかいをさらに発展させていこう」と話しました。

職場を基礎に住民とともに-実践報告
 続いて、各地から5つの実践報告。
「名古屋市民のくらしの実態や生の声をつかみ、その実情や要望を市政に反映させようと2カ月間かけて二つの市民アンケート(暮らし・福祉アンケート、中小企業アンケート)に取り組んだ。参加した組合員からは『市民が行政に期待を寄せていることが分かった。市民の力になれる仕事をしていきたい』と述べている。共同も広がった」(名古屋市職員労働組合・塚本さん)

 「阪神淡路大震災後、いまだ孤独死が絶えない神戸市で、神戸市水道サービス公社労働組合は、水道検針業務の委託拡大を許さない闘いと結びつけて、高齢者の見守りネットワークを政策提案し、攻勢的に運動を展開。三万枚のビラを作成し市民の中に打って出る中で、市民から熱い期待が寄せられた」(兵庫自治労連・政田さん)

 「学校用務員の業務拡大、改善運動を、『共同作業』を実現させながら、資質向上と専門的技術・知識を習得、業務の可視化や『用務員作業事例集』を予算化させた。各学校からも高い評価を得ている。この積み重ねが、当局を『用務員は直営で』に変えさせてきた。これらの運動のもとには全国集会での教訓を学び吸収してきたこと」(愛知県豊橋市職労・鬮目さん)

 「岡山の学校図書館司書のたたかいでは、先輩たちが30年間正規職員化をめざす中で、休暇制度の充実や一時金支給の実現など現在の労働条件を勝ち取ってきた。この到達点の原点は『仕事でがんばる』であり、実践の中で市民との信頼を高めてきた。仕事を見えるようにしようと『白書』を作った。嘱託職員だが、自治体に働く職員としての意識を持って市民の目線で学校図書館の重要性と正規化をめざし運動する」(岡山市職労・福田さん)

 「消防職場では、消防職員の充足率は75%で慢性的な人員不足。本来ポンフ車は5人体制だが、実態は4人、阪神大震災後、緊急援助消防隊が作られ、大災害が発生すると初動で全国から被災地に向かうことができるようになった。東日本大震災で、初めて全国から消防隊員が被災地に入った。これからも消防力充実を求め、さらなる住民の安心安全を求めて奮闘する。消防職員の『団結権』回復問題では、運動の成果として、6月2日の総務省の文書に『消防職員に団結権を付与することは基本的な方向』と明記された」(消防職員ネットワーク会長・原田さん)。

分科会とまとめ集会-二日間の討論を終える
 二日目は4つの分科会(「震災・復興といのちを守る公務公共の仕事」、「予算人員闘争のとりくみ」、「見直そう、問い直そう、仕事と住民の安全安心」、「住民との対話と共同」)に分かれて議論を深めました。

 全体集会では、各分科会の報告後、まとめの報告で猿橋均書記長は「全国で住民のくらし、いのちを守ることを正面に掲げ、それに必要な仕事内容、体制の充実を住民との共同で進めてきている。この運動に大きな確信を持っていこう。『構造改革』の狙いが明らかになる中で改善の取り組みが前進し始めている」と話し、引き続きの運動の強化を呼びかけました。