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岩手自治労連 単組共同の「要請書」提出と懇談

震災復興の担い手守る、いのちと健康守る対策強化を求め

岩手自治労連 単組共同の「要請書」提出と懇談

 4月下旬に、東日本大震災の被災地である岩手県山田町で職員が自殺しました。昨年には大槌町への派遣応援職員、一昨年には陸前高田市で盛岡市からの派遣職員が自殺するという事態が続いています。岩手自治労連では、こうした事態を重く受け止めるとともに、今後こうした事態を生まないため、また震災復興の膨大な事業のもとで、職員の仕事・業務が肉体的にも精神的にも過重となっている実態を改善し、文字通り地域復興の担い手である自治体職員、仲間が心身ともに健康で頑張れる職場環境と体制をつくることが必要と考え、被災地単組との連名での「職員の健康保持にむけた要請書」の提出を行いました。

 5月12日には陸前高田市、13日には大船渡市、釜石市、大槌町、山田町を三役が訪問し、首長や自治体当局に申し入れを行い要請と懇談をしました。

 各自治体では、冒頭に佐藤委員長から今回の要請の経過と趣旨について説明、職員の健康保持、職場環境の改善にともに全力をつくしていこうと話されました。具体的な要請事項は①震災からの住民本位の復興を担える職員体制の強化、②勤務時間等の管理について、長時間・過密な労働とならないよう、十分な管理と配慮を、③職員の健康管理(心身)について、「健康アンケート」の実施等はもとより、専門家の診察・診療をいつでも受けられる体制を、④安全衛生委員会の提起開催とともに、産業医による全職員の健康管理についての特別の体制を、の4点です。

(以下、懇談の主な内容を記載します)

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【陸前高田市】…総務部長、総務課長補佐

市職労…千葉委員長、菅原副委員長、高橋書記長

 ・震災の被害は甚大であり、全国に例をみない市街地づくりを進めている。現在派遣応援職員は107人で今年は何とか人員が(最低限)賄えつつある。しかし今年、来年とこれからが本格的復興、目にも見える復興の年となる。

 ・職員には過重な勤務をしいている部署もあるが、今回の山田町の事態も受けて、5月早々の部課長会議での「お互いの目配り気配りの徹底」を確認したところ。(この問題は)他人事ではないことであり、ノー残業デーの周知はもとより、「声なき声」を把握するためにも「健康アンケート」「ストレスチェック」などの結果を職場にフィードバックさせる取り組みを行っている。

 ・職員衛生委員会についても明後日にも開催することとしている。

 ・(国に対しての要望は、との問いには)労働組合を通じても国などに要請していただけることはありがたい。なんといっても国は自治体にもっとまかせてくれないかということ。復興事業の申請・認可についても、あたかも『査定庁』となっている部分もあり職員はその分大変な業務を強いられている。市長もいうようにこれだけの大災害で、制度、ルールは平時のまま。用地確保などをはじめもっと柔軟な運用を求めたい。是非国に対して言ってほしい。

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【大船渡市】…総務部長、総務課長、総務課長補佐

市職労…佐藤委員長、新沼書記次長

・職員はみんな使命感をもって仕事に打ち込んでいる。ゆえにこんをつめている職員もおり、日常からのコミュニケーションが非常に大事と考えている。また派遣応援職員も79人いるが、我々以上に使命感をもって頑張ってもらっている。だからこそ業務以外の部分での気分転換も必要であり、派遣職員の中には地元の消防団に入ったり、地域貢献の活動に参加している職員もおり、こうした余暇などの活用も大切なことと考えている。

・「保健室(職員の)」との連携で、職員の状況については、早い段階で対応ができていると考えている。また超過勤務が月80時間を超えた場合は、必ず休暇をとらせるようにしている。

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【釜石市】…総務部長、総務課長、総務課長補佐

市職労…唐芳委員長

 ・震災以降、メンタルで長期に休んでいる職員は2人いる。メンタルチェックを毎年実施し比較をきちんと行い、産業医の先生も非常に積極的であり、その指導・助言をうけて行っている。

・安全衛生委員会の開催については昨年から実施しているが、今

 年はさらに力を入れて行っており、現在月1回は開催している。

また産業医にも月1回の面談も実施協力していただいている。

・現在派遣職員が100人以上。7月には組合の協力もえて交流会

 の企画をすすめている。

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【大槌町】…町長、総務部長、総務課主幹他

町職…小笠原委員長

・「あいさつ条例」をつくりたい(町長)。やはり『声』を出すこと、掛けることが基本と思っている。職員間、住民との間でも声を出し合えるようにしたい。職員には重く背負いきれない仕事もある一方で住民からは早くとの声も聞かれる。ストレス、悩みをどう解決するのかは重要な課題だが「心のケアセンター」の協力で相談窓口を昨年から設置しておりそこでの受付件数は昨年1年間で約1000件となっている。

 ・職場により業務にも偏りがある状況。特に用地、土地関連の事業部門については住民の家庭訪問など土日に集中する場合もある。

 ・月の超過勤務が30時間をめどにこれが2か月続く場合は面談等も行っている。また「チェックリスト」を配布しており、それぞれの状況の把握に努めている。

 ・職員体制は、プロパー職員128人、派遣応援職員が153人となっている。安全衛生委員会については機能が果たせるようにしていきたい。

 ・復興が目に見える形となる今年が正念場、大事であると考えている。

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【山田町】…町長、総務課長

 町職…伊藤委員長

・(亡くなった職員については)いろいろなこと、業務が多くなると同時に住民からの要望も強くなってきており、そのような中でのことであったと思う。メンタルチェックなど万全の体制をとってはいたが、まことに残念なことであり、今後は臨床心理士などを入れての対応を強化していきたい。

 ・職員は農地の災害復旧とともに、圃場整備事業をその上にかぶせて進めており、住民の意見など様々な苦悩があったのではないかと推察される。

 ・医大の意思などの協力もえながら、職員が自由に語れる場所、ホールなどでぐちも言い合えるようなスペースの設置も考え職場環境、コミュニケーションの強化を図っていきたい。なによりも職員の状況をいち早く見つけられることが大事だと考える。

 

 岩手自治労連は、あらためて「復興の担い手の中心は自治体労働者」という立場で、全ての職員が仕事へのモチベーションを維持し、個々の心身の健康を保持しながら復興事業をはじめとした行政の仕事に頑張れるよう、単組とも連絡を密にして職員の交流の推進などに全力で取り組んでいく決意です。