自由人十色写真

「風立ちぬ いざ生きめやも」

榊原 徹

茨城自治労連執行委員長

潮来の祇園祭で、町内祭りのはんてんを着て記念撮影

 

 3・11東日本大震災は、日本だけでなく全世界を震撼させ、利潤第一主義の資本主義社会の本質的な姿を露呈させました。顕在化した社会的課題は、いまだに解決に向けての努力を必要としています。

 未完の技術であった原子力発電、虚構であった安全神話。「戦後の繁栄も一炊の夢でしかなかった」と村上東海村長は言います。排他的利益集団の「原子力村」によって推進されてきた原子力発電は、財政的に逼迫する地方自治体の窮地につけ込み、雇用創出と財源確保をちらつかせるという民主主義とは対極的な手法によって推進され、自治体と地域住民を抑え込んできました。その帰結は、放射能汚染により帰ることが許されない故郷をつくりだしたということです。

  生活保護受給者数が、戦後史上最高値を更新し続けるなど、一向に改善されない「格差社会」問題。所得格差だけでなく、教育格差、地域格差、医療格差、世代間連鎖など、格差は社会のあらゆる部面に様々な問題を内包しながら存在しています。「世の中を治め、人民の苦しみを救うこと」という「経世済民」の学問であるはずの経済学は、現代資本主義社会の中で、いつのまにか、グローバルな経済競争を勝ち抜くことを命題に据えた「市場原理主義」という「強者の論理」に飲み込まれています。

  この夏、私が好きなスタジオジブリから『風立ちぬ』というアニメ映画が公開されました。宮崎駿氏はその制作理由を「同じ時代がまた来たからだ」としています。公開同時期にリリースされた冊子のなかで、宮崎駿氏は「憲法改正などもってのほか」「今の世界中を覆っているマーケット中心のやり方というのはだめ」と言い、鈴木敏夫プロデューサーは「これだけの平和は9条がなければありえなかった」と。『火垂るの墓』作者の高畑勲氏は「私の憲法9条に対する思いは、これは全世界で実現すべき素晴らしい理想の旗であり、日本は憲法9条を外交の中心に据えるべきであるということに尽きる」と言い切っています。 『風立ちぬ』のコピーは「生きねば」。「力を尽くして、生きる」という言葉が映画の中で何度も登場します。旧約聖書伝道の書にある『凡て汝の手に堪ることは力をつくしてこれを為せ。』から繋がっているとのこと。震災以降、大衆の力は自らの力で風向きを変え、都議選、参院選と選挙闘争において結果を導き出しました。 「風立ちぬ いざ生きめやも」