「復興予算の流用をやめ、被災者のための復興支援を」

自治労連が国会内集会・省庁要請

 自治労連は11月15日、「復興予算の流用をやめ、東日本大震災被災者の生活と生業の再建を土台に据えた復興支援」を求め、衆議院会館内で国会内集会と省庁要請を行いました。

 この行動には、岩手自治労連、自治労連福島県本部、茨城自治労連、自治労連千葉県本部、自治労連埼玉県本部、東京自治労連、神奈川自治労連、本部から16人が参加しました。省庁要請では、復興庁、総務省から6人が対応しました。

 前半の国会内集会では、山口副委員長のあいさつに続き、日本共産党の塩川衆議院議員が情勢報告を行いました。
 塩川議員は、「被災地ではいま住宅再建が大きな課題になっている。グループ補助金を活用して中小業者が補助を申請しても、6割が補助されていない状況にある。大企業のもうけになるような復興のしくみが民主・自民・公明の3党によって持ち込まれ、復興予算のほとんどが大企業のために使われている。一方、『維新の会』は候補者選定の責任者が竹中平蔵で、公約の名称が『骨太2013~2016』であり、小泉内閣の骨太方針を継承するものだ。こうした使い古された構造改革を断ち切り、被災地の復興を通して自治体の役割を発揮できるように選挙で変えていきたい」と決意を述べました。
 続いて、各地からの活動を交流し、復興庁・総務省要請に移りました。

正規職員の採用にむけ、国は長期的な財政支援を

 要請では、はじめに山口祐二副委員長が要請書を手交しあいさつ。「東日本大震災から1年8カ月が過ぎた。被災地では、復旧・復興にむけて必死の努力が続いているが、未だに復興は進んでいない。こうした中で復興予算の流用が社会問題になり、復興のあり方が問われている。
 本日の要請では、①復興予算の流用を止め、国民の税金を被災地の生活、生業の再建のために使うこと、②大震災で被災者支援、救援の最前線にあたっている自治体では集中改革プランなどの人員削減により深刻な人員不足が生じており復旧・復興への大きな障害になっている。「集中改革プラン」によって、岩手県大槌町では職員の20%削減、山田町では12%削減され、通常業務ができないような職員体制になっている。職員採用への財政支援を要望したい」とあいさつしました。

 続いて、久保中央執行委員が要請の趣旨を説明。とりわけ、職員不足問題については、会計検査院が10月25日、東日本大震災で被害を受けた7県(青森、岩手、宮城、福島、茨城、栃木、千葉)の58市町村に配分された国庫補助金、復興交付金の執行率が、職員が不足しているために平均で48%にとどまっている問題を指摘して、「被災自治体の人員体制を把握して支援を行う」よう政府に求めていることや、全国知事会も11月2日、「被災地が必要とする人員確保と継続的な支援のため一層の支援措置を講ずる」ことを政府に要請していることも示し、正規職員の採用に向けた国の中長期的な財政支援を要望しました。

要請書にもとづき、各省庁から回答を受けました。要請項目は別項のとおりです。

(項目標記は、省庁の回答順になってます。)

1.被災地の復旧・復興は、被災者の生活と生業の再建、地元の中小業者、農林水産業者の経営再建を第一に行うこと。

(復興庁)住宅をはじめとする生活の場、雇用の場の再建は重要と認識し、中小業者や農林水産業者の再建に重きをおいてきた。今後も踏襲していきたい。

2.被災地の復旧・復興とは関係のない事業への復興予算の流用を行わないこと。これまで流用した分は復興経費に返還すること。

5.復興基本法と、これに基づく政府の復興方針を抜本的に見直し、被災者本位の復旧・復興方針に改めること。

(復興庁)復興予算の流用問題については真摯に受け止めている。行政刷新会議の「新仕分け」があり、復興関連事業についても仕分けを行う。個別事業が復興特別会計にふさわしいのかどうか精査をしていきたい。

