「貧困の連鎖」を拡大する生活保護基準引き下げに反対!
厚生労働大臣宛の署名10万筆と要請書を提出、記者会見

 1月18日、厚生労働省の社会保障審議会生活保護基準部会が報告書をとりまとめ、来年度予算編成に向けて生活保護基準の引き下げの動きが強まっています。1月22日、社保協や生活保護問題対策会議の呼びかけで「生活保護基準の引き下げに反対する署名」の緊急提出行動が行われ、厚生労働大臣宛に10万筆余を提出しました。

10万筆余の署名を提出

 提出行動には、厚生労働省社会援護局保護課の課長補佐が応対しました。署名は、昨年11月からの短期間でのとりくみにもかかわらず、これまでに20万3000筆余が集約されています。あわせて、「子どもの貧困の連鎖を強め、市民生活全体に影響を与える生活保護基準の引き下げを行わないよう求める要請書」を提出し要請しました。

 署名提出の後、緊急記者会見が厚生労働記者会で行われ、宇都宮健児さん(元日弁連会長)、雨宮処凛さん(作家)、稲葉剛さん(NPO法人自立生活サポートセンター・もやい代表理事)、田川英信さん(元ケースワーカー、東京自治労連書記長)、生活保護利用当事者らが発言しました。

 宇都宮さんは「基準部会の検証結果にあてはめると、子育て世帯では14%も生活保護基準が引き下げられることになる。『貧困の連鎖』が厚労省でも問題とされ、その解消のために生活保護世帯の学習支援の強化などの方策をとろうとする一方で、子育て世帯への現金支給を大幅に減額するというのは矛盾している」と指摘。さらに「物価の動向も無視できない。政府は2%の物価上昇率目標の導入を決めたが、これは生活保護受給者の生活を直撃する。生活保護基準の引き下げを検討する際には当然考慮されるべき事項ではないか。低所得者の生活を直撃する生活保護基準の引き下げはしないよう強く要請する」と訴えました。

 稲葉剛さんは、「生活保護基準の引き下げは3次にわたって被害を与える。第一次の被害は、現在の受給者の生活保護水準を引き下げる。第二次の被害は、生活保護受給のボーダー層が生活保護はずされてしまう。第三次の被害は、生活保護は様々な貧困対策の制度(住民税の非課税限度額、就学援助や保育料などなど)と連動する」と述べ、「それぞれの世帯で被害がどう表れるのか取材して報道して欲しい」とマスコミに要望しました。

 元ケースワーカーの立場で発言した東京自治労連の田川英信書記長は、「最下位10%の一般低所得世帯の消費実態との比較という手法自体に問題がある。もっとも影響を受けるのは多人数世帯、すなわち子育て世帯である。貧困を連鎖させないために、学習支援を強化している自治体も多いが、基準を引き下げられれば学習どころではない。生活保護基準を引き下げるべきではない」と話しました。

 生活保護利用当事者で、生活保護老齢加算廃止訴訟の原告であった参加者は、「生活保護を受けている高齢者は、お国のためにと戦ってきた人ばかり。今は昔と違って周りに食べ物はたくさんあるのに食べられない。みんな怒っている。老齢加算を何としても元に戻してもらいたいし、これ以上下げられたら人を殺すようなことになる」と訴えました。

 今後、生活保護基準の引き下げなど制度改革に対し、社保協、生活保護問題対策会議は、政府、各政党、議員への要請を行うとともに、2月1日(金)12時から14時まで衆議院第一議員会館多目的ホールにて、緊急院内集会を行います。自治労連も社保協や全労連からの提起を受けて、引き続き、生活保護基準引き下げ反対、制度充実の取り組みを進めていきます。