3.復旧・復興のために地方自治体が行う職員採用や職員派遣などの人員確保の取り組みを支援すること。

(総務省)10月1日現在で、394件の行政派遣が行われており、さらに全国へ派遣要請を行っている。しかし、全国でも大きな定員削減が行われており、過大な派遣は期待できない状態だ。各自治体では、任期付き職員、臨時職員などで人材を確保してもらいたい。人員不足は承知しているので、引き続き支援を検討していきたい。

4.被災自治体において通常の行政機能が回復できるように、職員採用について長期的な財政支援を行うこと。

(総務省)震災復興特別交付税を創設し、平成23年度、24年度と、地方自治体に対して配分をしてきた。平成25年度以降も、震災復興特別交付税を検討していきたい。

 回答をうけ、被災地から厳しい実態を語り、追及しました。

(岩手・山田町職・山崎書記長)
 現在25人くらい行政派遣職員を受け入れているが、復興に関わる課が新設されたこともあり、職員が足りない。派遣元の自治体に増員をお願いしているが、困難だと言われている。町では住宅再建のための高台移転を進めているが、個人負担がかさむ。町としても補助をするが、国として町の基金への支援をお願いしたい。山田町は乾燥しいたけの産地でもあり、15年連続で農林水産大臣賞を受賞している。しかし町が放射性物質の出荷制限指示区域になっているため、基準値を超えていないしいたけ生産者も出荷ができず、毎日何百キロも捨てなければならない。基準値内のしいたけを出荷できるようにしてほしい。

(福島県本部・笠原委員長)
 県内の各自治体は、住民が安心して生活できるように、除染、住民の健康管理、子どもの遊び場の放射線測定などの仕事に職員が張り付いている。米の全袋検査など職員が減っているのに仕事が増えている。これは、本来、原発事故を引き起こした東京電力が行うべき仕事だ。国や東電がやるべき仕事を自治体が肩代わりさせられている。国は財政支援をするべきだ。
 今年6月、「東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律」が衆議院で成立した。支援地域・該当地域に1日も早い施策の展開を求める。また、除染について国は、環境省のガイドラインに基づいた方法以外は費用を負担していない。除染の効果があるかどうかで判断するように弾力的な運用を求める。

(千葉県本部・長平委員長)
 住宅再建支援制度を拡充してほしい。千葉県の東部地方などは液状化被害が深刻だ。地盤復旧だけでも500万円から1000万円かかる。国の補助制度では、全壊で300万円が上限で実態にあわない。国の制度の穴の開いた部分について補助をお願いしたい。浦安市では独自に100万円の補助を行っている。
 国の制度は、元の住所に建て直すことが全壊の定義だが、地盤が復旧して元の住所に建て直せる保障はない。1000年に一度の大震災なのだから、従来の制度にとらわれず、大胆な施策を展開してほしい。旭市の津波被害について、被災当時は250世帯が仮設住宅に入居したが、現在は100世帯に減っている。住民は災害復興住宅への入居を望んでいるが、高齢者が多くケアつき復興住宅の建設を認めてほしい。

(岩手自治労連・高橋副委員長)
 「何とか復興の役に立ちたい」と行政派遣を希望した職員が、過酷な労働で自ら命を絶った。津波被害で職員の1/3が亡くなった自治体もある。残された職員でも心身の故障のために職場復帰できない人もいる。職員の健康管理もできていない。任期付き職員には限界があるので、現地では困っている。現地では任期付き職員は求めていない。正規職員採用のために支援をしてほしい。

 最後に、山口佑二副委員長が、「国民の大事な税金を復興以外の事業に流用している問題を深く受け止めてほしい。復興業務にはマンパワーが必要だ。地域の地理を知り、人を知らないと業務はできない。任期付き職員ではなく、正規職員を採用できるようにすることが必要だ。
 国は特別交付税だけでなく、被災自治体への恒常的な財政支援をお願いしたい」と重ねて要請しました。